こんにちは。元・成年後見人のくじら99(@9jira99)です。
「家族が認知症になった。自分が後見人になれるのだろうか」
そう調べ始めた方が最初にぶつかるのが、**親族が後見人に選ばれる割合は約16%**という数字だと思います。8割以上は弁護士や司法書士などの専門職が選任されている。
くじら99正直、この数字を見ると諦めそうになります。
ただ、私はその16%に入りました。しかも条件は決して有利ではありませんでした。本人の家までは300km。私は会社員で、平日は動けない。管理する財産には不動産が2件含まれていた。
この記事では、成年後見人になれる人の条件を整理したうえで、なぜ私が選ばれたのか、どういう場合に親族が却下されるのかを、実際に選任された立場からお伝えします。
この記事はプロモーションを含みます。
この記事でわかること
- 成年後見人になるための資格・条件
- 法律上「なれない人」の4つのケース
- 実際に選ばれているのは誰か(統計と背景)
- 300km離れた会社員の私が選任された理由
- 親族が却下されやすい5つのケース
- 親族後見人になった場合に実際に起きること
- そもそも後見人を立てない選択肢
結論|資格は不要。ただし「なれる」と「選ばれる」は別



先に要点をお伝えします。
成年後見人になるのに資格は要りません。 弁護士でも司法書士でもない一般の会社員が後見人になることは、制度上まったく問題ありません。私自身がそうです。
ただし、申立てのときに候補者として名前を書いても、その通りに選任されるとは限りません。 誰を選任するかは家庭裁判所が決めます。候補者を挙げても、家裁が「この人では難しい」と判断すれば、専門職が選ばれます。
そして、この判断に対して不服を申し立てることはできません(後見開始の審判そのものへの不服申立ては可能ですが、後見人の選任部分については認められていません)。
つまり、「なれる」という条件を満たすことと、「選ばれる」ことは別の話です。
1. 成年後見人になれる人・なれない人
1-1. 資格は不要|家族・親族・第三者の誰でも候補者になれる
まず、よくある誤解を解いておきます。
法律上、後見人になれるのは次のような人です。
- 本人の配偶者、子、兄弟姉妹、甥姪などの親族
- 親族以外の第三者(友人・知人など)
- 弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職
- 社会福祉協議会などの法人
「法律の知識がないから無理では」と思う方が多いのですが、そこは選任の条件ではありません。実際、私も法律の専門教育を受けたことはありません。
必要なのは知識より、継続して事務作業ができるかどうかです。この点は第5章で詳しく書きます。
1-2. 民法847条の欠格事由|4つのケースは法律上なれない
一方で、法律が明確に「後見人になれない」と定めている人がいます(民法847条)。
| 欠格事由 | 内容 |
|---|---|
| 未成年者 | 18歳未満の人 |
| 過去に法定代理人等を解任された人 | 家庭裁判所で後見人・保佐人・補助人を免ぜられた経歴がある |
| 破産者 | 破産手続開始決定を受け、復権していない人 |
| 本人と訴訟をした人・その配偶者と直系血族 | 本人に対して訴訟を起こした、または起こしている人 |
| 行方不明者 | 所在が分からない人 |
これらに該当すると、家庭裁判所の判断以前に、法律上なることができません。
逆に言えば、この5つに当てはまらなければ、法律上は誰でも候補者になれます。
1-3. 「なれる」と「選ばれる」はまったく別の話



ここがこの記事で最も伝えたい部分です。
申立書には「成年後見人候補者」を記載する欄があります。多くの方は、ここに自分や家族の名前を書きます。
家庭裁判所は、本人の状況、財産の規模、親族関係、候補者の適性などを総合的に見て、誰を後見人にするかを決めます。候補者が挙がっていても、家裁が別の人が適切だと判断すれば、面識のない専門職が選任されます。
そして繰り返しますが、この判断に対して「候補者を変えてほしい」という不服申立てはできません。
「家族に任せたい」という希望が通らず、月数万円の報酬を払い続けることになった——この状況は、現在の運用では珍しくありません。
2. 実際に選ばれているのは誰か|親族16.4%の現実


2-1. かつては9割が親族だった
制度が始まった2000年当初、後見人の約9割は親族でした。配偶者や子が本人を支えるのが当たり前だったのです。
それが年々下がり続け、最高裁の統計(令和7年)では、**親族が選任される割合は約16.4%**まで落ちています。
2-2. なぜ専門職中心に変わったのか
理由は主に2つあります。
① 親族による不正が問題になった
後見人は本人の全財産を管理します。その権限を使って、本人の預金を自分のために使ってしまう事例が相次ぎました。年間で数十億円規模の被害が報告された時期もあります。
家庭裁判所は、この事態を受けて運用を厳格化しました。
② 手続きが複雑化した
毎年の定期報告、1円単位の収支管理、領収書の突合。これを一般の親族が継続するのは、実際にかなりの負担です。「途中で報告が滞る」という事態を避けるため、専門職を選ぶ傾向が強まりました。
2-3. 誰が選ばれているか
第三者後見人の内訳は、おおむね次の通りです。
- 司法書士 — 最も多い。財産管理に強い
- 弁護士 — 親族間に紛争がある場合、訴訟が絡む場合
- 社会福祉士 — 身上保護(生活支援)の必要性が高い場合
- 法人(社会福祉協議会、リーガルサポート等) — 身寄りがない場合など
このうち、本人の状況によって誰が選ばれるかが変わります。財産が複雑なら司法書士、親族が揉めているなら弁護士、という具合です。
2-4. 2026年の改正で、この状況は変わるのか
2026年6月、成年後見制度を見直す改正法が成立しました。施行は2028年内の見込みです。
改正には後見人交代の円滑化が含まれており、「本人の利益のために特に必要がある場合」という柔軟な交代理由が新設されます。相性や生活への適合性を理由に、後見人を選び直すことが現実的になる見通しです。
ただし、誰を選任するかを家庭裁判所が決めるという枠組み自体は変わりません。
改正の全体像は成年後見制度は本当に「ひどい」のかにまとめました。


3. 私が選任されたときの条件
ここからは、統計ではなく実例の話です。
3-1. 300km離れた会社員が、なぜ通ったのか
私の条件を先に整理します。
| 項目 | 私の状況 | 一般的な評価 |
|---|---|---|
| 本人との関係 | 親族(叔父) | 有利 |
| 距離 | 300km | 不利 |
| 就業状況 | 会社員・平日は動けない | 不利 |
| 法律の知識 | なし | 中立 |
| 管理財産 | 不動産2件を含む規模 | 不利 |
3つも不利な条件が並んでいます。
一般的な解説記事を読めば「遠距離では難しい」「財産が大きいと専門職になる」と書かれています。私も申立ての段階で、正直「無理だろう」と思っていました。



それでも選任されました。
3-2. 家庭裁判所の面談で確認されたこと
申立て後、家庭裁判所での面談があります。ここで何を見られているのか。
私が受けた印象では、家裁が確認していたのは**「この人に任せて、本当に事務が回るか」**という一点でした。
聞かれたのは、次のような内容です。
- 本人とどういう関係か、どのくらいの頻度で会っていたか
- なぜ自分が後見人になろうと思ったのか
- 現在の本人の生活状況をどこまで把握しているか
- 仕事をしながら、報告書の作成や手続きができるか
- 他に候補になりうる親族はいるか
法律の知識を試されるような質問はありませんでした。知識より、継続できるかどうかを見られていた、というのが実感です。
面談の具体的な流れや服装については、成年後見人の家庭裁判所での面談は怖い?に別途まとめています。


3-3. 後から考えて、判断材料になったと思う3つの要素
なぜ不利な条件が並びながら選任されたのか。振り返って、3つの要素があったと考えています。
① 他に候補者がいなかった



これが最も大きかったと思います。
本人は身寄りが少なく、実質的に私以外に手を挙げる人がいませんでした。家庭裁判所から見れば、選択肢は「私」か「専門職」かの二択です。
親族が複数いて誰が担うか揉めているケースとは、状況がまったく違いました。
② 親族間の対立がなかった
本人は孤立した状態にあり、財産をめぐって争う親族がいませんでした。
これは後から知ったことですが、**親族後見人が却下される最大の理由は「親族間の対立」**です。誰かが後見人になると、他の親族が「財産を勝手に使われる」と警戒する。その構図があると、中立な第三者を立てるしかなくなります。
私のケースには、その火種がありませんでした。
③ 後見制度支援信託を使えたこと



ここが意外な点かもしれません。
私が管理することになった財産には不動産が2件含まれ、預貯金も少額ではありませんでした。「財産が大きいと専門職が選任される」という一般論からすれば、不利な条件です。
しかし実際には、後見制度支援信託(または支援預貯金)を使うことで、親族後見人でも管理できる形が取られました。
これは、日常的に使わない大きな金額を信託銀行や金融機関に預け、家庭裁判所の指示書がなければ引き出せない状態にロックする仕組みです。
後見人が手元で管理するのは、毎月の生活費に必要な分だけ。大きな金額を動かすには、その都度家裁の許可が要る。
つまりこの仕組みは、「財産が大きくても親族に任せられるようにする」ための制度なのです。不正の余地を構造的に潰すことで、親族選任を可能にしている。
「財産が大きいから諦めよう」と思っている方は、支援信託・支援預貯金の利用を前提に申立てるという道があることを知っておいてください。
3-4. 「遠距離だから無理」ではなかった
300kmという距離も、選任の障害にはなりませんでした。
もちろん実務は大変でした。平日の手続きのために有給を使い、新幹線代がかさみ、施設との連絡は電話が中心になりました。
ただ、家庭裁判所が見ていたのは**距離そのものではなく、「その距離でも事務を回せるか」**だったのだと思います。
現実的に、遠距離でも次のことは可能です。
- 定期報告はレターパックで郵送できる
- 家裁との連絡は電話で足りることが多い
- 施設との連絡は電話・書面で対応できる
- 通帳の記帳は、金融機関を選べば遠方でもできる
最後の点は補足が必要です。私は本人の生活決済用口座に信用金庫を選んでいました。信用金庫には全国のATMで相互に記帳・入出金ができるネットワークがあり、自宅近くの別の信金で300km先の口座の通帳が記帳できたのです。これは遠距離管理において決定的に助かりました。
「遠いから無理」と最初から諦める必要はありません。
4. 親族が却下されやすい5つのケース


逆に、親族が候補者として挙がっていても、専門職が選任されやすいケースがあります。
4-1. 親族間で意見が対立している



最も多い理由です。
- 兄弟の間で、誰が後見人になるか揉めている
- 一部の親族が申立てそのものに反対している
- 過去に相続や金銭をめぐるトラブルがあった
こうした状況では、誰が後見人になっても他の親族から疑いの目を向けられます。家庭裁判所は紛争に巻き込まれることを避け、中立な第三者を選任します。
申立ての前に、親族間で合意を作っておくことが、親族選任への近道です。
4-2. 管理する財産が大きい
ただし前述の通り、後見制度支援信託・支援預貯金を利用することで、親族が選任されるケースもあります。私自身がそうでした。
「財産が大きい=親族は無理」ではなく、**「財産が大きい=管理の透明性を担保する仕組みが必要」**と理解するのが正確です。
4-3. 本人と利益相反がある
候補者自身が本人の相続人である場合、利益相反が生じる可能性があります。
- 本人の財産を減らせば、将来自分が相続する分が減る
- 逆に、自分に有利な財産管理をする余地がある
特に、本人と候補者が同じ相続で当事者になるような場合(本人の配偶者が亡くなり、その遺産分割が必要など)は、注意深く見られます。
4-4. 過去に本人の財産を使った経緯がある
「本人のためだと思って」立て替えたり、引き出したりしていた場合でも、記録が残っていないと疑いを持たれます。
- 本人の口座から生活費を引き出していた
- 本人のお金で家族の支払いをしたことがある
- 記録も領収書も残っていない
悪意がなくても、説明できなければ不利に働きます。申立て前から動いている場合は、支出の記録を残しておいてください。
4-5. 候補者自身が高齢・健康に不安がある
後見は長期にわたります。改正法施行までは、原則として本人が亡くなるまで続きます。
候補者が本人と同世代(配偶者や兄姉)である場合、その人自身の判断能力が将来低下するリスクが考慮されます。
5. 親族後見人になると、実際どうなるか
選任された後の話です。ここを知らずに手を挙げると、後で苦しくなります。
5-1. 毎年の定期報告|1円合わないと終われない
親族後見人の負担として、最も重いのがこれです。
年に1回、家庭裁判所に次の書類を提出します。
- 後見等事務報告書
- 財産目録
- 収支状況報告書
- 通帳の全ページコピー
- 領収書のコピー
そして、財産目録の残高と通帳の残高が1円単位で一致していなければなりません。
さらに、通帳の出金1件ごとに番号を振り、対応する領収書にも同じ番号を振る「突合」という作業があります。1年分をまとめてやろうとすると、本当に発狂します。
具体的な進め方は成年後見人の定期報告のやり方に、実際の手順としてまとめました。これから後見人になる方は、引き受ける前に一度読んでおくことをおすすめします。
5-2. 平日日中しか動けない手続きが山ほどある
会社員が最も苦しむのがここです。
- 銀行の窓口手続き(後見の届出、口座の集約)
- 家庭裁判所への相談・提出
- 役所での証明書取得
- 施設との面談・契約
5-3. 交通費と有給休暇が静かに消えていく



遠距離の場合、これが積み重なります。
私のケースでは、新幹線と在来線を乗り継いで片道300km。往復の交通費、場合によっては宿泊費。これらは後見事務費として本人の財産から精算できますが、一時的な立て替えは避けられません。
そして有給休暇は、精算できません。
5-4. 報酬は請求できる|ただし請求しない人が多い理由
家庭裁判所に「報酬付与申立て」を行い、審判が出れば、本人の財産から報酬を受け取れます。年間10万円〜数十万円程度が目安です。
ただし、請求しない親族後見人は少なくありません。理由は次のようなものです。
- 「身内の財産から報酬を取るのは気が引ける」
- 制度自体を知らない
- 他の相続人から何か言われそう
私自身も報酬を受け取っていませんでした。ただ、交通費・有給・精神的な負担を考えると、正当な対価として請求することに何の問題もありません。
報酬の相場と申立ての手順は成年後見人の報酬はいくら?にまとめています。


5-5. それでも親族がやる意味はあるか
ここまで負担ばかり書きましたが、親族が後見人になる意味は確実にあります。
① 本人の生活を実際に知っている
専門職の後見人は、月に1回程度の面会が一般的です。本人がどんな性格で、何を大事にしてきたかまでは分かりません。
施設で「延命措置をどうしますか」と問われたとき、判断の拠り所になるのは本人がどう生きたかを知っていることです。
② 費用がかからない
専門職が選任されれば、月2〜6万円が本人の財産から出続けます。10年で240〜720万円。親族が担えば、この支出をなくすことができます(報酬を請求しない場合)。
③ 最後まで見届けられる
本人が亡くなった後の引き継ぎまで、親族なら自然に対応できます。
6. 専門職が選任された場合どうなるか
親族が選ばれなかった場合、何が起きるかも知っておいてください。
6-1. 月2〜6万円が本人の財産から引かれ続ける
報酬の目安は管理財産額で決まります。
| 管理財産額 | 月額報酬の目安 | 年間 |
|---|---|---|
| 1,000万円未満 | 月2万円 | 年24万円 |
| 1,000〜5,000万円 | 月3〜4万円 | 年36〜48万円 |
| 5,000万円以上 | 月5〜6万円 | 年60〜72万円 |
これに加えて、不動産売却などがあれば付加報酬が発生します。


6-2. 相性が悪くても交代は原則できない
「連絡が取りにくい」「家族の意向を聞いてくれない」——こうした不満があっても、不正や重大な問題がない限り、後見人の交代は認められません。
前述の通り、2026年の改正でここは緩和される見通しですが、施行は2028年内です。
6-3. 後見監督人がつくケース
親族が後見人に選任された場合でも、後見監督人(弁護士・司法書士等)が併せて選任されることがあります。
監督人がつくと、後見人の事務を監督する立場の専門職に対して報酬が発生します。月1〜3万円程度が目安です。
「親族が選ばれたから費用ゼロ」とは限らない点に注意してください。
7. そもそも後見人を立てない選択肢
ここまで読んで「思ったより大変だ」と感じた方もいると思います。
実は、後見制度を使わずに済む方法があります。ただし、条件が1つあります。
7-1. 家族信託|判断能力があるうちだけ
- 家庭裁判所の関与がない
- 定期報告の義務がない
- 不動産の売却に家裁の許可が不要
- 誰に託すかを本人が決められる
後見人として最も歯がゆかったのは、「本人のための財産なのに、自分の判断で動かせない」という点でした。家族信託であれば、この制約がありません。
7-2. 任意後見|自分で後見人を指定できる
本人が判断能力のあるうちに、「将来判断能力が低下したら、この人に後見人になってほしい」と契約しておく制度です。
法定後見と違い、誰が後見人になるかを本人が決められます。家庭裁判所が別の人を選任することはありません。
ただし任意後見監督人がつき、その報酬は発生します。
7-3. 「もう少し様子を見よう」が最も危険
家族信託も任意後見も、本人に判断能力があるうちにしか使えません。
認知症の診断が出てから「家族信託を使えばよかった」と言っても、その時点で選択肢は法定後見だけになります。
私が見てきたなかで、最も多い後悔がこれでした。
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「後見人になれるか」を調べている今が、分かれ道です
この記事を読んでいるということは、まだ申立てをしていない段階かもしれません。
もし親御さんにまだ判断能力があるなら、後見制度を使わずに済む道があります。家族信託であれば、家庭裁判所の関与も、毎年の定期報告も、不動産売却の許可申請も必要ありません。誰に託すかも自分たちで決められます。
ただし、使えるのは判断能力があるうちだけです。「うちの場合はどうすればいいか」という漠然とした段階でも構いません。相談だけでもしておく価値があります。
※相談・お見積もりは無料。全国対応・司法書士が対応します。認知症が進行すると家族信託は利用できなくなります。
判断能力が既に低下している場合は、法定後見の申立てを進めるほかありません。その場合は、この記事の第3章・第4章を参考に、親族選任を目指せる条件が揃っているかを確認してください。
8. 申立ての流れ(概要)
参考までに、申立ての大枠を示します。
8-1. 申立てできる人と、おおまかな流れ
申立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、市区町村長などです。
1. 本人の住所地を管轄する家庭裁判所を確認
↓
2. 医師の診断書を取得(家裁指定の書式)
↓
3. 必要書類の準備(戸籍・住民票・財産目録・収支予定表など)
↓
4. 申立書の提出
↓
5. 家庭裁判所での面談(申立人・候補者)
↓
6. 本人の意向確認・鑑定(必要な場合)
↓
7. 審判 → 誰が後見人になるか決定
↓
8. 確定・登記 → 就任
申立てから就任まで、2〜4か月程度が目安です。
8-2. 費用の目安
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 収入印紙(申立手数料) | 800円 |
| 収入印紙(登記手数料) | 2,600円 |
| 郵便切手 | 数千円(家裁により異なる) |
| 医師の診断書 | 1〜3万円程度 |
| 戸籍・住民票等 | 数千円 |
| 鑑定費用(必要な場合) | 5〜10万円程度 |
| 専門家に依頼する場合 | 10〜20万円程度 |
必要書類の詳細と、実際に集めるときの苦労については成年後見人の手続きと申立方法にまとめています。


なお私の場合、書類集めそのものが最初の関門でした。本人の家がゴミ屋敷状態で、通帳も権利証も見つからなかったのです。その顛末はゴミ屋敷から通帳を探せに書きました。


9. 判断チェックリスト|あなたは候補者になれるか
法律上の条件
親族選任が期待できる条件
- 他に候補者となる親族がいない、または合意がある
- 親族間で財産をめぐる対立がない
- 本人の生活状況を把握している
- 平日に動ける時間を確保できる(有給等)
- 毎年の報告書作成を継続できる
- 本人の財産を過去に使った経緯がない、または記録がある
財産が大きい場合
まだ間に合うかの確認
📖 引き受ける前に、負担の実際を知っておいてください
親族後見人の最大の負担は、毎年の定期報告です。1円単位の収支管理、領収書へのナンバリング、通帳との突合。私が3年間続けた手順を、実物ベースでまとめました。
よくある質問
Q. 成年後見人になるのに資格は必要ですか?
A. 必要ありません。弁護士や司法書士でなくても、一般の方が後見人になることは可能です。私自身も法律の専門教育は受けていません。ただし民法847条の欠格事由(未成年者・破産者など)に該当する場合はなれません。
Q. 遠方に住んでいても後見人になれますか?
A. なれます。私は300km離れた場所から3年間務めました。家庭裁判所が見るのは距離そのものより「その距離でも事務が回るか」です。定期報告は郵送、家裁との連絡は電話で対応できます。ただし平日に動く必要のある手続きが多く、有給休暇と交通費の負担は覚悟してください。
Q. 財産が多いと親族は後見人になれませんか?
A. 専門職が選ばれやすくなるのは事実ですが、必ずしもなれないわけではありません。私は不動産2件を含む規模の財産を管理しましたが、後見制度支援信託を利用することで親族選任が認められました。日常的に使わない財産を家裁の管理下にロックする仕組みで、これにより親族でも管理できる形になります。
Q. 候補者として名前を書けば、その人が選ばれますか?
A. 限りません。候補者はあくまで希望であり、誰を選任するかは家庭裁判所が決定します。そして選任された後見人について「別の人にしてほしい」という不服申立ては認められていません。
Q. 親族が後見人になれば費用はかかりませんか?
A. 後見人への報酬は不要にできますが、後見監督人が選任されると監督人への報酬(月1〜3万円程度)が発生します。また申立て費用や診断書代は別途かかります。
Q. 一度なったら辞められますか?
A. 正当な理由があれば家庭裁判所の許可を得て辞任できます。ただし「面倒になった」では認められません。転勤、本人との関係悪化、自身の健康問題などが理由として考えられます。辞任後は新しい後見人が選任されるまで職務を続ける必要があります。
まとめ|諦める前に、自分の条件を確認してください


親族が選ばれるのは16.4%。この数字だけを見ると、絶望的に思えます。
しかし私は、300km離れた会社員で、不動産2件を含む財産を管理するという不利な条件で選任されました。
振り返ると、決め手になったのは次の3つでした。
- 他に候補者がいなかった
- 親族間の対立がなかった
- 後見制度支援信託を使う前提だった
つまり、**家庭裁判所が心配するのは「不正が起きないか」「事務が続くか」**という点です。そこに答えを示せれば、条件が不利でも道はあります。
逆に、親族間で揉めている場合は、どれだけ熱意があっても難しいと考えてください。申立ての前に合意を作ることが、最も効果的な準備です。
そして、もし親御さんにまだ判断能力が残っているなら——後見人になるかどうかを考える前に、後見制度を使わずに済む方法があることを、先に確認してください。
私が最も強く「これがあれば違った」と感じたのは、まさにその点でした。
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くじら99(元・成年後見人)
300km離れた認知症の親族のため、働きながら家庭裁判所に選任され、成年後見人を3年間務めました。親族が選任される16.4%に、遠距離・就業中・不動産2件という不利な条件で入った経験から、「なれる人・選ばれる人」の違いをお伝えしています。後見制度支援信託の利用、定期報告、不動産売却の家裁許可、本人死亡後の引き継ぎまで実務で対応しました。
※当サイトは個人の実体験に基づく情報提供であり、法的助言ではありません。選任の判断は個別の事情によって異なります。申立ての可否や手続きの詳細は、管轄の家庭裁判所または弁護士・司法書士等の専門家へご確認ください。本ページのリンクには広告(PR)を含みます。
出典:最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」/民法第847条・第862条









