【体験談】成年後見人になるには?申立て手続きのリアル・必要書類・ゴミ屋敷の絶望

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目次

はじめに:教科書には載っていない「申立て手続き」のリアル

くじら99

こんにちわ。

元成年後見人、くじら99(@9jira99)です。

この記事に辿り着いたあなたは、おそらく親や親族が倒れ、役所や病院から「成年後見人をつけてください」と言われ、途方に暮れている最中ではないでしょうか。

インターネットで「成年後見人 申立て」と検索すれば、家庭裁判所や法律事務所がまとめた綺麗な手順表がたくさん出てきます。しかし、働きながら遠距離で介護を担う家族にとって知りたいのは、「実際、どれだけ大変なのか?」「自力でできるのか?」という現場のリアルなはずです。

この記事では、私が300km離れた認知症の叔父(Aさん)の成年後見人になるまでに実際に経験した、「終わりの見えない書類集め」「未払い請求書の山」、そして「足の踏み場もないゴミ屋敷での家探し」まで、綺麗事なしで包み隠さずお伝えします。

これから後見制度の利用を検討している方、あるいは親の将来に漠然とした不安を感じている方にとって、私の泥臭い失敗と実体験が、最良の道標となれば幸いです。

くじら99

この記事を書いた人:くじら99(元 成年後見人)

遠方(300km以上)に住む認知症の親族のため、働きながら家庭裁判所に選任され成年後見人を務めた経験を持つ会社員。

免責事項

当サイトは個人の成年後見業務の実体験に基づく情報提供であり、法的なアドバイスを行うものではありません。個別具体的な手続きについては、弁護士・司法書士などの専門家や管轄の家庭裁判所等へご相談ください。

第1章:まずはっきり言います。成年後見制度は「最終手段」です

手続きの解説に入る前に、経験者としてどうしてもあなたに伝えておかなければならないことがあります。

それは、成年後見制度は決して「便利な財産管理サービス」ではなく、何も対策をしてこなかった家族がすがる「最終手段」であるということです。

成年後見人は、認知症などで判断能力を完全に失った方を法律的にサポートする強力な制度です。しかし、その強力さゆえに手続きは極めて厳格で、選任された後も家庭裁判所の厳しい監督下で数年、数十年と動き続けることになります。

  • 「実家を売って介護費用にしたい」と思っても、裁判所の許可が下りない。
  • 1円単位で領収書をかき集め、毎年分厚い報告書を作らなければならない。

もし今、あなたの親御さんが「まだ元気」あるいは「少し物忘れがある程度」であり、まだ事前に対策を打てる状態であるなら、成年後見制度ではなく「家族信託」という柔軟な制度の活用を真っ先に検討してください。

私自身、「叔父が元気なうちに家族信託を知っていれば、あんな地獄を見ずに済んだのに」と今でも激しく後悔しています。

💡 元・後見人からのアドバイス

認知症による「資産凍結」を防ぐには、親が元気なうちの「家族信託」が最適解です。専門家への無料相談を活用し、手遅れになる前に備えてください。

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第2章:成年後見人になるまでの道のり(全体像)

ここからは、すでに判断能力が低下してしまい、成年後見制度を使わざるを得ない方に向けて、手続きのリアルを解説します。

成年後見人として法的に認められるためには、大まかに以下のようなステップを踏む必要があります。

  1. 家庭裁判所への事前相談と書類収集
  2. 医師による「診断書」の取得
  3. 親族間での同意や意見書の取りまとめ
  4. 家庭裁判所への申立て(書類提出)
  5. 裁判所の調査官による面談・審査
  6. 審判(成年後見人の選任)と法務局への登記

なぜ私は「弁護士」に依頼したのか?

結論から言うと、私は上記のプロセスを自力で行うことを諦め、現地の弁護士に申立て手続きを依頼しました。

  • 距離の壁: 叔父が住む管轄の家庭裁判所まで片道300km以上あった。
  • 時間の壁: 平日は会社で中間管理職として働いており、役所や裁判所、銀行の窓口が開いている時間に身動きが取れなかった。
  • 知識の壁: 法律の知識がゼロであり、一つの書類不備で手続きが数ヶ月遅れるリスク(=その間、叔父の入院費が払えないリスク)を抱えきれなかった。

弁護士費用という「身銭」を切ることにはなりましたが、書類の山との格闘、親族の同意取りまとめ、財産状況の法的な整理など、素人には到底無理な作業を代行してもらえたのは、精神的に大きな救いでした。「必要に応じて専門家を頼る」というのは、家族が倒れないための立派な判断です。

第3章:絶望のスタート。申立てに必要な「書類の山」

「弁護士に頼めば全部やってくれるんでしょ?」と思うかもしれませんが、それは大きな間違いです。

弁護士は書類を法的に整理し、裁判所へ提出してくれますが、「本人の家に埋もれている通帳を探す」「誰が親族なのかを特定する」といった泥臭い実作業は、家族である私自身がやるしかありませんでした。

以下は、成年後見人の申立てのために、私が実際に奔走してかき集めた「必要書類のリスト」です。

私が実際に集めた必要書類リスト

カテゴリ具体的な書類名収集の苦労・リアルな実態
基本情報系申立書(弁護士が作成)
印鑑・身分証明書
弁護士との度重なる打ち合わせが必要でした。
戸籍・住民票系本人の戸籍謄本・住民票・戸籍の附票
申立人の戸籍・住民票
おひとりさまの叔父の「法定相続人」を特定するため、古い戸籍を遡って取り寄せるのが至難の業でした。
財産・収支の証拠各銀行通帳の写し(過去数年分)
年金受給証明書
医療費・施設費の請求書
保険契約書、有価証券の明細
ここが最大の難関。 いくつの銀行に口座があるのか、本人が口頭で言えないため、家中の郵便物から推理するしかありません。
不動産・その他不動産の登記事項証明書
登記されていないことの証明書
法定相続人の一覧・同意書
遠方の親族に手紙を書き、「私が後見人になることに同意してくれ」と頭を下げる必要がありました。

「他人の資産状況を、短期間で正確に1円単位で調べる」。これがどれほど恐ろしく、胃の痛くなる作業か、想像できるでしょうか?

第4章:書類だけじゃない!現場で直面した「泥臭い現実」

申立ての準備は、単なる「お役所手続き」ではありません。

私が現場で直面した、最も過酷だった3つの物理的・精神的な課題をお伝えします。

1. 鳴り止まない督促状と「未払い請求書の山」

叔父のメインバンクの引き落とし口座には、すでにお金がほとんど残っていませんでした。

そのため、実家のポストには公共料金(電気・ガス・水道)、固定資産税、健康保険料などの「未払い請求書」や「督促状」が山のように押し込まれていたのです。

  • 「赤い封筒」の恐怖: 支払い期限を過ぎた督促状が届くたびに、ライフラインが止められるのではないかと冷や汗をかきました。
  • 支払いの立て替え: 後見人に選任されるまでは、叔父の別の口座(定期預金など)からお金を下ろすことができません。仕方なく、数十万円にのぼる未払金を私自身のポケットマネーで立て替えて支払いました。
  • 各所への謝罪と調整: 電話口で「親族が倒れて手続き中なので、支払いを少し待ってほしい」と各所に頭を下げて回る日々でした。

2. 絶望の「ゴミ屋敷」の片付けと家探し

前述した「財産の証拠(通帳や保険証券)」を探すため、私は300km離れた叔父の自宅へ向かいました。ドアを開けた瞬間の異臭と光景は、一生忘れることができません。

家の中は、天井まで届きそうな段ボール、腐敗した食品、そして何十年分ものガラクタで埋め尽くされた完全なゴミ屋敷状態でした。

  • 高額な業者見積もり: 慌てて清掃業者を呼んだものの、「この量だと片付けだけで100万円は超える」という見積もりに絶望。当然、凍結された叔父の口座からは払えません。
  • 自力での発掘作業: 結局、私は会社を休んでマスクと軍手を装着し、ホコリと虫にまみれながら、ゴミの山から「有効な通帳」や「権利証」を直接探し出すしかありませんでした。肉体的な疲労はもちろん、「なぜ自分が他人のゴミを漁っているのか」という精神的なダメージは計り知れません。

3. ショートステイ先の費用猶予の交渉

叔父は倒れて措置入院をした後、自宅(ゴミ屋敷)には戻れないため、ショートステイ(短期入所生活介護)施設へ入所していました。

当然、施設にいる間も毎月十数万円の費用が発生し続けます。しかし、叔父の口座は凍結されており、私の立て替えにも限界がありました。

私は施設の相談員に何度も頭を下げ、「現在、成年後見人の申立てを急いで進めています。選任されて口座が解約できるようになるまで、どうか支払いを猶予してください」と頼み込みました。

選任されるまでの数ヶ月間、いつ施設から「これ以上は待てない」と言われるか、綱渡りのような日々が続いたのです。

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第5章:いよいよ家庭裁判所へ。面接・審査のリアル

書類の収集とゴミ屋敷での格闘、未払い請求書の立て替えを乗り越え、弁護士を通じて家庭裁判所へ正式に「成年後見開始の申立て」を行いました。

しかし、書類を出せば自動的に後見人になれるわけではありません。申立人(私)は、家庭裁判所に呼び出され、直接面接を受ける必要があります。

裁判所調査官からの鋭い質問

指定された平日の日中、私は有休を取り、緊張しながら家庭裁判所の面接室へ向かいました。相手は「裁判所調査官」という専門職の方です。

面接では、以下のようなことを非常に細かく、そして鋭く聞かれました。

  • 「なぜ、あなたが後見人になろうと思ったのですか?」
  • 「叔父さんの現在の財産額と、毎月の収支を正確に把握していますか?」
  • 「ご自身の仕事と、遠方での後見人業務は本当に両立できますか?」
  • 「本人の財産を、自分のために使ったりするつもりはありませんか?」

調査官は、私が「叔父の財産を横領する危険人物ではないか」「途中で投げ出さないか」を厳しく見極めています。親族だからといって甘い顔は一切されません。

私は、ゴミ屋敷の状況や、施設の費用を立て替えている現状、そして「自分がやるしかない」という覚悟を、嘘偽りなく必死に伝えました。

審判と「登記」までの待ち時間

面接後、裁判官による最終的な審査(審判)が行われます。

私の場合は面接から約2週間後、自宅に「審判書」という物々しい書類が届きました。そこには、私が叔父の成年後見人に選任されたことが記されていました。

さらにその2週間後、法務局で「成年後見登記(私が法的に代理人であることの公的な証明)」が完了しました。

申立ての準備を始めてから、実に4ヶ月以上の月日が流れていました。

第6章:ついに後見人に選任!しかし「本当の地獄」はここからだった

登記が完了し、「これでやっと施設の支払いができる!」と安堵したのも束の間。

ここからが、成年後見人としての「終わりのない実務」のスタートでした。

① 銀行窓口での「凍結解除」という果てしない事務作業

法務局で発行した「登記事項証明書」を握りしめ、叔父の銀行口座の凍結解除に向かいました。しかし、銀行の手続きは想像以上に煩雑でした。

  • 名義変更の壁: 単にお金が下ろせるようになるわけではありません。口座の名義を「叔父A」から「叔父A 成年後見人 くじら99」という特殊な名義に変更し、私自身の銀行印を新たに届け出る必要があります。
  • たらい回しと長時間の拘束: 銀行によってルールが異なり、一つの銀行の手続きだけで窓口に2時間以上拘束されることもザラです。私は300km離れた現地の金融機関を何日もかけて回り、有休を使い果たしました。

② 1円単位で管理する「重すぎる責任」

口座が使えるようになった瞬間から、叔父の財産(現金・不動産など)のすべてが私の管理下に入ります。

施設の利用料、病院の医療費、健康保険料の支払いなど、お金を動かすたびに「すべての領収書を保管し、エクセルで1円単位で帳簿をつける」という業務が加わりました。

仕事から疲れ果てて帰宅した深夜、他人の収支計算をして電卓を叩く日々。少しでも計算が合わないと、「裁判所に横領を疑われるのではないか」というプレッシャーで胃が痛くなりました。

第7章:成年後見制度の「限界」と家族の苦悩(デメリット)

実際に成年後見人を務めてみて、私はこの制度の「限界」と「冷酷さ」を身をもって知ることになりました。家族の感情とは裏腹に、法律の壁が立ちはだかります。

1. 財産は「本人のため」にしか絶対に使えない

成年後見制度の目的は「本人の財産を守る」こと。

そのため、親の財産を使った「相続税対策(生前贈与など)」や、「孫への入学祝い・お年玉」といった家族間での当たり前のやり取りが、裁判所から一切認められなくなります。

もし勝手に引き出せば、業務上横領として罰せられる可能性があります。

2. 「実家を売る」には裁判所の許可が必要

「誰も住まなくなったゴミ屋敷の実家を売却して、特養(特別養護老人ホーム)の入居費用に充てよう」と考えても、後見人の独断では売れません。

居住用不動産の売却には「家庭裁判所の許可」が別途必要であり、「本当に本人の生活のために売る必要があるのか」を厳格に審査されます。

3. 一度始めたら「本人が亡くなるまで」辞められない

くじら99

これが最大のデメリットです。

成年後見人は、「仕事が忙しくなったから」「やっぱり大変だから」という理由では絶対に辞められません。

一度スタートしたら、本人が亡くなるまで、この重い責任と厳格な財産管理が数年〜十数年続くのです。

第8章:【重要】手遅れになる前に。「家族信託」という希望

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

私が経験した地獄のような日々をお伝えしたのは、あなたを怖がらせるためではありません。

「もし、親がまだ元気(判断能力がある)なら、絶対に私と同じ苦労をしないでほしい」

その一心でこの記事を書きました。

親が認知症になり「資産が凍結」されてしまってからでは、この重苦しい「成年後見制度」を使うしか道は残されていません。

しかし、まだ元気な今なら、「家族信託」というはるかに柔軟で安全な備えが可能です。

家族信託(民事信託)とは?

親が元気なうちに、信頼できる家族(子どもなど)に財産の管理・運用・処分を託す法的な契約です。

  • 口座は凍結されない: 親が認知症になっても、託された家族の権限でいつでも預金を引き出し、生活費や介護費に充てられます。
  • 裁判所の厳しい監督がない: 成年後見人のような1円単位の報告や、行動の制限を受けません。
  • 実家の売却もスムーズ: 家族の判断とタイミングで、実家を売却することが可能です。

専門家への無料相談が「あなたを救う第一歩」です

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そんな方は、まず専門家に現状を相談してみてください。家族信託は非常に専門的な契約になるため、自力で行うのは不可能です。

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第9章:成年後見人になる前の「よくある質問(FAQ)」

最後に、私がよく相談を受ける内容をFAQとしてまとめました。

Q1. 私(家族)が立候補すれば、必ず後見人になれますか?

A. いいえ。実は現在、親族が選ばれる割合は約2割弱しかありません。

親族間で意見の対立があったり、流動資産(預金など)が高額であったりする場合、家庭裁判所の判断で「弁護士」や「司法書士」などの第三者専門家が選任されるケースが非常に多いです。

Q2. もし専門家が後見人になった場合、報酬は誰が払うの?

A. 本人の財産から、毎月支払い続けることになります。

家庭裁判所が決定しますが、相場は月額2万円〜5万円程度です。これが本人が亡くなるまで毎月引かれ続けるため、数百万単位で財産が目減りしていくことになります。

Q3. 成年後見人の申立てにかかった費用(実費や弁護士費用)は、本人の預金から精算できますか?

A. 原則としてできません。

家庭裁判所への申立て手数料や、弁護士への依頼費用は「申立人(あなた)」の自己負担となります。(※本人の財産から支出することが認められるのは、極めて例外的なケースのみです)。

まとめ:制度を知ることが、家族の未来を守る

成年後見制度は、判断能力を失った人を社会から守るための大切なセーフティネットです。私が叔父の生活を守り抜けたのも、この制度があったからです。

しかし、その実態は「膨大な書類と手続き」「裁判所の厳しい管理」「家族の自由が一切効かない財産制限」という、非常に重い負担を伴うものでした。

くじら99

親の認知症と資産凍結は、ある日突然やってきます。

「あの時、準備しておけばよかった」と悔やんでも、時間は巻き戻せません。

親御さんが少しでも元気なうちに、この記事をきっかけに「これからの財産管理(家族信託など)」について、ご家族で話し合っていただけることを心から願っています。

※当サイトは実体験に基づく情報提供であり、法的なアドバイスを行うものではありません。個別具体的な手続きは、必ず専門家にご相談ください。

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