実家じまいで仏壇はどうする?魂抜き・処分費用・離檀トラブルまで元・後見人が解説

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「実家じまいを進めているけれど、仏壇だけはどうしても手が止まってしまう」

家具も家電も衣類も片付いた。それなのに、仏間だけがそのまま残っている——実家じまいを経験した方から、この話を本当によく聞きます。

私は成年後見人として3年間、300km離れた親族の財産管理を担当しました。本人の施設入所後、空き家になった実家の整理も担いましたが、最後まで残ったのが仏壇でした。お寺との関係、親族の意向、費用、そして自分自身の気持ち——どれ一つとして簡単ではありませんでした。

この記事では、仏壇の処分に必要な手順と費用、そして最もつまずきやすい「お寺との関係」について、実体験を交えて整理します。

【この記事でわかること】
・実家じまいで仏壇が最後まで残ってしまう理由
・魂抜き(閉眼供養)とは何か・依頼の手順とお布施の相場
・仏壇の処分方法5つと費用の比較
・位牌・神棚・遺影・仏具それぞれの扱い方
・菩提寺との離檀交渉でつまずいたこと【実体験】
・親族間で意見が割れたときの対処法
・仏壇を手放した後の供養のかたち
・手順チェックリスト

第1章:実家じまいで仏壇が「最後まで残る」理由

1-1. 家具と同じように扱えないという心理的な壁

タンスやソファは「不要になった家具」として処分できます。しかし仏壇は違います。そこにはご先祖様がいて、亡くなった親がいて、子どもの頃に手を合わせた記憶があります。

「粗大ゴミに出していいのだろうか」「バチが当たるのではないか」——信仰心の有無に関わらず、多くの方がこの感覚を持ちます。これは迷信ではなく、故人やご先祖様への敬意という自然な感情です。だからこそ、正しい手順を踏むことが気持ちの整理につながります。

1-2. 誰に聞けばいいのか分からないという情報の壁

仏壇の処分は、人生で何度も経験することではありません。そのため「誰に相談すればいいのか」がそもそも分かりません。

  • 菩提寺がどこか分からない・付き合いが途絶えている
  • 宗派が分からない(親が亡くなっていて聞けない)
  • お布施をいくら包めばいいのか見当がつかない
  • 仏壇店に相談するべきか、遺品整理業者でいいのか判断できない

特に「宗派が分からない」というケースは実際に多くあります。この場合、位牌の戒名の文字や仏壇の本尊、過去帳から推測できることがあるため、仏壇店に写真を見せて相談すると判明することがあります。

1-3. 親族の目が気になるという人間関係の壁

「仏壇を処分するなんて」と親族から言われることを恐れて、動けなくなる方が非常に多いです。

くじら99

厄介なのは、反対する親族ほど実務を担わないという構図です。

実際に片付ける人、費用を払う人、お寺と交渉する人は決まっているのに、遠方の親族が「残すべきだ」とだけ主張する。この非対称性が、実家じまいで最も感情がこじれるポイントです。

1-4. 重量とサイズという物理的な壁

仏壇は想像以上に重く、大きいものです。伝統的な金仏壇なら100kgを超えるものもあり、成人男性2〜3人でなければ動かせません。

  • 仏間から玄関まで出す間に、壁や柱を傷つけるリスクがある
  • 階段を通らず、窓から吊り下ろす必要がある場合もある
  • 解体しないと運び出せないケースもある
  • 自治体の粗大ゴミでは受け付けてもらえないサイズのことがある

「自分たちで運び出せる」と思って怪我をする方もいます。無理をせず、専門業者に任せる判断も必要です。

第2章:仏壇を処分する前に必要な「魂抜き(閉眼供養)」

2-1. 魂抜き(閉眼供養)とは何か

仏壇や位牌は、購入時に「開眼供養(魂入れ)」という儀式を経て、はじめて礼拝の対象になります。処分する際は、その逆の「閉眼供養(魂抜き)」を行い、単なるモノの状態に戻してもらいます。

呼び方は宗派や地域によって異なります。

  • 閉眼供養(へいがんくよう)
  • 魂抜き(たまぬき)
  • お性根抜き(おしょうねぬき)
  • 抜魂式(ばっこんしき)

なお浄土真宗では「魂を入れる/抜く」という考え方をしません。

代わりに「遷仏法要(せんぶつほうよう)」「入仏法要」という言い方をします。宗派によって作法が異なるため、依頼時に宗派を伝えることが大切です。

2-2. 誰に依頼するのか|菩提寺・仏壇店・僧侶手配サービス

依頼先向いているケース費用の目安
菩提寺お寺との付き合いが続いているお布施1〜5万円+お車代
仏壇店菩提寺がない・宗派が不明供養+引き取りで2〜8万円
僧侶手配サービス付き合いのあるお寺がない3〜5万円程度(定額表示が多い)
遺品整理業者(供養対応)他の家財整理と同時に進めたい整理費用に含まれる/オプション

菩提寺がある場合は、まずそちらに連絡するのが筋です。他に頼んでしまうと、後から関係がこじれる原因になります。

2-3. お布施の相場と包み方・当日の流れ

お布施は「決まった金額」がありません。これが最も悩むポイントです。

【お布施の目安】
・閉眼供養のお布施:1〜5万円(3万円前後が中心的な相場)
・お車代:5,000〜1万円(お寺から出向いてもらう場合)
・御膳料:5,000〜1万円(会食を辞退する場合)

表書きは「御布施」、白無地の封筒または奉書紙に包みます。金額を直接聞きづらい場合は、「皆さまどのくらい包まれていますか」と尋ねるのが角の立たない聞き方です。

当日の流れは以下の通りです。所要時間は30分〜1時間程度が一般的です。

  1. 僧侶が到着し、仏壇の前で読経を行う
  2. 参列者が焼香する
  3. 読経終了後、本尊・位牌を仏壇から取り出す
  4. お布施を渡す
  5. その後、仏壇の搬出・処分へ進む

服装は喪服である必要はありませんが、黒や紺などの落ち着いた平服が無難です。

2-4. 魂抜きをしないとどうなるのか

法律上の義務はありません。魂抜きをせずに処分しても罰せられることはなく、実際にそのまま処分される方もいます。

ただし、以下のリスクがあります。

  • 親族から強く非難される:後から知られて関係が悪化するケースがある
  • 業者が引き取りを断る:供養済みでないと受け付けない業者がある
  • 自分の中に後悔が残る:これが最も大きい。「あのとき何もしなかった」という気持ちは長く残る

数万円で気持ちの区切りがつくのであれば、やっておく価値は十分にあります。

第3章:仏壇の処分方法5つと費用相場

3-1. 菩提寺に引き取ってもらう

最も丁寧な方法です。閉眼供養からお焚き上げまで一貫して依頼できます。

  • 費用:お布施1〜5万円+処分費(1〜5万円程度/寺により異なる)
  • メリット:気持ちの面で最も納得感がある。親族にも説明しやすい
  • デメリット:寺によっては引き取りに対応していない。搬送は自分で手配する必要がある場合も

3-2. 仏壇店に引き取ってもらう

仏壇を購入した店、または近隣の仏壇店に依頼する方法です。供養・搬出・処分をワンストップで対応してくれるのが強みです。

  • 費用:2〜10万円程度(仏壇のサイズ・階数・搬出条件による)
  • メリット:仏壇の扱いに慣れており、建物を傷つけるリスクが低い。宗派が不明でも相談できる
  • デメリット:新しい仏壇の購入が条件になっている店もある

3-3. 遺品整理業者に依頼する

実家じまいで他の家財も同時に処分する場合、最も効率的な方法です。供養に対応している業者を選べば、閉眼供養の手配まで任せられます。

  • 費用:仏壇単体で1〜5万円程度+供養料(全体の整理費用に含まれる場合も)
  • メリット:家財整理と同日に完結する。人手があり搬出がスムーズ
  • デメリット:供養に対応していない業者もある。事前確認が必須

3-4. 自治体の粗大ゴミとして出す

閉眼供養を済ませた後であれば、粗大ゴミとして出すことも可能です。費用面では最も安価です。

  • 費用:数百円〜3,000円程度
  • メリット:圧倒的に安い
  • デメリット:解体が必要な場合がある。搬出は自分で行う。自治体によっては受け入れ不可。心情的な抵抗が残りやすい

自治体によって「仏壇は受け付けない」としているところもあるため、必ず事前に確認してください。

3-5. 家族・親族が引き継ぐ/小型仏壇に買い替える

処分しないという選択肢もあります。ただし現代の住宅事情では、大型の伝統的な仏壇をそのまま引き継ぐのは現実的でないことが多いです。

そこで増えているのが「仏壇じまい+ミニ仏壇への買い替え」です。マンションのリビングに置ける現代的なデザインの小型仏壇(3〜15万円程度)に替え、本尊と位牌だけを引き継ぐ形です。

この方法なら「先祖を粗末にした」という批判を受けにくく、親族への説明もしやすくなります。反対する親族がいる場合の落としどころとして有効です。

方法費用目安手間心情的な納得感
菩提寺に依頼2〜10万円
仏壇店に依頼2〜10万円
遺品整理業者1〜5万円+供養料
粗大ゴミ数百〜3,000円
ミニ仏壇に買い替え処分費+3〜15万円

第4章:位牌・神棚・仏具・遺影はどうする?

4-1. 位牌の扱い|引き継ぐ・お焚き上げ・回出位牌にまとめる

位牌は仏壇本体以上に扱いが難しいものです。位牌は「故人そのもの」と考えられているため、仏壇は処分しても位牌だけは残すという方が多くいます。

選択肢内容費用目安
引き継ぐ自宅のミニ仏壇に移して祀り続ける0円(仏壇購入費は別)
回出位牌にまとめる複数の位牌を1つの位牌にまとめる2〜5万円+魂入れのお布施
お焚き上げ閉眼供養後、寺院で焼却してもらう1〜3万円
永代供養にする寺院に預けて永続的に供養してもらう3〜30万円(寺院による)

位牌が5つも6つもある場合、「回出位牌(くりだしいはい)」にまとめる方法が現実的です。1つの外箱に複数の札板を納める形式で、これなら小型の仏壇にも収まります。

なお浄土真宗では位牌を用いず「過去帳」を使う習慣があるため、扱いが異なります。宗派を確認したうえで判断してください。

4-2. 神棚の扱い|神社への返納とお焚き上げ

仏壇と並んで悩むのが神棚です。神棚は仏教ではなく神道のものなので、お寺ではなく神社に相談します。

  • お神札(おふだ):授かった神社に返納するのが基本。近所の神社の「古札納所」でも受け付けてもらえることが多い
  • 神棚本体:神社に「昇神の儀(御霊抜き)」を依頼してから処分する。初穂料は5,000〜3万円程度
  • 神具(榊立て・水玉・かがり火等):一般ゴミとして処分可能な場合が多いが、気になる場合はお焚き上げに出す

神社の場合、年始の「どんど焼き」でまとめて焼納してくれることもあります。時期が合えば費用を抑えられます。

4-3. 仏具・遺影・過去帳の扱い

品目扱い方
りん・香炉・燭台などの仏具閉眼供養後は一般ゴミ・金属ゴミとして処分可。使えるものは引き継ぐ
本尊(掛軸・仏像)閉眼供養が必須。お焚き上げまたは新しい仏壇へ引き継ぐ
遺影宗教的な魂は宿っていないとされるが、心情的にお焚き上げを選ぶ方が多い。デジタル化して保存する方法も
過去帳絶対に処分しない。先祖の戒名・没年月日の記録であり、再現できない
数珠形見として引き継ぐか、お焚き上げ

⚠️ 過去帳と権利証・通帳に要注意
仏壇の引き出しは「大事なものをしまう場所」として使われていることが非常に多い場所です。過去帳のほか、通帳・印鑑・不動産の権利証・保険証券・現金が出てくることがあります。仏壇を運び出す前に、必ず全ての引き出しと扉の中を確認してください。

📦 仏壇以外にも「捨ててはいけないもの」があります
遺品整理で処分してしまうと相続手続きが止まる書類があります。見落としやすい保管場所とあわせてまとめました。
▶ 遺品整理で捨ててはいけないもの15選|相続・手続きに必要な書類と見落としやすい場所

第5章:【実体験】菩提寺との離檀交渉でつまずいたこと

5-1. 「仏壇の相談」のつもりが「離檀の話」になった

くじら99

私が経験した中で、最も想定外だったのがこれでした。

閉眼供養をお願いするつもりで菩提寺に連絡したところ、話は自然と「では、お墓はどうされますか」「檀家はお続けになりますか」という方向に進みました。

仏壇の相談は、寺院側から見れば「その家が地元を離れる」というサインなのです。

こちらは仏壇のことだけを考えていたのに、気づけばお墓・檀家・年間の護持会費という、より大きな話題の中に立たされていました。心の準備がないまま返答を求められ、その場では何も決められませんでした。

5-2. 離檀料をめぐる話は「相場がない」から難しい

離檀料には法的な支払い義務がありません。

あくまで「これまでのお礼」という位置づけです。しかし現実には、高額な金額を提示されてトラブルになる事例が報道されることもあります。

  • 一般的な離檀料の目安は3〜20万円(法要1〜3回分程度とされる)
  • 数百万円といった高額請求は法的根拠がなく、支払い義務はない
  • 「離檀料を払わないと埋葬証明書を出さない」という対応も不当な扱いにあたる可能性がある
  • 交渉がこじれた場合は、弁護士や消費生活センターへの相談も選択肢になる

とはいえ、多くの寺院は良心的です。問題になるのは「連絡が突然だった」「相談ではなく通告だった」というケースがほとんどだと感じています。

5-3. 実体験から学んだ、こじれさせない伝え方

【うまくいった伝え方】
① まず「決定」ではなく「相談」として持ちかける
② 家の事情を正直に話す(本人が施設に入り、実家を維持できない)
③ 「これまでお世話になったこと」を先に伝える
④ その場で結論を出さず、一度持ち帰る
⑤ 仏壇とお墓は分けて考え、まず仏壇の話だけを済ませる

特に効いたのが⑤の「分けて考える」です。仏壇と墓じまいを同時に切り出すと話が大きくなりすぎます。まず閉眼供養だけをお願いし、お墓については「まだ家族で相談中です」と正直に伝えることで、余計な緊張を生まずに済みました。

また、後見人という立場だったこともあり、「本人の財産から支出するため、家庭裁判所への報告が必要」と伝えたことで、金額の話も透明に進みました。

立場を説明することで、相手も無理を言いにくくなります。

5-4. 菩提寺が分からない・付き合いが途絶えている場合

そもそも菩提寺が分からないケースも増えています。この場合の調べ方は以下です。

  • 過去帳・位牌の戒名から宗派を推測する(仏壇店に写真を見せると分かることがある)
  • お墓の所在地から寺院を特定する(墓地の管理者に問い合わせる)
  • 親族に聞く(親の兄弟姉妹が知っていることが多い)
  • 年忌法要の案内・お布施の記録を探す(仏壇の引き出しに残っていることがある)

どうしても分からない場合は、僧侶手配サービスや仏壇店の供養サービスを使えば問題ありません。菩提寺がない状態で無理に探す必要はありません。

第6章:親族間で仏壇の扱いが割れたときの対処法

6-1. 「処分するな」と言う人ほど実務を担わない構図

実家じまいで最も感情がこじれるのが、この構図です。

  • 実際に片付ける人:実家の近くに住む子、または動ける人
  • 費用を負担する人:多くの場合、上記と同じ人
  • 「処分するな」と言う人:遠方に住み、実務に関わらない親族

反対すること自体は悪意ではなく、その人なりの故人への思いです。しかし「思い」だけを主張して負担を引き受けないのであれば、それは意見ではなく要求になってしまいます。

6-2. 反対されたときの3つの返し方

状況有効な返し方
「処分するなんてありえない」「では、○○さんのお宅で引き取っていただけますか?搬送費はこちらで出します」
「バチが当たる」「お寺に閉眼供養をお願いします。○○さんも立ち会っていただけますか」
「もっと考えるべきだ」「実家は○月までに引き渡す必要があります。それまでに代案をいただけますか」

共通するのは「反対するなら、その人に役割を渡す」という点です。感情論に感情で返すと平行線になりますが、具体的な役割を提示すると議論が現実的になります。

6-3. 落としどころとしての「ミニ仏壇への移行」

それでも折り合いがつかない場合、最も有効な妥協案が「仏壇は小さくして引き継ぐ」という形です。

  • 大型の仏壇は閉眼供養のうえ処分する
  • 本尊・位牌・過去帳は引き継ぐ
  • 誰かの自宅にミニ仏壇を設置して祀り続ける

これなら「先祖を粗末にした」という批判は当たりません。「なくす」のではなく「かたちを変えて続ける」という説明ができれば、多くの親族は納得します。

6-4. 記録を残しておくことがトラブル予防になる

後から「勝手に処分された」と言われないために、以下を記録しておいてください。

  • 仏壇・仏具・位牌の写真(処分前に撮影)
  • 閉眼供養を行った日付・寺院名・僧侶名
  • 親族への連絡履歴(LINEやメールで残す)
  • 処分にかかった費用の領収書

特に閉眼供養の写真や記録は、後から「ちゃんと供養した」と証明する材料になります。私も後見人として費用の説明が必要だったため、すべて記録に残しました。結果的にそれが親族への説明にも役立ちました。

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第7章:仏壇を手放した後の供養のかたち

7-1. ミニ仏壇・手元供養という選択肢

仏壇を処分したからといって、供養が終わるわけではありません。近年は住環境に合わせた新しいかたちが広がっています。

  • ミニ仏壇(モダン仏壇):リビングの棚に置けるサイズ。3〜15万円程度
  • 手元供養:遺骨の一部をペンダントや小さな骨壺に納めて手元に置く
  • 仏壇なしで位牌のみ:位牌と写真だけを置いて手を合わせる
  • 写真と花だけの供養スペース:宗教色を出さず、思い出の場所として整える

「祈る場所があること」が大切なのであって、仏壇の大きさや形式は本質ではありません。

7-2. 永代供養という選び方

引き継ぐ人がいない、遠方で管理できないという場合は、寺院や霊園に永続的な供養を委ねる「永代供養」という選択肢があります。

  • 位牌の永代供養:3〜30万円程度。寺院で位牌を預かり供養を続けてもらう
  • 永代供養墓:合祀墓・納骨堂など。10〜100万円程度
  • 樹木葬・海洋散骨:墓を持たない選択肢

「自分の代で終わらせる」という決断は重いものですが、次の世代に管理の負担を残さないという意味では、誠実な判断でもあります。

7-3. 「かたち」がなくなっても記憶は残る

仏壇を運び出した後の仏間は、驚くほど広く、そして静かです。私もその光景を見たとき、少し呆然としました。

ただ、時間が経って気づいたのは、手を合わせていた記憶は仏壇がなくなっても消えないということでした。むしろ、きちんと供養して送り出したという事実が、後になって心の支えになりました。

実家じまいは「終わらせる作業」ではなく、「かたちを変えて引き継ぐ作業」です。仏壇の処分も、その一部だと考えていいと思います。

第8章:仏壇の実家じまい 手順チェックリスト

8-1. 進める順番

  1. 仏壇の引き出し・扉の中をすべて確認する(通帳・権利証・過去帳の確認)
  2. 宗派と菩提寺を確認する
  3. 親族に方針を伝え、意見を聞く
  4. 閉眼供養の依頼先を決めて日程を調整する
  5. 処分方法を決める(寺院・仏壇店・遺品整理業者・粗大ゴミ)
  6. 処分前に仏壇・仏具の写真を撮る
  7. 閉眼供養を実施する
  8. 本尊・位牌・過去帳を取り出して保管する
  9. 仏壇本体を搬出・処分する
  10. 引き継ぐ場合はミニ仏壇を設置する

8-2. チェックリスト

✅ 仏壇の実家じまい チェックリスト

  • 仏壇の引き出し・扉の中をすべて確認したか(通帳・印鑑・権利証)
  • 過去帳を確保したか(絶対に処分しない)
  • 宗派を確認したか
  • 菩提寺の有無を確認したか
  • 親族全員に方針を伝えたか
  • 閉眼供養の依頼先と日程を決めたか
  • お布施の金額を確認・準備したか
  • 処分前に写真を撮ったか
  • 本尊・位牌・遺影の行き先を決めたか
  • 神棚がある場合、神社への相談をしたか
  • 搬出経路(階段・扉の幅)を確認したか
  • 費用の領収書を保管したか

8-3. 費用の総額めやす

項目費用目安
閉眼供養のお布施1〜5万円
お車代・御膳料1〜2万円
仏壇の搬出・処分1〜10万円
位牌のお焚き上げ1〜3万円
神棚の御霊抜き・処分5,000〜3万円
ミニ仏壇の購入(引き継ぐ場合)3〜15万円
合計おおむね5〜30万円

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よくある質問

Q 魂抜きをせずに仏壇を処分してもいいですか?

法律上の義務はなく、処分しても罰せられることはありません。ただし供養済みでないと引き取りを断る業者があること、親族から非難される可能性があること、そして何より自分の中に後悔が残りやすいことから、実施をおすすめします。費用は1〜5万円程度です。

Q 宗派も菩提寺も分かりません。どうすればいいですか?

位牌の戒名や仏壇の本尊、過去帳から宗派が判明することがあります。仏壇店に写真を見せて相談すると分かる場合が多いです。それでも不明な場合は、僧侶手配サービスや仏壇店の供養サービスを利用すれば問題ありません。無理に菩提寺を探す必要はありません。

Q 離檀料を高額に請求されました。払わなければいけませんか?

離檀料に法的な支払い義務はなく、あくまでこれまでのお礼という位置づけです。一般的な目安は3〜20万円程度とされています。数百万円といった高額請求に応じる義務はありません。交渉が難航する場合は、弁護士や消費生活センターへの相談も選択肢になります。

Q 親族に仏壇の処分を反対されています。どうすればいいですか?

「では引き取っていただけますか」と具体的な役割を提示すると議論が現実的になります。それでも折り合わない場合は、大型の仏壇は供養して処分し、本尊・位牌はミニ仏壇に移して引き継ぐという妥協案が有効です。「なくす」ではなく「かたちを変えて続ける」という説明なら納得を得やすくなります。

Q 神棚はどこに相談すればいいですか?

神棚は神道のものなので、お寺ではなく神社に相談します。お神札は授かった神社に返納するのが基本ですが、近所の神社の古札納所でも受け付けてもらえることが多いです。神棚本体は「昇神の儀(御霊抜き)」を依頼してから処分します。初穂料は5,000〜3万円程度が目安です。

Q 仏壇の処分にかかる費用の総額はどのくらいですか?

閉眼供養のお布施1〜5万円、搬出・処分1〜10万円、位牌のお焚き上げ1〜3万円などを合計して、おおむね5〜30万円が目安です。粗大ゴミとして自分で搬出すれば数千円に抑えられますが、仏壇は重量があるため無理は禁物です。

この記事を書いた人

くじら99(元・成年後見人)

300km離れた認知症の親族のため、働きながら家庭裁判所に選任され成年後見人を3年間務めました。本人の施設入所後、空き家となった実家の整理を担当。菩提寺との閉眼供養・離檀の交渉、仏壇の搬出、遺品整理まで実務で対応しました。「仏壇だけが最後まで残る」という感覚を、身をもって経験しています。

後見人3年間(家庭裁判所選任) 菩提寺との供養・離檀交渉を経験 遠距離300km・就業中に並行して対応

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