成年後見人の定期報告|必要書類・書式・書き方の全手順【元後見人が実例で解説】

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目次

はじめに:年に一度、成年後見人に突きつけられる「通信簿」

こんにちは。元・成年後見人のくじら99(@9jira99)です。

成年後見人の定期報告(後見等事務報告)に必要な書類・書き方・提出手順を、実際に後見人を3年間務めた経験者が解説します。

あちこちの銀行を回って口座を解約し、家庭裁判所に泣きつきながら「成年後見支援預金」を作成し、介護施設と契約を結び、不要なサブスクやインフラを解約して回る……。

私のように、不動産の売却や放置車両の処分など、イレギュラーな大トラブルに見舞われた方もいるでしょう。

「はぁ……やっと落ち着いた。これで一息つける」

そう思ったあなた。残念ながら、成年後見人の仕事に「終わり」はありません。

どんなに平穏な日常が訪れても、「1年に1回、必ず絶対にやらなければならない超重要ミッション」が待ち構えています。

それが、家庭裁判所に対する【定期報告(後見等事務報告)】です。

これは、あなたがこの1年間、ご本人の財産を1円の狂いもなく適切に管理し、生活をしっかりサポートしてきたことを証明するための、いわば「家庭裁判所への通信簿の提出」です。

これをサボることは絶対に許されません。弁護士や司法書士などのプロの職業後見人にとっても、この定期報告が「仕事のすべて」と言っても過言ではありません。

当ブログの中でも、この記事は圧倒的なアクセス数(1000PV以上)を誇っています。それだけ、全国の成年後見人(ご家族)が「定期報告のやり方」に悩み、絶望している証拠です。

今回は、私の実体験と血の滲むような失敗から編み出した、「成年後見人の定期報告を10倍ラクにするための具体的なノウハウ」を、約2万文字に迫る特大ボリュームで徹底解説します。

これから初めての定期報告を迎える方は、絶対にこの記事をブックマークして、何度も読み返してください。

くじら99

この記事を書いた人:くじら99(元 成年後見人)

遠方(300km以上)に住む認知症の親族のため、働きながら家庭裁判所に選任され成年後見人を務めた経験を持つ会社員。

免責事項

当サイトは個人の成年後見業務の実体験に基づく情報提供であり、法的なアドバイスを行うものではありません。個別具体的な手続きについては、弁護士・司法書士などの専門家や管轄の家庭裁判所等へご相談ください。

💡 今後の「全体像」を把握して備えたい方へ

成年後見人としての負担は、毎年の定期報告だけでは終わりません。将来必ず直面する「実家の処分(空き家問題)」や、後見業務が終了した後に待ち受ける「相続・お墓の死後事務」など、この先どんな手続きが待っているのか全体像を把握しておきたい方は、以下のまとめ記事をご覧ください。

▶︎ 親の介護〜死後事務まで:遠距離・成年後見人の「解決ロードマップ」

第1章:成年後見人の「定期報告」の基本ルールと絶望

まずは、定期報告とは一体何なのか、その基本ルールを押さえておきましょう。

成年後見人は、ご本人の全財産を預かるという強大な権限を持っています。その権限が正しく使われているか、親族による財産の横領(使い込み)が起きていないかをチェックするために、家庭裁判所が定期的な報告を義務付けています。

【引用:定期報告の義務】

成年後見人は、就任後遅滞なく財産目録を作成し、その後も定期的に(原則として1年に1回、家庭裁判所が指定した時期に)、ご本人の財産状況や生活状況を記載した「後見等事務報告書」を作成し、裏付け資料とともに家庭裁判所に提出しなければなりません。

出典:[裁判所「成年後見人等の仕事(定期報告)」より要約]

何を報告するのか?(3つの柱)

定期報告で提出を求められる書類は、大きく分けて以下の3つの内容で構成されています。

  1. 財産の報告(財産目録): 「〇月末日時点」での、すべての銀行口座の残高、現金、不動産などの一覧。
  2. 収支の報告(収支状況報告書): 1年間でいくら収入(年金など)があり、いくら支出(施設代、医療費など)があったのかの明細。
  3. 生活の報告(身上保護の報告): 現在ご本人がどこで生活しているか、健康状態(体調の変化)はどうなっているか、後見人として面会に行ったかなどのレポート。

これを、1円のズレも許されず、すべての領収書と通帳のコピーを証拠として突き合わせて提出するのが、定期報告の正体です。

第2章:【超有益】「提出の時期(月)」は変更できるという裏ワザ

定期報告は「1年に1回」ですが、具体的に「何月に提出するのか」は、あなたが「成年後見人に選任された(就任した)月」がベースになります。

例えば、10月に選任された場合、翌年の10月(または11月上旬)が毎年の報告月として家庭裁判所から指定されます。

しかし、ここにご家族(特に現役世代のサラリーマン)を苦しめる大きな罠があります。

サラリーマンの繁忙期と報告月が重なる絶望

私のケースをお話ししましょう。私が成年後見人として登記され、初回の報告を終えて「報告月」として裁判所から指定されたのは、なんと「12月末〜1月」でした。

そう、私の本業(サラリーマン)における「年間で最も忙しい年末年始・決算期」と、1円単位のエクセル作業を強いられる「定期報告」の時期が見事にバッティングしてしまったのです。

忘年会、年末の挨拶回り、仕事の納め、そして正月休み。その合間を縫って、銀行の窓口が閉まる前に通帳を記帳し、1年分の領収書を整理する。

くじら99

……想像しただけで発狂しそうになりました。

家庭裁判所へ「報告時期の変更」を上申する

「このままでは本業に支障が出るし、精神的に持たない」と判断した私は、初回の報告が終わった後、家庭裁判所の担当書記官に電話で相談しました。

「申し訳ありません。現在の報告指定月(1月)は、私の仕事の最繁忙期であり、正確な報告書を作成する時間を確保するのが困難です。つきましては、仕事が落ち着く『GW(ゴールデンウィーク)明けの5月』に、毎年の報告時期を変更していただけないでしょうか?

すると書記官は、

「分かりました。では、次回の報告を一旦『〇月』までの短い期間で区切って提出していただき、それを起点にして、翌年からはご希望の5月に変更しましょう。その旨を記載した『上申書(じょうしんしょ)』を提出してください」

と、あっさりと変更を認めてくれました。

【くじら99の教訓】

定期報告の時期は、正当な理由があれば家庭裁判所に相談して変更が可能です。自分の仕事の繁忙期や、確定申告の時期などと重なって苦しい場合は、無理をして抱え込まず、すぐに裁判所に相談して「自分が一番作業しやすい時期」に変更してもらいましょう。

第3章:日々の準備が命!絶対に泣かない「領収書と通帳」の管理術

報告月を5月に変更してもらったことで、少し心に余裕が生まれました。

しかし、報告月がいつになろうと、1年分の収支をまとめる苦労は変わりません。

定期報告をスムーズに終わらせるための最大の鍵は、「日頃の領収書管理」と「通帳の記帳」をどれだけサボらずにやっているかに尽きます。

これを怠ると、報告月の直前になって「3万円の使途不明金がある!合わない!」と、深夜に電卓を叩きながら泣き叫ぶことになります。

1. 領収書の保管と「カテゴリー分けファイリング」

成年後見人は、ご本人の財産から支払ったお金の「すべての領収書・レシート」を証拠として保管し、報告書に添付する義務があります。

これらを財布や引き出しにポイポイと適当に入れていると、後で地獄を見ます。

私は100円ショップで「じゃばら式のファイル(仕切りがたくさんあるクリアケース)」を買い、そこに以下のカテゴリー(費目)ごとにラベルを貼って、支払ったその日のうちに分類して保管していました。

  • 医療費: 病院の診察代、薬局のレシート
  • 施設費: 特別養護老人ホームからの毎月の請求書と領収書
  • 水道光熱費: 実家(空き家)の電気代、水道代の払込受領証
  • 日用品費: おむつ、ティッシュ、衣類などを買った時のレシート
  • 後見事務費: 私が後見人として動いた際の交通費(切符代)、コピー代、切手代、住民票の取得費用など

⚠️ 警告:コンビニレシートの印字は消える!

未払いの公共料金や日用品をコンビニで支払った際に受け取る「感熱紙のレシート」は、時間が経つと文字が薄くなって消えてしまいます。

後になって「これは何の支払いだったっけ?」となるのを防ぐため、レシートは必ずすぐにA4のコピー用紙に糊で貼り付け、横にボールペンで「〇月分 おむつ代」とメモを書き込んでおくことを強くお勧めします。

2. 通帳の記帳は「毎月のルーティン」にする

通帳の記帳を数ヶ月サボると、合算されて「オマトメ」と印字されてしまい、何にいくら使ったのかが完全に追えなくなります。(※こうなると銀行の窓口に行って「取引明細証明書」を有料で発行してもらうという罰ゲームが待っています)。

通帳の記帳は、最低でも「月に1回」は必ず行う習慣をつけてください。

生活費の支払い、施設からの引き落とし、年金の入金など、記帳するたびに「〇月分 施設代」と通帳の余白に鉛筆で書き込んでおくと、年末の集計作業が劇的に楽になります。

💡 遠距離介護の神機能!「信用金庫」のATM相互利用

ここで、300km離れた実家の財産を管理していた私から、遠距離介護の方に向けた「金融機関選びの強烈なアドバイス」をお伝えします。

前回の記事で、私はご本人の生活決済用口座として、大手のメガバンクではなく「地元の信用金庫」を選びました。

実はこの選択が、通帳の記帳において奇跡的なファインプレーとなったのです。

メガバンクや地方銀行は、遠方に住んでいると「自宅の近くに支店やATMがないから記帳ができない!」という事態に陥りがちです。

しかし、信用金庫には「全国の信用金庫のATMで、他の信用金庫の通帳記帳や入出金が相互にできる(しんきんATMゼロネットサービス等)」という神のようなネットワークが存在します。

つまり、300km離れた「Aさんの地元の信用金庫」の通帳を、私が住んでいる「自宅の近所にある全く別の信用金庫」のATMに突っ込んでも、普通にジージーと記帳ができたのです!

これは遠方で後見人を務める私にとって、交通費と時間を節約する最強のメリットでした。

成年後見支援預金に対する理解も深い傾向があるため、決済口座に迷ったら「信用金庫」を選ぶことを強くお勧めします。

3. 「支援預金」からの資金移動の管理

Aさんの大金は、家庭裁判所の許可がないと引き出せない「成年後見支援預金(ロックされた口座)」に入っています。

そこから、毎月の施設代などで足りなくなった分を補うため、半年に1回ほどのペースで家裁に許可を取り、一定額(例:50万円)を生活用口座に振り込んでもらっていました。

この「口座間の資金移動」も、定期報告の際には「右のポケットから左のポケットにお金を移しただけ」ということを明確に証明しなければなりません。

両方の通帳の「出金履歴」と「入金履歴」が日付と金額で完全に一致しているか、常に確認する癖をつけておきましょう。

第4章:手書きは絶対NG!「収支補助シート(エクセル)」を使い倒せ

日々の領収書管理と通帳記帳のルーティンが確立できたら、次はそれを「報告書の形」に落とし込んでいく作業です。

裁判所のホームページから指定フォーマットをダウンロード

家庭裁判所に提出する「財産目録」や「収支状況報告書」は、管轄の裁判所ごとに指定のフォーマット(書式)があります。

絶対にやってはいけないのは、「送られてきた紙の書類に、電卓を叩きながら手書きで記入していくこと」です。計算ミスをしたり、書き損じたりして修正テープだらけになり、確実に心が折れます。

必ず、管轄の家庭裁判所のホームページにアクセスし、パソコン用の【Excel(エクセル)形式】のフォーマットをダウンロードして使用してください。

エクセルであれば、自動で計算式が入っているため「1円の計算ズレ」を防ぐことができます。

「金銭出納帳(収支補助シート)」が年末の自分を救う

裁判所のエクセルファイルの中には、多くの場合「金銭出納帳(あるいは収支補助シート)」という、家計簿のような別シートが用意されています。

これに、毎月末、通帳を見ながら「〇月〇日・摘要(施設費)・出金150,000円」と入力していくのです。

「報告月になってから1年分をまとめて入力しよう」などと甘い考えを持ってはいけません。

毎月1回の記帳に合わせて、エクセルへの入力もその日のうちに終わらせる。

これを12ヶ月間コツコツと続けるだけで、定期報告の負担は10分の1に激減します。

第5章:事件番号と「担当官(書記官)」の異動に注意せよ

定期報告の準備を進める中で、家庭裁判所と電話でやり取りをすることが増えてきます。「この領収書はどう処理すればいいか?」といった質問をする際、スムーズに話を進めるための2つのコツをお伝えします。

1. 「事件番号」は常に手元に置いておく

家庭裁判所に電話をかけると、必ず最初に聞かれるのが「事件番号(じけんばんごう)」です。

「令和〇年(家)第〇〇〇〇号」 という、一番最初に申立てをした時に付与されたあの番号です。

裁判所には毎日膨大な数の案件が動いているため、「Aの成年後見人のくじら99ですが」と名前を名乗っても、すぐにはカルテ(ファイル)を出せません。スマホのメモ帳や、手帳の表紙など、すぐに確認できる場所にこの事件番号を控えておきましょう。

2. 担当官(書記官)は「毎年変わる」と心得よ

これは裁判所というお役所の宿命ですが、あなたの案件を担当してくれている担当官(書記官)は、定期的な人事異動により、早ければ1年、長くても数年で別の担当者に変わってしまいます。

前任の担当官と「この不動産の売却の件は、こういう事情だからこういう処理でいいですよね」と口頭で合意していた特殊な事情も、担当が変わると一から説明し直さなければならないことがあります。

だからこそ、定期報告書の中にある「事情説明」の欄や上申書には、「なぜこの支出が必要だったのか」「どういう事情でこの財産が減っているのか」を、誰が読んでも分かるように、客観的な文章で詳細に記録しておくことが重要なのです。

第6章:発狂寸前の総仕上げ!通帳と領収書の「突合(ナンバリング)」

エクセルでの収支入力が終わり、「よし、これで提出できる!」と安心するのはまだ早いです。

定期報告の提出準備において、私が「すごい面倒くさいですが……」と本音を漏らさずにはいられない、最後の地獄の作業が待っています。

くじら99

それが、【通帳のコピーと領収書の突合(とつごう)作業】です。

裁判所は「証拠」がすべて

家庭裁判所の書記官は、あなたが提出したエクセルの収支報告書を、ただ漫然と読むわけではありません。

「報告書に書かれた数字」=「通帳の入出金履歴」=「領収書の金額」

この3つが完全に一致しているかを、探偵のように厳しくチェックします。

裁判所の人に「この通帳から引き出された15万円は、一体どの領収書に該当するの?」と迷わせないために、こちら側で「ナンバリング(番号振り)」をしてあげる必要があるのです。

具体的なナンバリングの手順(くじら99流)

私は以下の手順で、パズルのように証拠を紐付けていきました。

  1. 通帳を全ページコピーする: 報告期間(1年間)の通帳のページをすべてA4用紙にコピーします。
  2. 出金履歴に番号を振る: 通帳コピーの「出金」の横に、赤いボールペンで「①、②、③…」と通し番号を振っていきます。(※毎月定額で落ちる施設費用などは「施-1、施-2」などでもOKです)。
  3. 領収書(コピー)にも同じ番号を振る: 該当する領収書の右上にも、同じように赤いボールペンで「①、②、③…」と番号を振ります。
  4. 収支補助シートにも記載する: エクセルの備考欄にも、この番号を打ち込んでおきます。

【なぜ面倒なのか?「立て替え」の精算問題】

特に面倒なのが、私が後見人として交通費(切符代)や事務用品(ファイル代、コピー代)などを「立て替え払い」し、後からAさんの口座から引き出して精算したケースです。

例えば、「切符代800円」と「ファイル代200円」を別々の日に立て替え、後日まとめて「1,000円」を口座から引き出したとします。

この場合、通帳の出金「1,000円」の横に【④】と書き、2枚の領収書(800円と200円)の両方に【④】と書く必要があります。

この作業を1年分まとめてやろうとすると、間違いなく発狂します。

だからこそ、第3章でお伝えした「日頃からの領収書整理」が命綱になるのです。

第7章:お金だけじゃない!「身上保護(体調・生活)」の報告

成年後見人の仕事は、財産管理だけだと思われがちですが、もう一つの重要な柱があります。それがご本人の生活や健康を守る「身上保護(しんじょうほご)」です。

定期報告書のフォーマットには、必ず「被後見人の生活状況・健康状態」を記載する欄があります。

何を報告すればいいのか?

  • 居住場所: 現在どこで生活しているか(〇〇特別養護老人ホームなど)。
  • 面会の頻度: この1年間で、後見人として何回施設に面会に行ったか。電話などで状況確認をしたか。
  • 健康状態の変化: 入院や手術はあったか。要介護度に変化はあったか(要介護3から4に上がった、など)。
  • 今後の見通し: 現在の施設での生活を継続する予定か、転居の必要性があるか。

離れて暮らしていると、頻繁に面会に行くことは難しいかもしれません。

しかし、「施設に入りっぱなしで放置している」と思われないよう、定期的に施設のケアマネージャーや相談員に電話をして様子を聞き、その記録(〇月〇日、施設長と電話面談等)を残しておくことが大切です。

ご本人の体調に大きな変化(入院など)があった場合は、この報告書で詳細に伝え、今後の介護費用の増加予測なども共有しておきましょう。

第8章:自分の苦労に報いる!「報酬付与申立て」の同時提出

さて、ここまで血の滲むような思いで財産を管理し、地獄の書類作成を乗り越えてきたあなたに、大切なお知らせがあります。

成年後見人の仕事は、決して「ボランティア(タダ働き)」ではありません。

弁護士や司法書士などの専門職が後見人になれば、ご本人の財産から毎月報酬が支払われます。そしてこれは、親族が後見人を務めている場合でも同様に、報酬を受け取る権利があるのです。

【引用:成年後見人の報酬について】

家庭裁判所は、後見人等及び本人の資力その他の事情によって、本人の財産の中から、相当な報酬を後見人等に与えることができる(民法第862条)。

報酬をもらうためには「自分から申立てる」必要がある

ただし、黙っていても裁判所から「お疲れ様!〇〇万円振り込んでいいよ!」と言われることは絶対にありません。

報酬をもらうためには、自ら家庭裁判所に対して『報酬付与申立て(ほうしゅうふよもうしたて)』という手続きを行う必要があります。

そして、この申立てを行うベストなタイミングこそが、「年に1回の定期報告書の提出と【同時】に行う」ことなのです。

どうやって申立てるの?

管轄の裁判所のホームページから、以下の2つの書類をダウンロードして記載します。

  1. 報酬付与申立書
  2. 報酬付与申立事情説明書

事情説明書には、「この1年間で、不動産売却の手続きに奔走した」「遠方の実家の片付けのために何度も足を運んだ」など、自分がどれだけ苦労して後見業務を行ったかを具体的にアピールして書きます。

これを定期報告書と一緒に提出することで、裁判官が「この1年の働きぶりと、本人の財産状況」を総合的に評価し、報酬額(例:年間10万円〜数十万円など)を決定して『審判書』を送ってくれます。

(※その審判書が届いて初めて、ご本人の口座から自分の口座へ報酬額を振り込むことができます)。

自分の正当な働きに対する対価です。遠慮せずに、必ず定期報告と一緒に申立てを行いましょう!

第9章:いざ提出!レターパックの活用と「到着確認」の電話

すべての書類(報告書、通帳コピー、領収書コピー、報酬付与申立書)が完璧に揃ったら、いよいよ家庭裁判所へ提出します。

提出は「レターパック(赤)」が最強

裁判所の窓口に直接持っていくことも可能ですが、平日に休みを取るのは大変です。私はいつも郵送で提出していました。

郵送する場合は、普通郵便ではなく郵便局の『レターパックプラス(赤色)』を強くお勧めします。

  • 追跡番号がついているため、「裁判所に届いたか」がスマホで確認できる。
  • 対面手渡し(受領印あり)なので、超重要な個人情報が紛失するリスクが極めて低い。
  • 分厚い領収書の束を入れても、封が閉まれば全国一律料金で送れる。

提出後のリアル:「便りのないのは良い知らせ」

レターパックをポストに投函し、追跡サービスで「お届け先にお届け済み」となったのを確認したら、私は念のため、家庭裁判所の担当書記官に「電話」を入れるようにしていました。

「成年後見人のくじら99ですが、昨日、定期報告書一式を郵送いたしました。無事に届いておりますでしょうか?」

くじら99

なぜわざわざ電話をするのか?

実は家庭裁判所は、提出された報告書をチェックして「何も問題がなければ、一切の連絡をしてこない(受領の通知すら来ない)」のがデフォルトだからです。

提出して1ヶ月経っても何も連絡がないと、「あれ? 届いてない? それとも今、厳しい審査が行われていて、後で怒られるの?」と不安で夜も眠れなくなります。

「はい、確かに受け取っております。これから審査しますので、不備があればご連絡しますね」という言葉を直接聞くだけで、精神的ストレスが激減します。問題がなければ、そのまま「今年の業務」は終了です!

💡 定期報告の「通帳管理とエクセル計算」で疲弊している方へ

複数の銀行口座をそのまま維持していると、口座間の資金移動が複雑になり、定期報告で「1円のズレ(使途不明金)」が発生する原因になります。
来年以降の定期報告を劇的にラクにするための「口座の統廃合(支援預金と日常口座の分け方)」と、その過酷な事務負担に対して正当な対価を受け取るための「報酬付与申立てのやり方」について、以下の記事で詳しく解説しています。

▶︎ 成年後見人のリアルな銀行手続き(口座統廃合)と「報酬」の真実

第10章:成年後見人の定期報告に関するよくある質問(FAQ)

Q. 領収書をうっかり紛失してしまった場合、どうすればいいですか?

A. 「出金伝票」や「理由書」を作成して代用します。

例えば、自動販売機でおむつを買った場合や、電車代など領収書が出ない交通費の場合は、100円ショップで売っている「出金伝票」に日付と金額、用途を書いて代用します。もし高額な領収書を紛失した場合は、購入履歴(クレジットカード明細など)を添付し、事情を記載した理由書を添えて提出すれば、大抵は認めてもらえます。

Q. エクセルで収支を計算したら、通帳の残高と「数円〜数百円」どうしても合いません!

A. 発狂する前に、もう一度「利息の入金」と「銀行の手数料」を確認してください。

残高が合わない原因の99%は、通帳に半年に1回つく「数円の受取利息」の記入漏れか、ATMで引き出した際の「110円の時間外手数料」の記入漏れです。それでも合わない使途不明金が出た場合は、無理にごまかさず「原因不明の差異(立替金で自己負担)」として正直に報告し、裁判所の指示を仰いでください。

Q. 忙しくて、指定された報告月に提出できそうにありません。ペナルティはありますか?

A. 無断で遅延すると、最悪の場合は「後見人の解任」に繋がります。

無断で期日を破ることは、裁判所からの信用を完全に失う行為です。少しでも遅れそうだと分かった時点で、「必ず期日前に」家庭裁判所へ電話をし、事情を説明して提出期限の延長をお願いしてください(※前述の通り、正当な理由があれば柔軟に対応してくれます)。

📱 財産管理と並行して進めたい「デジタル終活」
定期報告で通帳・財産目録を整理するなら、自分自身のデジタル資産の整理も同時に考えておきましょう。スマホのロック・ネット銀行・暗号資産の把握が、家族を守ることに繋がります。
▶ デジタル終活とは?見られたくない秘密を守りながら家族を困らせない方法

まとめ:日常のリズムに組み込めば「定期報告」は怖くない

成年後見人としての定期報告は、ご本人の財産と命を守るために絶対に避けては通れない最重要ミッションです。

くじら99

領収書のナンバリング、通帳の記帳、1円単位での収支の把握……。

文章で読むと「なんて面倒な制度なんだ」と絶望するかもしれません。実際に、面倒くさいです(笑)。

くじら99

しかし、ここで一つ救いのお話をします。

定期報告の作業は、1年やって「自分の生活のリズム」に組み込んでしまえば、2年目以降は劇的に楽になります。

「毎月末の土曜日は、通帳を記帳してエクセルに入力する日」と自分の中でルール化してしまえば、報告月に行うのは「印刷してレターパックに詰めるだけ」の作業に変わります。

むしろ、私が経験した「不動産売却の手続き」や「その後の被後見人の確定申告」「突然の介護保険の負担割合増による資金ショート」といった【想定外のイレギュラー対応】の方が、よっぽど精神的にも体力的にも地獄でした。

くじら99

成年後見人という役割は、プレッシャーとの戦いです。

でも、その重圧の中で親族を支え続けているあなたは、本当に立派な仕事をしています。決して一人で抱え込まず、裁判所や専門家、施設のスタッフをどんどん頼って、自分自身の生活も大切にしてくださいね。

さて、ご本人Aさんの体調も、年齢とともに少しずつ悪化してきました。

今後は、財産管理だけでなく「介護施設やケアマネージャーとのやり取り・医療同意」といった、よりデリケートな身上保護の対応が頻繁になっていきます。

くじら99

だんだんと、命に関わる緊張感が増してきます。

もし皆さんの親御さんも、認知症の進行や病気によって「今の施設ではこれ以上みられません」と急に言われたらどうしますか?

働きながら、平日の日中に自力で次の施設を一から探すのは、本当に不可能に近いです。有給休暇を使い果たす前に、こうしたプロの無料相談サービスを頼るのが、家族としての最大の防衛策になります。

いざという時のために。まずは「無料の資料請求」だけで準備を

親の体調が急変し「今の施設を出なければならない」となった時、切羽詰まった状況でゼロから施設を探し始めるのは本当に絶望的です。有休があっという間に消滅します。

焦る前に、まずは「どんな施設があるのか、パンフレット(資料)を取り寄せておくだけ」で、将来の選択肢と心の余裕が劇的に変わります。
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次回のブログでは、その「介護現場でのリアルな後見人の葛藤」についてお話しします。

くじら99

是非ご覧ください。ではまた!

※当サイトは実体験に基づく情報提供であり、法的なアドバイスを行うものではありません。個別具体的な定期報告の手続きや書式については、必ず管轄の家庭裁判所へご確認ください。

🔗 後見をつけたくない・事前に備えたい方へ
▶ 成年後見人をつけたくない人へ|対策と代替策を元・後見人が解説

💡 次のステップ:後見業務が終わった「その後」のリアル

本人が他界し、ようやく後見人としての公的な業務が終了した……と思いきや、親族がいない「おひとり様」の場合、引き続き【死後事務(事後処理)】という本当のラストミッションが待ち構えています。

中でも最も厄介で精神を削られる「お墓の問題(墓じまい・お寺との離檀交渉)」に直面した、壮絶な事後処理の全記録を公開しました。

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