「成年後見人って、報酬もらっていいんですか?」
私が後見人を始めた頃、この疑問を誰にも聞けないまま1年近く過ごしました。家族のためにやっていることで、お金をもらうのは何か悪いことのように感じていたからです。
でも、実際に動いてみると分かります。有給休暇を消化して遠距離の役所を回り、不動産売却の手続きをこなし、廃車業者との交渉まで。これは「ボランティア」ではありません。
この記事では、実際に3年間後見人を務めた経験をもとに、報酬の相場・決まり方・申立書の書き方まで、他のサイトには書けない「現場のリアル」をお伝えします。
【この記事でわかること】
・基本報酬の相場(財産額別の目安)・報酬は誰が払うのか・いつもらえるのか
・親族でも報酬をもらっていい理由
・付加報酬の申立て方(不動産・廃車・遠距離実務の実例)
・申立書・事情説明書の書き方と提出手順
・確定申告の要否と助成制度
第1章:成年後見人の報酬はいくら?2026年最新の相場と目安
1-1. 基本報酬の相場:月額いくらが標準か(財産額別の目安)
成年後見人の報酬は、家庭裁判所が決定します。目安として、東京家裁が公表している基準が全国的に参考にされています。
| 管理財産額 | 月額報酬の目安 |
|---|---|
| 1,000万円未満 | 月額 2万円 |
| 1,000万円〜5,000万円未満 | 月額 3〜4万円 |
| 5,000万円以上 | 月額 5〜6万円 |
ただしこれはあくまで「目安」であり、確定するのは家庭裁判所の審判書が届いたときです。実際の金額は、管理財産額だけでなく業務の難易度・身上保護の手間・特別な事務(不動産売却等)の有無によって上下します。
【法的根拠】
成年後見人の報酬は民法第862条に基づきます。「家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる」。黙っていても支払われるものではなく、自ら申立てて初めて認められる仕組みです。1-2. 弁護士・司法書士・社会福祉士・親族で報酬相場はどう違う?
後見人の種類によって、報酬の水準に差はありません。基準は同じ「財産額と業務内容」です。ただし、実態として専門職は基準額通りに申立てることが多く、親族後見人は遠慮して申立てないか、少額にとどめるケースが目立ちます。
| 後見人の種類 | 報酬の実態 | 備考 |
|---|---|---|
| 弁護士 | 基準額通り(毎年申立て) | 専門職として当然の報酬として請求 |
| 司法書士 | 基準額通り(毎年申立て) | 同上 |
| 社会福祉士 | 基準額通り(毎年申立て) | 同上 |
| 親族・家族 | 申立てない・少額が多い | 心理的抵抗から遠慮しがち |
親族が遠慮する必要は全くありません。後で詳しく述べますが、申立てないことの方がデメリットが大きいです。
1-3. 財産額や事務内容で報酬額が変わる理由
報酬は「管理財産額が多いほど責任が重い」という考え方で設計されています。ただし財産額が少なくても、遠距離での対応・施設変更・不動産売却などの手間が多い場合は、付加報酬(加算)を申立てることができます。
つまり報酬は「財産額×業務の難しさ」の掛け算で決まると理解しておくと、申立てのイメージが立てやすくなります。

第2章:成年後見人の報酬は誰が払う?

2-1. 原則は「本人の財産から」——家族の持ち出しではない
報酬は本人(被後見人)の財産から支払われます。家族や親族が自腹を切るものではありません。
審判書が届いたら、本人の口座から後見人自身の口座に報酬額を振り込む手続きをします。この振込の記録(通帳コピー)は次回の定期報告で証拠として使います。
【流れのポイント】
申立て → 審判書が届く → 本人口座から後見人口座へ振込 → 次回報告時に通帳コピーで証明2-2. 家族や親族が払うケースはある?例外的な事情と判断基準
基本的にありません。ただし本人の財産が著しく少なく、報酬を払うと生活費が枯渇するような場合は、裁判所が報酬額を減額・不認可とする場合があります。そのような場合は後述の助成制度(自治体の報酬助成)を利用します。
2-3. 本人の収入・財産が少ない場合の考え方
財産が少ない場合でも、後見人の仕事が消えるわけではありません。このケースでは2つの方向性があります。
報酬を申立てない選択:本人への影響を考え、あえて申立てない。
自治体の報酬助成を活用:市区町村が後見人報酬を助成する「成年後見制度利用支援事業」を利用する(第8章で詳述)。
第3章:法定後見と任意後見で費用・報酬の決まり方はどう違う?
3-1. 法定後見の報酬は家庭裁判所が決定する
法定後見(成年後見・保佐・補助)の報酬は、後見人が申立書を提出し、家庭裁判所の裁判官が審判で金額を決定します。後見人が「この金額にしてほしい」と要望を書くことはできますが、最終決定権は裁判所にあります。
3-2. 任意後見は契約で報酬を決める
任意後見は、本人が判断能力のあるうちに公正証書で「誰に・何の権限を・いくらの報酬で」委任するかを契約します。法定後見と異なり、報酬額は契約当事者間で自由に設定できます(無報酬も可能)。
3-3. 後見・保佐・補助の選択で費用が変わるポイント
| 種類 | 対象者 | 権限の範囲 | 費用面の特徴 |
|---|---|---|---|
| 後見 | 判断能力がほぼない | 財産管理・身上保護の全権限 | 報酬額が最も高くなりやすい |
| 保佐 | 判断能力が著しく不十分 | 重要行為への同意・取消権 | 業務量に応じて変動 |
| 補助 | 判断能力が不十分 | 特定行為への同意・代理権 | 範囲が限定的で比較的低め |

第4章:報酬はどう決まる?基本報酬・付加報酬・監督の仕組み

4-1. 基本報酬と付加報酬の違い
報酬は大きく2種類に分かれます。
| 種類 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 基本報酬 | 財産管理・身上保護など通常業務の対価 | 月額2〜6万円(財産額による) |
| 付加報酬 | 通常業務を超えた特別な事務への加算 | 基本報酬の25〜50%が目安 |
付加報酬は自動的には付きません。「こういう特別な仕事をしました」と事情説明書に具体的に書いて初めて認められます(書き方は第6章)。
4-2. 管理財産額・身上監護・特別な事務が付与に与える影響
裁判所が報酬額を決める際に考慮する主な要素は、管理財産額(預貯金・不動産等の総額)、身上保護の頻度・難度(施設変更・医療同意・緊急対応等)、特別な事務の有無(不動産売却・訴訟・遺産分割・廃車処分等)、後見期間の長さと業務量、そして遠距離対応など業務遂行上の困難な事情です。
4-3. 後見監督人がいる場合の追加費用と監督の仕組み
管理財産額が大きい場合や複雑な案件では、家庭裁判所が「後見監督人」を選任することがあります。監督人も別途報酬を受け取り、その費用も本人の財産から支出されます。
第5章:親族でも報酬はもらえる?心理的ハードルの乗り越え方
5-1. 「家族なのにお金をもらっていいのか?」への答え
結論から言います。もらっていいどころか、もらうべきです。
私自身、最初の1〜2年は申立てることへの抵抗がありました。「家族の世話でお金を取るのか」という感覚です。でも実際に動いてみると、この仕事がいかに重いかが分かります。
有給休暇を使って300km先の役所・銀行を回る。1円単位で収支を管理し、年1回の定期報告書を作成する。不動産売却・廃車処分の手続きを全て担う。施設のケアマネ・医師との連絡を年間通じて続ける。
弁護士が同じ仕事をすれば当然報酬を受け取ります。親族だから無償でやれというのは、法的にも道義的にも正当ではありません。
5-2. 受け取らないことのデメリット
遡って請求できない:申立てなかった期間の報酬は、後から「やっぱりほしい」と言っても認められません。
後見期間が長くなるほど損失が拡大:3年間申立てなければ、本来受け取れた数十万円が消えます。
正当な対価を放棄することで業務継続が困難になる:精神的・体力的に疲弊した状態で無償で続けると、後見人としての機能が低下するリスクがあります。
5-3. くじら99の実例:実際にいくら申立てて、いくら認められたか
私の案件(管理財産:1,000万円台、後見期間:約3年)では、以下の内容で申立てました。
【申立て内容(概要)】
・基本報酬:財産管理・身上保護の通常業務(施設費支払い、定期報告書作成、施設訪問・電話対応)・付加報酬①:不動産売却(売却代金入金額を基準)
・付加報酬②:廃車処分(業者交渉・リサイクル券対応・書類手続き)
・付加報酬③:遠距離実務(交通費実費。全領収書をリスト化し番号突合で提出)
結果として、基本報酬に加えて付加報酬が認められ、通常より多めの審判となりました。特に「領収書のリスト化+番号突合」という証拠の出し方が、審査をスムーズにしたと感じています(詳細は第6章・第7章)。
第6章:付加報酬を最大化する事情説明書の書き方
6-1. 通常業務との「差」を数字と具体性で示す
付加報酬が認められるかどうかは、事情説明書に何をどう書くかでほぼ決まります。裁判官は「この後見人が、通常の後見業務を超えた特別な苦労をした」と判断できる具体的な記述を求めています。
NGな書き方の例:
→ 何をどれだけやったか伝わらない。認められにくい。
OKな書き方の例:
✅ OK例(具体性を持たせた記述)
・「令和○年○月○日〜○月○日にかけ、○○不動産株式会社との売買契約締結に向け、査定・交渉・契約締結・引渡し立会いを行いました。売却代金入金額は金○○○万円です」・「300km以上離れた○○市の自宅から○回来訪し、交通費(新幹線・在来線)の実費総額は金○○円です。全領収書を別紙リストにて番号突合のうえ添付します」
・「本人所有の車両(○○ナンバー)について、廃車業者に依頼し、自動車リサイクル券(写し添付)の処理を含む廃車手続きを完了しました」
6-2. 不動産売却・廃車処分・遠距離実務を漏れなく記載する
私が実際に申立てた3つの付加報酬について、それぞれの記載ポイントを解説します。
① 不動産売却
申立書の様式(静岡家裁版)では「⑤ 不動産の処分・管理」の欄に、売却代金の入金額を記載します。金額が大きいほど付加報酬も高くなる傾向があります。売買契約書・振込確認書類を必ず添付してください。
② 廃車処分
様式の「⑥ その他」欄を使用します。単に「廃車しました」ではなく、「業者への依頼・自動車リサイクル券の処理・住所地での対応を含む廃車手続き一式を行いました」と書きます。リサイクル券の写し・業者との契約書・廃車証明書を添付すると説得力が増します。
③ 遠距離実務
「⑥ その他」欄に記載します。私が実際に採用した方法は以下の通りです。
【くじら99の交通費の出し方(実際の方法)】
1. 全ての移動について領収書を保管(新幹線・在来線・タクシー・高速)2. ExcelでA4縦のリストを作成(日付・目的・交通手段・金額・領収書番号)
3. 領収書現物にも同じ番号をボールペンで記入(突合できるように)
4. リスト+領収書原本を別紙として添付
→ 「本業の有給を使い300km超を○回往復。交通費実費合計○○円」と事情説明書に総額を明記
この「リスト+番号突合」の形式は、定期報告書の領収書管理と全く同じ考え方です。裁判所書記官が確認しやすく、追加質問が来にくい形式です。
6-3. 裁判官が「やむを得ない」と判断する書き方の構造
事情説明書全体の構造として、以下の3段階で書くと通りやすくなります。①背景(客観的状況:なぜ必要だったか)、②行動(具体的に何をしたか:日付・回数・金額)、③証拠(添付資料との対応)。この順で書けば、裁判官は事実確認だけで判断できます。


第7章:報酬付与申立書の書き方・提出手順
7-1. 申立てに必要な書類一覧と対象期間・タイミング
実際の提出書類(静岡家裁の書式をもとに解説):
✅ 提出書類一覧
・報酬付与申立書(収入印紙800円を貼付)・報酬付与申立事情説明書(付加報酬がある場合は別紙・資料も添付)
・後見等事務報告書(定期報告書)
・財産目録
・預貯金通帳の写し等
・※後見登記事項に変更がある場合は住民票・戸籍謄本も必要
「対象期間」は、就職の日(または前回申立て終了日)から今回の終了日までの期間を記載します。申立書の様式には「就職の日・終了の日」のチェックボックスがあるので、初回は「就職の日」にチェックを入れます。
7-2. 事情説明書の記載ポイント(様式に沿って解説)
実際の様式(静岡家裁版)の構成に沿って説明します。
第1項:管理財産額
預貯金等と株等(時価)を分けて記載。保険は含めないことに注意。財産目録と一致していることを確認してください。
第2項:報告対象期間の収支
黒字・赤字のどちらかにチェックを入れ、差額を記入。赤字の場合は理由を説明できるよう準備しておきましょう。
第3項:付加報酬
「求めない」か「求める」かを選択。求める場合は①〜⑥の該当項目にチェック。不動産売却 → ⑤「不動産の処分・管理」に売却代金入金額を記載。廃車処分・遠距離実務 → ⑥「その他」に記載し「詳細は別紙のとおり」にチェック。
7-3. 定期報告書と同時に出すべき理由
報酬付与申立ては、定期報告書の提出と同じタイミングで行うのが鉄則です。理由は3つあります。
1. 裁判官が「1年間の業務内容」と「報酬額」を同時に審査できる
2. 別々に出すと書記官の確認コストが増え、追加質問が来やすい
3. 添付書類(通帳コピー・財産目録)が共通で使えるため手間が省ける
7-4. 審判書が届いてから口座に振り込むまでの手順
1. 家庭裁判所から「審判書」が届く(申立て後1〜2ヶ月程度)
2. 審判書に記載された金額と対象期間を確認する
3. 本人の口座から後見人自身の口座に審判書の金額を振り込む
4. 振込の通帳コピーを保管する(次回定期報告時に証拠として添付)
第8章:費用が払えないとき——助成制度・生活保護の活用

8-1. 報酬が払えない場合に使える自治体の助成制度
本人の財産が少なく報酬が払えない場合、多くの市区町村で「成年後見制度利用支援事業」という助成制度が設けられています。これは、報酬を本人財産から支払うことが困難な場合に、自治体が代わりに費用を助成する制度です。
【制度の概要】
・根拠:老人福祉法・障害者総合支援法等・対象:本人の財産・収入が一定基準以下の場合
・助成額:自治体によって上限が異なる(月額2万円程度が多い)
・申請先:お住まいの市区町村の高齢福祉担当課・障害福祉担当課
制度の有無・上限額・対象基準は自治体によって大きく異なります。まずはお住まいの市区町村窓口に確認してください。
8-2. 生活保護受給者でも成年後見制度は使える?費用負担の考え方
生活保護受給者であっても成年後見制度は利用できます。この場合、申立費用・後見人報酬ともに前述の「成年後見制度利用支援事業」の対象となるケースが多く、本人負担がほぼゼロになる場合もあります。
また、市区町村長申立て(本人に親族がいない・連絡が取れない場合)の場合は、自治体が申立費用を負担することがあります。
8-3. 地域の福祉窓口・支援事業への申請方法
地域包括支援センター:高齢者の場合の総合相談窓口。助成制度の案内もしてくれる。
社会福祉協議会:日常生活自立支援事業・法人後見の案内も可能。
市区町村高齢福祉・障害福祉担当課:助成申請の窓口。
第9章:専門家vs親族——どちらが向いているか比較
9-1. 弁護士に依頼すべきケースと状況
以下のような場合は、弁護士への依頼を検討してください。
親族間で対立・トラブルがある。訴訟・調停・示談が絡む可能性がある。
財産が複雑(複数の不動産・会社経営等)。
申立人と本人の利益が相反する場面がある。
9-2. 司法書士・社会福祉士を選ぶ目安
司法書士:不動産登記・法的手続きが多い案件。費用は弁護士より低め。
社会福祉士:身上保護(施設・医療との連携)が中心の案件。福祉的観点が強い。
9-3. 親族・家族が後見人になるメリットと現実的な注意点
| メリット | 注意点 | |
|---|---|---|
| 親族後見人 | 本人をよく知っている。専門職報酬が不要。意思疎通がしやすい。 | 定期報告・財産管理の負担が重い。感情的に疲弊しやすい。業務の重さを過小評価しがち。 |
| 専門職後見人 | 手続きに精通。感情的な判断を避けやすい。親族間トラブルの緩衝材になる。 | 本人との関係が薄い。報酬が本人財産から継続的に引かれる。選任後は変更しにくい。 |
私の経験から言うと、「本人のことをよく知っている親族が後見人になり、困ったら専門家に相談する」が現実的な最善策です。最初から専門職に任せると、本人の意向が反映されにくくなることがあります。
第10章:報酬請求でよくある疑問・失敗しないための確認ポイント

10-1. 報酬はいつ請求できる?対象期間と請求の考え方
報酬は就職(選任)した日から申立て可能ですが、一般的には1年分まとめて年1回、定期報告書と同時に申立てるのが標準です。期間が長くなれば報酬総額も増えますが、申立てなかった期間を後から遡って請求することは認められません。毎年必ず申立てることが重要です。
10-2. 確定申告は必要?税務上の基本
成年後見人の報酬は雑所得として所得税の課税対象になります。
| ケース | 申告の要否 |
|---|---|
| 会社員で報酬が年間20万円超 | 確定申告が必要 |
| 会社員で報酬が年間20万円以下 | 申告不要(住民税の申告は必要な場合あり) |
| 専業主婦・無職で報酬が年間48万円超 | 確定申告が必要 |
後見業務にかかった費用(交通費・通信費・書類取得費用等)は、必要経費として雑所得から差し引けます。領収書を保管しておきましょう(定期報告の証拠と兼用できます)。
10-3. 信託・相続があるケースで注意したい費用と後見の関係
家族信託と成年後見は併用できません。親が元気なうちに家族信託を組んでおけば、後見制度の費用負担を回避できます。ただし、すでに認知症が始まっている場合は家族信託を組むことができないため、後見制度を利用するしかありません。
親がまだ元気なら、家族信託の検討は「今」が最後のチャンスかもしれません
認知症と診断されてからでは家族信託は組めず、選択肢は後見制度だけになります。後見は本人が亡くなるまで毎月報酬が発生し続けます(年間24〜72万円)。元気なうちに一度、無料相談で比較しておくことを経験者としておすすめします。
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10-4. 申立前に確認したい費用総額と継続支出の目安
後見制度は一度始まると原則として本人が亡くなるまで継続します。長期間にわたる費用を事前に試算しておくことが重要です。
【後見全体の費用イメージ(目安)】
・申立費用:約1〜2万円(印紙・切手・診断書等)・後見登記費用:2,600円
・後見人報酬:年間24〜72万円(月2〜6万円×12ヶ月)
・後見監督人が付く場合:さらに年間12〜36万円程度
10-5. まず家庭裁判所・自治体・専門家へ相談して決定しよう
成年後見制度の利用を検討する場合、最初に相談すべき窓口は以下の3つです。
家庭裁判所:申立ての流れ・必要書類を無料で案内してくれる
地域包括支援センター:介護・福祉との連携も含めた総合相談
弁護士・司法書士・社会福祉士:個別事情に応じた専門的アドバイス

よくある質問(FAQ)
Q親族が後見人でも報酬はもらえますか?
はい。法律上、親族後見人も専門職後見人と同様に報酬を受け取る権利があります(民法第862条)。遠慮して申立てないことは、むしろ損になります。
Q報酬はいつもらえますか?
申立て後、家庭裁判所が審判書を発行した時点で確定します。申立てから審判書が届くまで通常1〜2ヶ月程度かかります。審判書を受け取ってから、本人口座から後見人口座へ振り込みます。
Q申立てなかった期間の報酬を遡って請求できますか?
原則としてできません。申立てなかった期間の報酬は消滅します。毎年定期報告と同時に申立てることを強くすすめます。
Q確定申告は必要ですか?
報酬は雑所得として課税対象です。会社員で年間20万円超の場合は確定申告が必要です。後見業務の交通費等は必要経費として差し引けます。
Q財産が少なくて報酬が出ない場合はどうすればいいですか?
市区町村の「成年後見制度利用支援事業」により、自治体が報酬を助成する制度があります。まずはお住まいの市区町村窓口(高齢福祉担当課等)に確認してください。
Q付加報酬はどんな場合に認められますか?
不動産売却・廃車処分・訴訟対応・遺産分割協議・遠距離実務など、通常の後見業務を超えた特別な事務が対象です。事情説明書に具体的な内容・日付・金額を記載し、証拠資料を添付することで認められやすくなります。
この記事を書いた人
くじら99(元・成年後見人)
300km離れた認知症の親族のため、働きながら家庭裁判所に選任され、成年後見人を3年間務めました。不動産売却・廃車処分・遠距離実務を含む付加報酬を実際に申立て、審判書を受け取った経験を持ちます。本文で解説した申立書・事情説明書の書き方は、実際に使用したものをベースにしています。
● 家庭裁判所より選任 ● 成年後見人を3年間 ● 不動産売却・廃車処分の付加報酬を申立て ● 遠距離300km・就業中
後見が終わった後、相続手続きが即座に始まります
後見人の役割は本人が亡くなった瞬間に終わります。しかし家族にはすぐ「戸籍収集・名義変更・相続税申告(10ヶ月期限)」が待っています。後見で疲弊しきった状態でこれを自力でこなすのは本当に大変です。今から相談だけでもしておくことを、経験者として強くすすめます。
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