【実録】成年後見人の初回報告が地獄!ゆうちょ銀行の手続きと財産目録の作り方

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はじめに:登記完了はゴールではない。「終わりのない実務」の始まり

こんにちは。元・成年後見人のくじら99(@9jira99)です。

数ヶ月に及ぶ書類集めと、家庭裁判所での緊張の面談を乗り越え、ついに「成年後見人」として審判・登記されました。

めでたし、めでたし。これでようやく落ち着く……。

くじら99

——じゃなかった。

声を大にして言いますが、ここまでの家庭裁判所とのやり取りで「手続きが面倒くさい!」と感じた方は、覚悟してください。

ここからが、真の「本番」であり、地獄の始まりです。

申立ての段階では、私のように弁護士のサポートを受けて順調に進んだ方も多いでしょう。しかし、後見人に就任したその日から、専門家のサポートは外れ、すべて自分一人・ぶっつけ本番で金融機関や役所と戦わなければなりません。

今回は、成年後見人の事務仕事として最初の、そして最大の関門となる「初回後見等事務報告(財産目録の作成)」について、私が実際に直面したトラブル(特にゆうちょ銀行での苦闘)を交えながら、約2万文字に迫る圧倒的なボリュームで徹底解説します。

これから成年後見人になる方、あるいは親の財産管理に不安を抱えている方は、ぜひ最後まで(後半まで)読んで、今後の「リアルな負担」をシミュレーションしてください。

くじら99

この記事を書いた人:くじら99(元 成年後見人)

遠方(300km以上)に住む認知症の親族のため、働きながら家庭裁判所に選任され成年後見人を務めた経験を持つ会社員。

免責事項

当サイトは個人の成年後見業務の実体験に基づく情報提供であり、法的なアドバイスを行うものではありません。個別具体的な手続きについては、弁護士・司法書士などの専門家や管轄の家庭裁判所等へご相談ください。

第1章:タイムリミットは1ヶ月!「初回の後見等事務報告」とは?

法務局での登記が完了し、登記事項証明書を手に入れたら、まず最初に行わなければならないのが「初回の後見等事務報告」です。

これは簡単に言うと、「ご本人の現在の全財産(預貯金・不動産・負債)と、毎月の収支を1円単位で正確に調べて、家庭裁判所に報告しなさい」という非常に重い義務です。

【引用:初回報告の期限について】

成年後見人は、就任後遅滞なく(原則として1か月以内に)、ご本人の財産を調査し、財産目録を作成して家庭裁判所に提出しなければなりません。

出典:[裁判所「成年後見人等の仕事(財産管理)」より要約]

申立ての時にも財産状況は提出しましたが、それはあくまで「概算」でした。

ここからは、後見人としての法的権限を使い、各銀行を回って「〇月〇日時点での正確な残高」を証明する書類をかき集め、完璧な財産目録を作らなければなりません。

くじら99

しかも、その期限は「就任からわずか1ヶ月以内」。

フルタイムで働く会社員にとって、平日の日中しか開いていない銀行や役所を回り、書類を完璧に揃えるのは至難の業です。(※私は年末の繁忙期と重なり、家庭裁判所に泣きついて1ヶ月の延長をもらいました。詳しくは前回の記事をご覧ください)。

そして、この「正確な財産把握」において、私を最も苦しめたのが「ゆうちょ銀行の定期預金」でした。

第2章:最大の難関。ゆうちょ銀行の「元利金額明細書」を巡る戦い

高齢者の多くは、複数の銀行口座を持っています。特に「ゆうちょ銀行」はほぼ100%の方が口座を持っていると言っても過言ではありません。

私の叔父(Aさん)も、ゆうちょ銀行に口座と定期預金を持っていました。

初回報告では、例えば「11月末日時点」など、基準日を定めて全口座の残高を揃える必要があります。

ゆうちょ銀行の定期預金の正確な金額(利息を含めた金額)を裁判所に証明するためには、「元利金額明細書(内訳書)」という公式な書類を発行してもらう必要がありました。

「通帳がないと発行できません」という絶望

私は有給休暇を取り、登記事項証明書を握りしめて意気揚々と近くの郵便局の窓口へ向かいました。

「成年後見人になりました。〇月〇日時点の定期預金の元利金額明細書をください」

すると、窓口の担当者は申し訳なさそうに、しかしきっぱりとこう言いました。

「後見人様であることは確認できました。しかし、明細書を発行するには『ご本人の通帳』が必要です」

くじら99

……通帳。

そう、300km離れたゴミ屋敷のような実家をいくら探しても、このゆうちょ銀行の通帳だけはどうしても見つからなかったのです。

「通帳がない場合はどうすればいいんですか?」と聞くと、手続きは一気に複雑な泥沼へと足を踏み入れました。

窓口のたらい回しと「口座の再設定」

通帳を紛失している場合、明細書を出す前に「成年後見人としての口座の再設定(届出)」と、それに伴う「通帳の再発行手続き」をセットで行わなければならないとのこと。

しかも、郵便局は店舗によって成年後見の複雑な手続きに慣れていない局員の方も多く、奥の責任者に確認に行ったり、本部に電話したりと、待ち時間だけで軽く1〜2時間が消し飛びました。

(※経験上のアドバイスですが、こういう複雑な手続きは、小さすぎる郵便局ではなく、できれば「少し大きめの特定郵便局」や「ゆうちょ銀行の直営店」の窓口で相談することをお勧めします)。

第3章:後見人に「ハンコ」は絶対必須!手続きに必要な持ち物

郵便局での「成年後見人の届出」と「通帳再発行」を行うために、以下の書類と道具を要求されました。

  1. 登記事項証明書(原本): 成年後見人であることを証明するため(※発行から3ヶ月以内のもの)。
  2. 家庭裁判所の審判書(コピー可): 念のため確認を求められることがあります。
  3. ご本人宛に届いたハガキ等: 口座番号等がわかる通知書など。
  4. 成年後見人(私)の身分証明書: 運転免許証など。
  5. 通帳の再発行手数料: 現金(※最新の金額は窓口で要確認)。
  6. 成年後見人の印鑑(銀行印となるもの): ★これが超重要!

令和の時代でも、後見人業務は「ハンコ社会」

デジタル化が進む現代ですが、成年後見人の業務は驚くほど「ハンコ(印鑑)至上主義」です。

銀行の届出印、介護施設との分厚い契約書、役所への申請書、裁判所への報告書……。ありとあらゆる場面でハンコを求められます。シャチハタは当然NGです。

ここで絶対に気をつけてほしいのが、「自分(後見人)の個人的な銀行印や実印を、ご本人の口座の届出印として使い回さないこと」です。

万が一紛失したときのリスクが大きすぎますし、財産管理の観点からも「後見業務専用のハンコ」を一つ作って、通帳と一緒に分けて管理することを強くお勧めします。

💡【後見業務用のハンコは、ネットで安く早く作るのが正解】

「明日また銀行に行かなきゃいけないのに、専用のハンコがない!」

そんな時、わざわざ高いハンコ屋に買いに行く時間もお金ももったいないですよね。

今はネットの印鑑専門店で、きちんとした素材の銀行印が即日出荷・数千円で作れます。私も後見人になったその日にネットで注文し、専用ケースに入れて持ち歩いていました。

後見人専用の「銀行印」はネットで安く・早く作るのが鉄則

銀行や役所、施設との契約など、成年後見人の業務は驚くほど「ハンコ(認印・銀行印)」を使います。ご自身のプライベートな印鑑を使い回すのは、紛失や混同のリスクが高いため絶対にやめましょう。

ネット通販の印鑑専門店なら、高品質な印鑑が数千円台&最短即日出荷で手に入ります。

第4章:通帳が届くまで動けない!長期戦のスケジュール

窓口で数時間かけて大量の書類に署名し、専用のハンコを押して、ようやく「口座の再設定と通帳再発行」の手続きが終わりました。

「じゃあ、これで明細書を出してください」とお願いすると……

「新しい通帳は、審査後にご自宅(成年後見人の住所)へ書留で郵送されます。約1週間〜10日ほどお待ちください。明細書は、その通帳が届いてから再度ご来店いただいての発行となります」

くじら99

……絶望です。

ただでさえ「就任から1ヶ月以内」という裁判所のタイムリミットが迫っているのに、ここでさらに1週間以上のタイムロス。しかも、通帳が届いたら「もう一度、平日の日中に有給を取って窓口へ行かなければならない」のです。

初めての手続きでは、このように「手続きの意味や順番」を理解するだけでも膨大な時間がかかり、スムーズに進まないことへの不安や戸惑いが常につきまといます。

これが、働きながら成年後見人を務めることの「真の過酷さ」です。

第5章:通帳を待つ間に動け!「不動産と負債」の徹底調査

ゆうちょ銀行の新しい通帳が自宅に届くまでの約10日間。

ただぼーっと待っているわけにはいきません。タイムリミットが迫る中、次に行うべきは「不動産の把握」「負債(マイナスの財産)の確認」です。

不動産の把握:法務局での「登記事項証明書」取得

Aさんは、自身が住んでいた家(現在は空き家)と、さらに遠方にある実家(両親から相続した古い家)の2つの不動産を所有していました。

財産目録には、これらの不動産の正確な所在地、評価額、所有者の持分などを記載しなければなりません。そのためには、法務局へ足を運び、不動産の「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得する必要があります。

ここでも、後見人であることを証明するために「成年後見の登記事項証明書」と「本人確認書類(免許証)」、そして例の「ハンコ」が必要です。窓口で何度もコピーを取られるため、あらかじめ証明書のコピーを多めに準備しておくのが実務上のコツです。

💡【経験者からの注意点:地番と住居表示の違い】

不動産の証明書を取る際、普段使っている住所(住居表示)ではなく、法務局が定めた**「地番(ちばん)」**で申請しなければなりません。地番が分からないと窓口で突き返されることがあるため、事前に市役所から届く固定資産税の納税通知書などで確認しておきましょう。

負債(借金)の確認:マイナスの財産も逃さない

預貯金や不動産といった「プラスの財産」だけでなく、「マイナスの財産」がないかを確認することも後見人の重大な責務です。

もし借金があった場合、本人の資産からどうやって返済していくかという計画を裁判所に提示しなければなりません。

私は、ゴミ屋敷状態の実家から発掘した郵便物の中に、クレジットカードの利用明細、消費者金融からの督促状、未払いのローン契約書などがないかを血眼になって探しました。

幸いなことに、Aさんには大きな負債はなく、本当に胸をなでおろしました。

第6章:ご本人の「収入と生活費(収支)」を洗い出す

財産の総額が把握できたら、次は「毎月いくら入ってきて、いくら出ていくのか」という収支予定表を作成します。

ご本人の収入(入ってくるお金)

Aさんはすでに退職しており、不動産収入などもなかったため、収入の柱は「年金」のみでした。

年に一度届く「年金振込通知書」を探し出し、そこに記載されている支給額と、実際に通帳に振り込まれている金額(介護保険料などが天引きされた後の手取り額)を正確に確認して記載します。

ご本人の生活費(出ていくお金)

現時点で確定している支出を洗い出します。

  • 水道光熱費・固定費: 空き家になっている実家の電気・ガス・水道代、火災保険料、固定資産税など。
  • 介護・医療費: 現在入所している介護施設(有料老人ホームやショートステイなど)に電話をして、「おむつ代なども含めた毎月の平均的な請求額」をヒアリングして記載します。

リアルな現実:「赤字」になるのが当たり前

収入と支出をエクセルに打ち込んで計算すると、「毎月〇〇万円の赤字」という結果が出ました。

年金収入だけで、高額な施設費用と空き家の維持費をすべて賄える高齢者はごくわずかです。

最初は「赤字の報告書を出したら、裁判所から『後見人の管理が悪い!』と怒られるのではないか…」と不安になりました。しかし、心配はいりません。

赤字だからダメというわけではなく、事実を正確に書くことが最も大事なのです。

裁判所は「この赤字ペースだと、現在の預貯金が何年で底をつくか(いつ不動産を売却しなければならないか)」を判断するために、この数字を求めているのです。

第7章:報告書の作成術!「手書き」は絶対にやめろ

さて、かき集めたすべての情報を、家庭裁判所へ提出する「財産目録」と「収支状況報告書」に落とし込んでいきます。

ここで強くお伝えしたいのは、「絶対に、裁判所から渡された紙のフォーマットに手書きで直接書き込んではいけない」ということです。

計算ミスをして修正テープだらけになったり、後から新しい通帳が見つかって書き直したりと、手書きは発狂するほど効率が悪いです。

各家庭裁判所のホームページには、成年後見人向けの「書式(PDFやExcel)」がダウンロードできるようになっています。 必ずExcel(エクセル)形式のファイルをパソコンにダウンロードし、そこに打ち込んで作成してください。関数が入っているため、赤字や黒字の計算も自動でやってくれます。

また、日々の細かな支払い(立て替え金など)を記録するための「金銭出納帳(補助シート)」も用意されているので、これを活用して1円のズレもないように仕上げましょう。

まとめ:初回報告を乗り越えれば、少しだけ視界が開ける

約10日後、ようやく自宅にゆうちょ銀行の新しい通帳が届き、私は三度目の有給休暇を使って窓口へ走り、「元利金額明細書」を手に入れました。

それらの証拠書類をすべてエクセルで作成した財産目録に添付し、分厚い束にして家庭裁判所へ郵送したとき、私は深い安堵の溜息をつきました。

成年後見人としての初回の後見等事務報告は、間違いなく「最大の山場」です。

ゆうちょ銀行でのたらい回し、何度も通う郵便局や法務局、そして1円単位の収支計算。働きながらこれらを1ヶ月(私のように延長しても2ヶ月)でこなすのは、本当に骨の折れる作業でした。

しかし、この初回報告で作ったお金のデータは、今後の定期報告の「絶対的なベース」になります。ここさえ気合を入れて正確に作っておけば、来年からの報告は「今年からの差額」を埋めるだけになるので、ぐっと楽になります。

最後に:これから親の介護に直面するあなたへ

くじら99

いかがでしたでしょうか。

私の実体験を通じて、「成年後見人になってからの実務(特に銀行手続き)」がいかに煩雑で、家族の時間を奪うものか、お分かりいただけたかと思います。

もし、この記事を読んでいるあなたの親御さんが「まだ認知症になっておらず、判断能力がある状態」なら。 どうか、私のように親の口座が凍結されてから地獄の手続きを始めるのではなく、今のうちに「家族信託」という制度で備えておいてください。

親が元気なうちに家族信託を契約しておけば、家庭裁判所への1円単位の報告義務も、銀行窓口でのたらい回しも経験することなく、家族の判断でスムーズに財産を管理し、施設費用に充てることができます。

手遅れになって後悔する前に、まずは専門家へ無料相談してみることを強くお勧めします。

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次回は、初回報告を終えたあとの「成年後見人としての具体的な日常業務(日々の支払い管理)」や、実際に直面した現場の課題について詳しく紹介します。

くじら99

ぜひご覧ください。

※当サイトは実体験に基づく情報提供であり、法的なアドバイスを行うものではありません。個別具体的な手続きは、必ず弁護士や専門機関にご相談ください。

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