実家をどうにかしなければいけない。でも、片付けなのか、売却なのか、まず誰に聞けばいいのかが分からない。ネットで調べると、業者の広告ばかりが並んでいて余計に迷う。そんな状況の方へ。
私は、認知症の叔父の成年後見人を会社員のまま3年務めました。初めて入った叔父の家はゴミ屋敷で、通帳も権利証も見つからず探し回りました。家は、家庭裁判所の許可を取って売却しています。遺品整理では、1社しか見積もりを比べなかった反省があります。この記事では、その経験と公的な情報をもとに、実家じまいの相談先の違いと選ぶときに見るところをまとめます。
先に書いておくと、一つの窓口に全部任せるのが正解、とは考えていません。何に困っているかで入口を分け、自分でやる部分と任せる部分を決めて、どこで判断したかを記録に残す。その線引きの話です。
結論:困りごとで、最初に相談する先が変わる

- 家の中の物が多くて手がつかない:遺品整理・片付けの業者から、見積もりを取る
- 家を売る・貸す・どう管理するかで迷っている:不動産会社や、市区町村の空き家の相談窓口に聞く
- 親がまだ住んでいる、介護や認知症の心配がある:地域包括支援センターに、家のことも含めて相談する
| 相談先 | 主に聞けること | 向く人 | 使った/調べた | 公式 |
|---|---|---|---|---|
| 自分で(家族・親族) | すべて | 近くに住み、平日に動ける | 自分でやった:家の管理、通帳・権利証の捜索、書類の整理 | — |
| 遺品整理・片付けの業者 | 家の中の物の仕分け・処分 | 量が多い、遠方で通えない | 使った:叔父の家の片付けで1社に見積もりを頼んだ | 各社の公式サイト |
| 不動産会社 | 家の査定・売却・貸し出し | 家を手放す、貸すことを考えている | 使った:叔父が以前から付き合いのあった会社に売却を頼んだ | 各社の公式サイト |
| 市区町村(空き家の窓口) | 空き家の管理・活用の相談 | まず公的な窓口で整理したい | 調べた:国土交通省の相談窓口の案内 | 市区町村の窓口 |
| 地域包括支援センター | 高齢者の暮らし・介護・権利擁護の総合的な相談 | 親がまだ家にいる、判断力に不安がある | 調べた:厚生労働省の案内 | 市区町村の窓口 |
費用は、家の広さや物の量、地域で大きく変わるため、この表には書いていません。見積もりを取って確かめてください。
家の中の片付け:業者に頼む前に見ること
叔父の家を片付けたとき、最後まで残ったのが仏壇でした。物が多い家ほど、全部を自分で運び出す前に、どこまで自分でやるかを決めたほうが楽になります。
業者に頼むなら、まず許可の確認です。環境省は、市区町村の許可や委託を受けずに家庭ごみを収集する回収業者は認められておらず、必要なのは一般廃棄物処理業の許可で、産業廃棄物の許可や古物商の許可では回収できないとしています。不法投棄や高額請求のおそれがあるとも注意しています(環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」、2026年10月30日確認)。
遺品整理の契約トラブルについては、国民生活センターが2025年10月30日に注意を呼びかけています。ネットで探した業者に見積もりより高い金額を請求された例や、残す約束をした書類やアルバムまで処分された例が挙がり、助言として複数社の見積もりの比較、契約内容(作業日・料金・解約料・追加料金)の確認、残す物の仕分けと立ち会いが示されています(国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」、2026年10月30日確認)。
私は叔父の家の片付けで、便利屋の見積もりが高いと感じながら、1社しか比べませんでした。今なら、少なくとも項目ごとの見積もりを出してもらい、もう1社に同じ条件で聞きます。業者の選び方は実家じまいの片付けはいつから始める?業者の選び方と費用を抑えるコツにも書きました。家がゴミ屋敷に近い場合は、認知症の親の家がゴミ屋敷になったらも読んでください。
片付けを専門の業者に相談したいときは、遺品整理を扱う「遺品整理110番」(PR)に、見積もりを聞いてみる方法があります。ここで決めずに、他の業者とも項目を見比べてください。
家そのものの相談:売る・貸す・管理する

家の行き先で迷うときは、不動産会社に聞く前に、公的な窓口で整理する手もあります。国土交通省のページでは、各自治体が空き家を含む低未利用土地の相談窓口を設けていて、リンクがない自治体でも相談に応じていることがあるので、土地のある市町村に問い合わせるよう案内しています(国土交通省「相談窓口・リンク集」、2026年10月30日確認)。
私が叔父の家を売ったときは、家庭裁判所に上申書を出して許可を取り、約1か月で許可が出ました。不動産会社は、叔父が以前から付き合いのあった会社に頼みました。ほかの会社と査定を比べたかどうかは、この記事では経験として書きません。後見人がいる場合の売却の流れは認知症の親の家は売れる?名義変更・売却・貸すときの順番にまとめています。
売れにくい家や、相続した家の扱いに迷うときは、訳あり物件の相談を受け付けている「ワケガイ」(PR)に、家の状態を伝えて聞いてみる方法もあります。売れない理由の整理は空き家が売れない理由と手放す方法が参考になります。
親がまだ家にいるとき:地域包括支援センター
親が元気で、実家に住んでいる段階なら、家の処分より先に、暮らしの見守りや判断力の心配を相談する先があります。厚生労働省の説明では、地域包括支援センターは市町村が設置する地域包括ケアの中核的な機関で、高齢者の総合相談や権利擁護などを行います(厚生労働省「地域包括ケアシステム」、2026年10月30日確認)。
親の判断力が落ちたあとは、家の売却や契約を、本人の意思だけでは進められなくなることがあります。そうなる前に、どんな制度があるかを聞いておくだけでも、あとの選択肢が見えます。
選ぶときに見るところ

- 何に困っているかを一言にできるか:「物が多い」「家をどうするか」「親の暮らしが心配」のどれか。混ぜたまま全部を一社に頼むと、範囲があいまいになります
- 許可や資格が要る作業か:家庭ごみの回収は一般廃棄物の許可、買い取りは古物商の許可、というように、作業ごとに確かめる
- 見積もりが項目ごとに出ているか:一式でなく、作業と金額が分かれているか。追加料金が出る場面も聞く
- 1社で決めず、比べたか:私は1社しか比べなかった反省があります
- 残す物を先に決め、立ち会えるか:通帳・権利証・書類は、処分する前に自分で確かめる。遠方なら、写真や動画で報告してもらえるか聞く
判断の基準:どこまで自分でやり、どこから任せるか
私は通帳と権利証の捜索、家の管理、書類の整理は自分でやりました。家の売却は不動産会社に任せ、家庭裁判所への書類は自分で出しています。そのうえで、自分でやる・任せるの線引きの例を挙げます。
- 通帳・権利証・契約書など、なくすと困る物の確認は、自分でやる
- 物の量が多く、運び出しや処分に許可が要る作業は、許可のある業者に任せる
- 家の売却や契約のように、あとで取り消せない判断は、専門家や家庭裁判所に聞いてから決める
これは一例です。遠方で通えない、平日に動けない事情があれば、任せる範囲は広がって構いません。どちらを選んでも、何を基準にそう決めたかを残しておいてください。
| 残すこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 日付と相手 | ○月○日、片付け業者A社に電話。現地を見てもらう日を決めた |
| 言われたこと | 見積もりは作業項目ごとに出す、追加料金は事前に連絡すると回答 |
| 任せた範囲と理由 | 家具の運び出しは業者に依頼。通帳・書類は先に自分で確認する |
| やめたこと | 比較は2社で止めた。理由は、項目ごとの内容に大きな差がなかったため |
親族に説明するときも、あとで書類を見直すときも、このメモが助けになります。
PR
実家の片付け、まずは見積もりから
物が多くて手がつかない、遠くて通えない。そんなときは、遺品整理を扱う「遺品整理110番」に、状況を伝えて見積もりを聞いてみるのも一つの方法です。ほかの業者とも見比べてください。
よくある質問
最初に相談するなら、どこがよいですか?
親が実家に住んでいるなら地域包括支援センター、空き家になっているなら市区町村の空き家の窓口が、中立的に話を聞ける入口です。物が多くて動けないなら、片付けの見積もりから始めても構いません。
片付けと売却は、どちらを先にしますか?
家の状態や売り方で変わります。物を残したまま売れることもあるので、片付けを頼む前に、不動産会社に聞いておくと二度手間を減らせます。通帳・権利証などの大事な書類は、どちらの前にも確認してください。
仏壇や位牌はどうすればよいですか?
私の叔父の家では、仏壇が最後まで残りました。急いで決めずに、菩提寺や家族と相談してからで構いません。実家の仏壇どうする?仏壇じまいの費用と手順に整理しています。
お墓も実家じまいの一部ですか?
家とは別に、お寺や市区町村との手続きが要ります。頼み先の違いは墓じまいの頼み先の選び方に書きました。
あわせて読みたい
※この記事は一般的な情報で、法律の助言ではありません。必要な許可や手続きは、地域や家の状況によって違います。依頼の前に、市区町村の窓口や依頼先で確かめ、判断に迷う場合は家庭裁判所や専門家にご相談ください。
この記事を書いた人:くじら99(元・成年後見人)
300km離れた認知症の叔父の成年後見人を、家庭裁判所に選ばれて、会社員のまま3年務めました。法律の専門家ではありません。家庭裁判所に出した書類や見積書など、記録が残っていることを書いています。運営者について
