「実家を相続したけれど、売りに出しても買い手がつかない」「不動産屋に相談したら『うちでは扱えません』と断られた」——
空き家は「持っているだけ」でも固定資産税がかかり、老朽化が進めば近隣への損害賠償リスクまで抱えることになります。それなのに売ろうとすると買い手がつかない。この板挟みは、全国で数百万世帯が直面している問題です。
私は成年後見人として3年間、300km離れた親族の財産管理を担当しました。本人が施設に入所した後、空き家になった実家をどう扱うか——家庭裁判所の許可申請から売却まで、実務で対応した経験があります。
この記事では「なぜ売れないのか」「どうすれば手放せるのか」を、実務の視点で整理します。後見人として不動産を売却する場合の家裁許可についても解説します。
【この記事でわかること】
・空き家が売れない5つの理由
・放置し続けた場合に発生するコストとリスク
・売れない空き家を手放す4つの方法
・普通の不動産屋に断られる物件の特徴と対処法
・成年後見人が不動産を売る場合の家裁許可の取り方
・手放す前にやっておくべき準備
・売却後の税金と3,000万円特別控除
第1章:空き家が売れない5つの理由
1-1. 立地・需要の問題(田舎・過疎地・駅から遠い)
最も多い理由が「そもそも買いたい人がいない」というものです。人口減少が進む地域では、家が余っている状態が続いています。
- 最寄り駅から徒歩30分以上、または車がないと生活できない
- 周辺に商業施設・病院・学校がない
- 地域全体で人口が減少し続けている
- 同じエリアに空き家・売り物件が大量にある
この場合、価格を下げても売れないことがあります。「安くすれば売れる」は都市部の常識であり、需要そのものがない地域では通用しません。
1-2. 建物の老朽化・耐震性の問題
築30年以上の木造住宅は、市場では「価値ゼロ」として扱われることがほとんどです。それどころか、買い手にとっては「解体費用がかかる負担」になります。
- 1981年5月以前の建築(旧耐震基準)は特に敬遠される
- 雨漏り・シロアリ被害・傾きがあると買い手が消える
- リフォーム費用が新築価格に近づくケースもある
- 住宅ローンが下りない(担保価値がない)ため現金購入者しか買えない
1-3. 法的な制約(再建築不可・借地権・接道義務)
見落とされがちですが、法律上の制約で売れないケースは非常に多いです。
| 制約 | 内容 | 売却への影響 |
|---|---|---|
| 再建築不可 | 幅4m以上の道路に2m以上接していない(接道義務違反) | 建て替えができないため買い手が極端に限られる |
| 借地権 | 建物は所有だが土地は借りている | 地主の承諾が必要・買い手が敬遠する |
| 市街化調整区域 | 原則として建築が制限される区域 | 用途が限られ需要が少ない |
| 未登記建物 | 建物が登記されていない | 売買の前提となる登記手続きが必要 |
特に再建築不可物件は、一般の不動産仲介では「扱えません」と断られる代表例です。
1-4. 権利関係の複雑さ(共有名義・相続未登記)
不動産を売却するには、名義人全員の同意が必要です。ここでつまずくケースが増えています。
- 兄弟・親族の共有名義:一人でも反対すると売却できない
- 相続登記が未了:亡くなった親の名義のままでは売れない
- 相続人が多数・所在不明:代を重ねて相続人が10人以上になっているケースもある
- 名義人が認知症:判断能力がないため契約行為ができない(成年後見が必要になる)
なお2024年4月から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になります。
1-5. 荷物が残っている・ゴミ屋敷化している
家財道具がそのまま残っている状態では、内覧すらできません。買い手は「片付け費用」を差し引いた価格しか出せなくなります。
特に長期間放置された家は、湿気やカビ、害虫の発生により、通常の片付けでは対応できない状態になっていることがあります。ここが「動きたくても動けない」最大の心理的ハードルになっている方が多いです。
第2章:売れない空き家を放置し続けるコスト

2-1. 固定資産税・都市計画税は毎年かかり続ける
空き家であっても、所有している限り固定資産税は毎年発生します。地方の一戸建てで年間5〜15万円程度が一般的です。
加えて、以下の維持費もかかります。
- 電気・水道の基本料金(管理のために契約を残す場合)
- 火災保険料(空き家は保険料が高くなる場合がある)
- 草刈り・庭木の剪定・管理代行費用
- 遠方の場合の交通費(見回りのたびに発生)
年間20〜30万円の維持費が10年続けば200〜300万円。これは「売れないから持っている」ことの実質的なコストです。
2-2. 特定空き家に指定されると税金が最大6倍に
住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により固定資産税が最大1/6に軽減されています。しかし、管理が行き届いていない空き家が「特定空家等」または「管理不全空家等」に指定されると、この特例が解除されます。
⚠️ 特定空家等に指定される主な条件
- 倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれがある状態(ゴミの放置等)
- 適切な管理が行われず著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全を図るために放置が不適切な状態
指定されると固定資産税の軽減措置が外れ、税額が最大6倍になります。
2-3. 倒壊・落下による損害賠償リスク
老朽化した空き家の屋根瓦・外壁・ブロック塀が落下して、通行人にケガをさせたり隣家を破損させたりした場合、所有者に損害賠償責任が発生します(民法717条・土地工作物責任)。
この責任は「知らなかった」「遠方に住んでいた」という理由では免れません。台風や地震のたびにリスクが高まります。
2-4. 行政代執行による強制解体と費用請求
特定空家等に指定された後も改善されない場合、行政が代わりに解体を行う「行政代執行」が実施されることがあります。
問題は、その解体費用が全額所有者に請求される点です。木造一戸建てで100〜300万円規模になり、支払わない場合は財産の差し押さえに至ることもあります。
自分で業者を選んで解体すれば相見積もりで安く抑えられますが、行政代執行では価格交渉の余地がありません。「放置する」という選択が、最も高くつく可能性があります。
第3章:売れない空き家を手放す4つの方法
3-1. 現状のまま買い取ってもらう(訳あり物件専門業者)
一般の不動産仲介は「買い手を探してくる」仕事です。買い手が見つからなければ売れません。一方、買取業者は自社で直接買い取るため、買い手を探す必要がありません。
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 売却先 | 一般の買い手 | 不動産会社が直接購入 |
| 期間 | 数ヶ月〜数年(売れない場合も) | 数週間〜1ヶ月程度 |
| 価格 | 市場価格に近い | 市場価格より低くなる |
| 片付け・解体 | 基本的に売主負担 | 現状のままでも可の業者がある |
| 仲介手数料 | 必要(売却額×3%+6万円) | 不要 |
特に訳あり物件を専門に扱う買取業者は、再建築不可・借地権・共有持分・事故物件など、一般の不動産屋が敬遠する物件を扱っています。「他社に断られた」という方は、まずこちらに相談するのが現実的です。
3-2. 解体して更地にしてから売却する
建物の老朽化が激しい場合、解体して土地として売る方が買い手がつきやすいことがあります。
- メリット:土地としての需要がある地域なら買い手が見つかりやすい。管理の手間が減る
- デメリット:解体費用100〜300万円が先行して必要。更地にすると固定資産税の軽減措置が外れ税額が上がる
注意点として、解体後に土地が売れないと「税金だけ上がって何も解決しない」という最悪のパターンになります。解体する前に、更地にした場合の売却可能性を不動産会社に確認しておくことが重要です。
3-3. 空き家バンク・自治体の制度を使う
多くの自治体が「空き家バンク」を運営しています。移住希望者と空き家所有者をマッチングする制度で、登録は無料のケースがほとんどです。
- 市場に出しても売れない田舎の物件が、移住希望者に売れることがある
- 自治体によっては改修費補助・引越し補助などの支援制度がある
- ただし成約までに時間がかかる。すぐに手放したい人には向かない
また、解体費用の補助金を設けている自治体も多くあります(補助率は工事費の1/3〜1/2、上限30〜100万円が一般的)。まず市区町村の空き家対策担当窓口に電話で確認してください。
3-4. 相続放棄という選択肢とその限界
まだ相続手続きが完了していない場合、相続放棄という選択肢があります。ただし大きな制約があります。
⚠️ 相続放棄の重要な制約
- 期限は相続を知った日から3ヶ月以内
- プラスの財産も一切放棄する(実家だけ放棄はできない)
- 相続財産に手をつけると放棄できなくなる(法定単純承認)
- 放棄後も、相続財産清算人が選任されるまで管理義務が残る場合がある
相続放棄を検討している場合は、財産に一切手をつける前に弁護士・司法書士に相談してください。
「売れない」と諦める前に、まず現状の価値を知る
再建築不可・借地権・共有名義・長期の空き家など、一般の不動産屋が扱えない物件を専門に買い取るサービスがあります。まずは無料査定で「いくらなら手放せるか」を確認してみてください。
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第4章:普通の不動産屋に断られる物件の特徴

4-1. 再建築不可物件(接道義務を満たしていない)
建築基準法では、建物を建てる土地は「幅員4m以上の道路に2m以上接している」必要があります(接道義務)。この条件を満たさない土地は、今建っている家を解体すると二度と家を建てられません。
昔からの住宅密集地や、旗竿地、私道にしか面していない土地でよく見られます。一般の買い手は住宅ローンが組めないため購入できず、仲介ではほぼ売れません。
4-2. 借地権付きの建物
建物は自分の所有だが、土地は地主から借りているというケースです。売却するには地主の承諾(譲渡承諾料が必要な場合が多い)が要り、手続きが複雑になります。
買い手にとっても地代の支払いが続くため敬遠されやすく、一般の仲介では買い手が見つかりにくい物件です。
4-3. 兄弟・親族との共有名義
相続で兄弟が2分の1ずつ、といった形で共有になっている不動産は、全員の同意がなければ売却できません。一人でも反対したり、連絡が取れなかったりすると手続きが止まります。
なお、自分の「持分」だけを売却することは法律上可能です。共有持分を専門に買い取る業者が存在するのはこのためです。ただし他の共有者との関係に影響するため、慎重な判断が必要です。
4-4. 事故物件・心理的瑕疵がある物件
自殺・他殺・孤独死などがあった物件は「心理的瑕疵物件」として扱われます。売主には告知義務があり、価格が大幅に下がるだけでなく、そもそも買い手がつかないことが多いです。
特殊清掃が必要な場合は、その費用も発生します。専門の買取業者は、この種の物件も現状のまま扱うことができます。
4-5. 長期間放置された老朽物件・ゴミ屋敷
家財が大量に残っている、ゴミが堆積している、動物の被害があるといった物件は、内覧すらできず仲介では扱えません。
片付けてから売ろうとすると、遺品整理・不用品回収で数十万円かかります。しかも片付けた後で結局売れなかったという結果になれば、費用だけが残ります。この場合、現状のまま買い取ってもらう方が合理的なケースがあります。
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- 再建築不可(接道義務を満たしていない)
- 借地権付きの建物
- 兄弟・親族との共有名義
- 事故物件・心理的瑕疵がある
- 長期間の空き家で老朽化が進んでいる
- 家財・ゴミが大量に残っている
- すでに他の不動産会社に断られた
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第5章:【後見人向け】家庭裁判所の許可と査定書の取り方
5-1. 成年後見人が不動産を売却するには家裁の許可が必要
親が認知症になり成年後見人がついている場合、後見人が勝手に不動産を売ることはできません。特に本人が住んでいた家(居住用不動産)を売却するには、家庭裁判所の許可が必須です(民法859条の3)。
| 不動産の種類 | 家裁の許可 | 備考 |
|---|---|---|
| 居住用不動産(本人が住んでいた家) | 必須 | 施設入所後も「居住用」と扱われることが多い |
| 非居住用不動産(賃貸物件・別荘等) | 原則不要 | ただし報告義務があり事前相談が望ましい |
許可なく居住用不動産を売却した場合、その売買契約は無効になります。必ず事前に管轄の家庭裁判所に相談してください。
5-2. 許可が下りやすいケース・下りにくいケース
家庭裁判所は「本人の財産が不当に減らないか」「本人の利益になるか」を基準に判断します。
| 許可が下りやすい | 許可が下りにくい |
|---|---|
| 施設費・医療費の支払いに現金が必要 | 本人が自宅に戻る可能性が残っている |
| 維持費が本人の収入を圧迫している | 売却価格が相場より明らかに安い |
| 老朽化で近隣への危険がある | 売却の必要性が説明できない |
| 売却価格が適正と客観的に示せる | 親族が住むために安く売ろうとしている |
ポイントは「売らないと本人が困る」という必要性と、「この価格が妥当である」という客観性の2点を示すことです。
5-3. 許可申請に必要な「客観的な査定書」をどう用意するか
家裁への許可申請には、一般的に以下の書類が必要です(管轄によって異なります)。
- 居住用不動産処分許可申立書
- 不動産の登記事項証明書
- 固定資産評価証明書
- 不動産会社の査定書(売却価格の妥当性を示す資料)
- 売買契約書の案
- 売却が必要な理由を説明する書面(収支状況等)
ここで壁になるのが査定書です。売れにくい物件の場合、地元の不動産会社に査定を依頼しても「うちでは扱えない」と断られ、査定書自体が手に入らないことがあります。
この場合、訳あり物件を扱う買取業者から査定を取るという方法があります。買取業者は現状のまま評価するため、老朽化・再建築不可といった条件でも査定を出せます。複数社から査定を取っておけば、家裁に対して「この価格が市場での実勢である」と説明する材料になります。
5-4. 実体験:許可申請から売却完了までの流れと期間
私が後見人として実家の処分に関わったときの流れです。
- 管轄の家庭裁判所に電話で事前相談(何が必要かを確認)
- 不動産会社に査定を依頼し査定書を取得
- 買主候補と条件を調整し、売買契約書の案を作成
- 居住用不動産処分許可の申立て(必要書類を提出)
- 家裁の審査(この期間が読めない。数週間〜数ヶ月)
- 許可審判が出てから正式に売買契約を締結
- 決済・引き渡し・所有権移転登記
- 次回の定期報告で売却の経緯と資金の入金を報告
【実務メモ】
最も時間がかかるのは家裁の審査です。私のケースでは、動き始めてから完了まで数ヶ月かかりました。その間も空き家の維持費は発生し続け、放置期間中に屋根の一部が破損して修繕費が発生しました。「決まってから動く」のではなく「動きながら決める」意識が必要です。
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第6章:手放す前にやっておくこと
6-1. 相続登記(名義変更)を完了させる
亡くなった親の名義のままでは不動産を売却できません。まず相続登記を済ませる必要があります。
- 期限:相続を知った日から3年以内(2024年4月から義務化。違反すると10万円以下の過料)
- 費用:司法書士報酬5〜15万円+登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)
- 必要書類:被相続人の出生から死亡までの戸籍・相続人全員の戸籍と印鑑証明・遺産分割協議書・固定資産評価証明書など
相続人が複数いる場合、誰の名義にするかで遺産分割協議が必要です。ここで揉めると売却まで進めません。売却するかどうかを決める前に、まず名義を整理することが先決です。
6-2. 荷物・残置物の片付けをどこまでやるか
片付けの判断は、売却方法によって変わります。
| 売却方法 | 片付けの必要性 |
|---|---|
| 仲介(一般の買い手に売る) | 必要。内覧のために片付けが前提 |
| 買取(現状のまま可の業者) | 不要な場合がある。事前に確認を |
| 解体して更地にする | 解体費用に含まれることが多い(要確認) |
ただし、どの方法を選ぶ場合でも重要書類・貴重品だけは必ず先に確認してください。通帳・印鑑・権利書・保険証券・現金は、タンスの奥や仏壇の引き出しから見つかることが珍しくありません。
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6-3. 境界確認・測量が必要なケース
隣地との境界が確定していない土地は、売買のトラブルになりやすいため、測量を求められることがあります。
- 費用は30〜80万円程度(隣接地の数・面積による)
- 隣地所有者の立ち会いと同意が必要なため時間がかかる
- 買取業者によっては測量なしで対応できる場合もある
売れるかどうか分からない段階で数十万円の測量費をかけるのはリスクがあります。先に査定を取って「いくらで売れるか」を把握してから、測量の要否を判断してください。
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第7章:売却後の税金と確定申告
7-1. 譲渡所得税の計算方法
不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税がかかります。計算式は以下の通りです。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
・取得費:購入時の価格・仲介手数料など(不明な場合は売却価格の5%)
・譲渡費用:仲介手数料・解体費用・測量費用など
| 所有期間 | 区分 | 税率(所得税+住民税) |
|---|---|---|
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 約20% |
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 約39% |
相続した不動産の場合、所有期間は亡くなった方が取得した日から引き継いで計算します。親が長年住んでいた家なら、相続直後に売っても長期譲渡(約20%)が適用されます。
7-2. 相続空き家の3,000万円特別控除
相続した空き家を売却する場合、条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。これが使えれば、実質的に税金がかからないケースがほとんどです。
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であること
- 相続開始の直前に被相続人が一人で居住していたこと
- 相続してから売却まで、事業・賃貸・居住の用に供されていないこと
- 売却代金が1億円以下であること
- 耐震リフォームをするか、家屋を解体して売却すること
- 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
⚠️ 期限に注意:この特例には適用期限があり、また「相続開始から3年を経過する年の12月31日まで」という個別の期限もあります。「いつか売ろう」と先延ばしにすると特例が使えなくなります。適用要件は細かく、改正もあるため、必ず税務署または税理士に確認してください。
7-3. 確定申告のタイミングと必要書類
不動産を売却した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告を行います。特別控除を使って税額がゼロになる場合も、申告は必要です。
- 売買契約書の写し
- 登記事項証明書
- 取得時の資料(購入時の契約書等)
- 譲渡費用の領収書(仲介手数料・解体費用等)
- 特例を使う場合:被相続人居住用家屋等確認書(市区町村発行)・耐震基準適合証明書など
第8章:判断フローチャート|あなたの空き家はどうすべきか

8-1. 状況別の最適な選択肢まとめ
| あなたの状況 | 推奨する選択肢 |
|---|---|
| 建物の状態が良く立地も悪くない | まず仲介で売却を試す |
| 老朽化が激しいが土地に需要がある | 解体費用と売却額を比較して判断(補助金も確認) |
| 再建築不可・借地権・共有名義がある | 訳あり物件専門の買取業者に査定を依頼 |
| すでに他社に断られた | 訳あり物件専門の買取業者に査定を依頼 |
| 荷物が大量に残っている | 現状買取が可能か確認。または片付け業者に見積もり |
| 田舎で移住需要がありそう | 空き家バンクへの登録も並行して検討 |
| 親が認知症で後見人がついている | 家裁に事前相談。査定書を用意して許可申請 |
| まだ相続手続きが終わっていない | まず相続登記。負債が多いなら相続放棄も検討 |
8-2. 迷ったらまず「無料査定」で現状を知る
どの選択肢を取るにしても、判断の出発点は「今いくらで売れるのか」を知ることです。査定額が分からないままでは、解体すべきかどうかも、片付けにいくらまでかけていいかも決められません。
査定は無料で、査定を受けたからといって売却する義務はありません。「売れないと思い込んでいた物件に値段がついた」というケースは実際にあります。まず現状を把握することから始めてください。
8-3. 動かないことが最大のリスクになる理由
空き家問題で最も多い後悔は「もっと早く動けばよかった」というものです。
- 建物は年々劣化し、売却の可能性は下がり続ける
- 固定資産税・管理費は毎年発生し続ける
- 相続空き家の3,000万円特別控除には期限がある
- 相続人がさらに亡くなると権利関係が複雑になる
- 特定空家等に指定されれば税金が最大6倍になる
私自身、後見人として空き家の処分を先送りしている間に屋根が破損し、修繕費が発生した経験があります。「決めるために動く」ことと「決めてから動く」ことは違います。まずは情報を集めることから始めてください。
売れない空き家の現状を、まず無料査定で確認する
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🏠 実家じまいの費用と進め方はこちら
費用相場・誰が払うか・相続放棄した場合の注意点・補助金まで、実家じまい全体の流れをまとめています。
▶ 実家じまいにお金がない人へ|費用は誰が払う?相続放棄の注意点まで元・後見人が解説
よくある質問
Q 田舎の空き家がまったく売れません。どうすればいいですか?
一般の仲介で買い手がつかない場合、①訳あり物件専門の買取業者に査定を依頼する、②自治体の空き家バンクに登録する、③解体して更地にしてから売却する、という選択肢があります。まず複数の業者に無料査定を依頼して、現状の価値を把握することから始めてください。
Q 再建築不可の物件でも売れますか?
一般の仲介では買い手が住宅ローンを組めないため難しいですが、再建築不可物件を専門に扱う買取業者であれば買い取れる場合があります。隣地所有者への売却や、セットバック等で接道要件を満たせるケースもあるため、まず専門業者に相談してください。
Q 空き家を放置するとどうなりますか?
固定資産税が毎年かかり続けるほか、特定空家等に指定されると住宅用地の特例が外れて税額が最大6倍になります。さらに倒壊や落下物で他人に損害を与えた場合は所有者に賠償責任が生じ、行政代執行で強制解体されればその費用(100〜300万円規模)も請求されます。
Q 解体してから売るのと、そのまま売るのはどちらが得ですか?
土地に需要がある地域なら解体後の売却が有利なことがありますが、解体費用100〜300万円が先行し、更地にすると固定資産税の軽減措置が外れます。解体後に売れないと費用と税負担だけが残るため、必ず「解体前に更地での売却可能性」を確認してください。現状のまま買い取ってもらえるなら、その方が総コストで有利な場合もあります。
Q 親が認知症です。実家を売ることはできますか?
判断能力がない状態では本人が売買契約を結べないため、成年後見人の選任が必要です。さらに本人の居住用不動産を売却するには家庭裁判所の許可が必須で、許可なく売却した契約は無効になります。売却の必要性を説明する資料と不動産会社の査定書を用意して申立てを行ってください。
この記事を書いた人
くじら99(元・成年後見人)
300km離れた認知症の親族のため、働きながら家庭裁判所に選任され成年後見人を3年間務めました。本人の施設入所後に空き家となった実家について、家庭裁判所への居住用不動産処分許可の申立てから売却・遺品整理まで実務で対応。「決めてから動く」では間に合わない現実を経験したことが、この記事を書いた理由です。
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