「久しぶりに実家に帰ったら、親の様子がおかしい」
「同じ話を何度も繰り返す。財布をしょっちゅうなくす。家の中が荒れてきた」
「認知症かもしれないと思っているが、何をすればいいのか分からない」
くじら99こうした不安は、ある日突然やってきます。
私は300km離れた場所で暮らしながら、認知症の親族のために成年後見人を3年間務めました。
後見人に選任される前から「何かおかしい」と感じながらも、どう動けばいいか分からず時間が経過してしまった経験があります。
この記事では、「認知症の親が心配」というところから、実際に何をすればいいかを7つのステップで解説します。法律と実務の両面から、後見人の実体験を交えてお伝えします。
この記事でわかること
- 認知症の初期症状と「物忘れ」との違い
- 親が認知症になったときにやるべき7つのこと
- 財産・銀行口座・不動産の凍結リスクと今すぐできる対策
- 家族信託・成年後見制度の違いと選択基準
- どこに相談すればいいか(相談窓口一覧)
- 認知症の親との接し方・ストレスを減らすコミュニケーション
- 施設入居の判断基準と選び方
- 後見人が「もっと早く動けばよかった」と感じたこと
目次
第1章:認知症の親が心配なとき、家族がまず理解したいこと
「物忘れ」だけではない認知症の症状と進行の可能性
「物忘れが増えた」と気づいたとき、それが加齢による自然な物忘れなのか、認知症の初期症状なのかを判断するのは難しいです。
加齢による物忘れと認知症の違い
| 項目 | 加齢による物忘れ | 認知症の物忘れ |
|---|---|---|
| 忘れ方 | 体験の一部を忘れる | 体験そのものを忘れる |
| 気づき | 自分で「忘れた」と分かる | 忘れたこと自体に気づかない |
| 進行 | ゆっくり・安定 | 徐々に悪化する |
| 日常生活 | 支障が少ない | 支障が出てくる |
「物忘れ」だけが認知症の症状ではありません。以下のような変化も初期サインとして現れます。
- 同じ話・同じ質問を短時間に何度も繰り返す
- 財布や鍵を頻繁になくす・「誰かが盗んだ」と言う(物盗られ妄想)
- 以前できていた料理・家事・金銭管理ができなくなる
- 日付・時間の感覚が狂う
- 判断力が低下し、詐欺や不必要な買い物が増える
- 清潔への関心が薄れ、家の中が荒れてくる
- 性格や感情が変わる(怒りやすくなる、無気力になる)
特に「家の中が荒れてきた」「ゴミが溜まっている」という変化は、認知症が一定以上進行しているサインである場合が多いです。
悲しい・不安になるのは自然な反応
「親が認知症かもしれない」と気づいたとき、多くの方が複雑な感情を経験します。
- 悲しみ(知っていた親がいなくなっていくような喪失感)
- 不安(これからどうなるのか、自分たちに対応できるか)
- 怒り(なぜ自分がこんな状況に、という気持ち)
- 罪悪感(「関わりたくない」と感じてしまうことへの自責)
これらはすべて自然な反応です。特に「認知症の親に関わりたくない」と感じることは、多くの介護者が経験しています。感じてしまうこと自体を責める必要はありません。
ただし、この感情のまま何も動かずにいると、状況は確実に悪化します。今感じている不安や怒りをエネルギーにして、「まず情報を集めて動く」ことが最初のステップです。
一人暮らしの高齢者ほど早期発見が重要な理由
毎日顔を合わせる同居家族は異変に気づきやすいですが、遠方に住む家族がお盆・正月・年に数回しか帰省しない場合、「ちょっとおかしいな」と感じたときには、すでにかなり進行しているケースがあります。
後見人として経験した私のケースでも、最初に「様子がおかしい」と感じてから、実際に対応を開始するまでに時間が経過してしまいました。その間に、財産が詐欺被害に遭うリスク・家の中が荒れるリスク・適切な医療を受けられないリスクが続いていました。
一人暮らしの親への早期発見のための行動
- 週1回以上の電話連絡(会話の内容・繰り返しの有無を確認)
- 帰省時の家の中のチェック(整理整頓・冷蔵庫の中・ゴミの状況)
- 通帳・請求書の確認(不審な出金・未払いがないか)
- 近所の方・民生委員との連携(様子を教えてもらえる関係作り)
第2章:親が認知症になったらやるべきこと7つ


①実家の生活状況・お金・健康状態を把握する



感情的に動く前に、事実を整理します。
確認すべき事項:
- 日常生活の状況(食事・服薬・清掃・ゴミ出しができているか)
- 財産の全体像(通帳・印鑑・権利証・保険証券の在処)
- 健康状態(かかりつけ医・服薬中の薬・直近の受診状況)
- 人間関係(詐欺被害・不必要な契約がないか)
- 家の状態(荒れていないか・ライフライン未払いがないか)
感情的に整理を始めてしまうと後で問題になることがあります(相続放棄検討中の場合などは特に注意)。まず現状を記録することが最優先です。
②病院・専門医・もの忘れ外来を受診する
認知症の正式な診断は医師にしかできません。「認知症かもしれない」という段階では、まず医療機関への受診が必要です。
受診先の選び方
- かかりつけ医:最初の相談窓口として適切。必要に応じて専門医を紹介してもらえる
- もの忘れ外来・認知症専門外来:精神科・神経内科・老年内科が担当
- 認知症疾患医療センター:都道府県が指定する専門機関。診断・治療・相談を一括対応
受診を本人が嫌がる場合
「病院に行きたくない」という抵抗は多くの場合に起きます。
「健康診断として」「かかりつけ医の定期受診として」という文脈で誘うと受け入れてもらいやすいケースがあります。
③地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターは、認知症・介護に関するあらゆる相談を無料で受け付ける窓口です。
市区町村が設置しており、全国に5,400か所以上あります。
地域包括支援センターでできること
- 認知症に関する情報提供・相談
- 介護保険申請の手続き支援
- ケアマネジャーの紹介
- 地域の介護サービスの案内
- 成年後見制度に関する情報提供
「何から始めればいいか分からない」という段階でも相談できます。
私が後見人になる前の段階で、地域包括支援センターに相談していれば、もっと早く適切な支援につながれたと感じています。
④要介護認定を申請する
介護保険サービスを利用するためには、市区町村に「要介護認定」を申請する必要があります。
申請から認定まで30日程度かかるため、早めに動くことが重要です。認定が出るまでの間も、暫定的にサービスを利用できる場合があります。
要介護認定の区分
| 区分 | 状態の目安 | 使えるサービス |
|---|---|---|
| 要支援1〜2 | 生活の一部に支援が必要 | 予防サービス |
| 要介護1〜2 | 日常生活に介護が必要 | 訪問介護・通所介護等 |
| 要介護3〜5 | 常時介護が必要 | 施設入所も対象 |
⑤財産・銀行口座・不動産の棚卸し
厚生労働省によると2020年に631万人だった認知症患者数は、2050年には1,016万人まで増えると推計されており、高齢化に伴った認知症患者の数は増加し続けています。
認知症によって”使えなくなっている”資産はすでに255兆円を超え、将来的には国民の資産の1割以上が凍結されるとも言われています。
把握すべき財産の一覧:
- 銀行口座(どの銀行・支店・口座番号)
- 年金受取口座
- 定期預金・積立
- 不動産(土地・建物の名義・所在地)
- 保険証券(生命保険・医療保険)
- 株式・投資信託
- ローン・借金の有無
この棚卸しは、後から探し出すのが非常に困難です。通帳・印鑑・権利証の在処を今のうちに把握してください。
⑥運転・徘徊・事故などのリスク対策
運転:認知症の方の運転は事故リスクが非常に高く、道交法上も問題です。免許の自主返納を促す・返納後の移動手段を確保するという準備が必要です。
徘徊:道に迷って帰れなくなるケースが増えます。GPS機器の活用・地域の見守りネットワークへの登録・近隣への情報提供が有効です。
詐欺被害:判断能力が低下すると詐欺のターゲットになりやすくなります。電話・訪問販売・振り込め詐欺への対策として、固定電話の着信制限・家族への連絡先の周知が有効です。
⑦家族の支援体制と介護方針を話し合う
認知症の親の介護は、一人で抱えると確実に限界が来ます。兄弟姉妹・配偶者・親族で役割分担を決める話し合いを早めに行うことが重要です。
話し合いで決めるべき事項:
- 介護の主担当は誰か
- 金銭的な負担の分担
- 施設入居についての方針(本人の意向を含む)
- 将来の意思決定をどうするか(後見制度・家族信託等)
この話し合いが先送りされると、後で兄弟間の揉め事や「なぜ事前に相談しなかったのか」という不信感につながります。
📱 離れて暮らす親の様子をスマホで確認できる
ドアの開閉・室内カメラ・会話機能をスマホ1台で管理。「ちゃんと食べているか」「転んでいないか」が遠方からでも確認できます。初期設定は専門スタッフが代行・実質無料。ソニーが提供するスマートホームサービスです。


第3章:お金と財産管理で早めに進めたい対策
認知症が進むと資産凍結が起こる恐れ
認知症と診断されると、銀行口座が凍結されお金を引き出すことができなくなります。口座凍結がされてしまうと、本人だけではなく、家族が代理人として引き出すことも不可能です。
これは「口座名義人の財産を詐欺や使い込みから守るため」という目的で行われますが、家族にとっては介護費用・施設費用・日常生活費が突然引き出せなくなるという深刻な問題です。
実は認知症により口座凍結になった場合の対処法は、成年後見制度のみです。それ以外の方法で口座凍結に対処することはできないため、口座凍結をされてしまった場合には成年後見制度を利用しましょう。
口座凍結が起きるタイミング
- 本人が銀行窓口で「認知症かもしれない」と判断された場合
- 家族が「親が認知症になった」と銀行に伝えた場合
- 不審な取引が続いた場合
口座凍結で止まる取引
- 預金の引き出し・振り込み
- 定期預金の解約
- ローンの申込み
- 投資信託・株式の売買
なお、年金の入金・公共料金の自動引落しは継続されることが多いです。
成年後見制度の仕組みとメリット・デメリット
成年後見制度は、判断能力が低下した方を法的に保護する制度です。家庭裁判所が後見人を選任し、本人の財産管理・法律行為を代理で行います。
メリット
- 口座凍結を解除できる唯一の手段
- 不動産売却・契約等を合法的に進められる
- 詐欺・使い込みから本人を守れる
デメリット
- 申立てから選任まで3〜6ヶ月かかる
- 家族ではなく弁護士・司法書士等が選任されるケースが約83%
- 専門職後見人の報酬が毎月2〜6万円発生し続ける
- 不必要な財産処分ができなくなる(家裁の許可が必要)
- 一度始めると原則亡くなるまで終わらない(※2026年6月改正法成立・2028年施行見込みで変わる予定)



成年後見制度の利用は進んでいません。
2020年で認知症患者数は推定で602万人とされていますが、成年後見制度の利用件数は2020年12月末時点で232,287件となっています。認知症患者数に占める割合は3.8%と低水準です。
利用が進まない最大の理由は「一度始めたら終われない」「家族が後見人になれない」という使いにくさです。だからこそ認知症になる前の事前対策が重要になります。


家族信託はどんな家庭に向く?成年後見との違い
家族信託は、判断能力があるうちに「財産の管理を家族に任せる契約」を結んでおく仕組みです。
| 項目 | 家族信託 | 成年後見制度 |
|---|---|---|
| 開始タイミング | 元気なうち(必須) | 判断能力低下後 |
| 誰が管理するか | 家族(自分で選べる) | 家裁が選任(家族とは限らない) |
| 家裁の関与 | なし | 毎年の報告義務あり |
| 費用 | 初期費用のみ(50〜100万円程度) | 毎月の後見人報酬が継続 |
| 柔軟性 | 高い(自由に設計できる) | 低い(家裁の監督下) |
| 不動産売却 | 可能(信託契約の範囲内で) | 家裁の許可が必要 |
家族信託が特に向いているケース
- 不動産を所有していて、将来の売却・管理を考えている
- 認知症が進んでも家族に財産管理を任せたい
- 毎月の後見人報酬の負担を避けたい
- 相続対策も同時に進めたい
成年後見が必要なケース
- すでに判断能力が低下していて家族信託が使えない
- 本人を詐欺・身内の使い込みから守る必要がある
- 複雑な法律行為(訴訟・特定の契約等)が必要
生前贈与・相続・不動産管理で起こりやすい親族トラブル
認知症の親の財産をめぐる親族間トラブルは、対応が遅れるほど深刻になります。
よくあるトラブルパターン
- 認知症が進んだ後に「生前贈与」や「遺言書」を作成→有効性を争う訴訟に
- 兄弟の一人が親の通帳・印鑑を管理→他の兄弟から「使い込み」と疑われる
- 不動産の名義が親のまま→認知症後に売却も建て替えもできなくなる
- 兄弟間で介護の負担が偏る→相続時の感情的な対立に
これらのトラブルを防ぐには「認知症になる前に家族全員で話し合い、法的な仕組みを整えておく」ことが最善の方法です。
今すぐ動くための無料相談(おやとこ)
口座凍結になってからでは遅い
認知症による資産凍結は突然起きます。凍結後に使える手段は成年後見制度のみ。後見人として経験した立場から言えば、「もっと早く家族信託を知っていれば」と感じました。親が元気なうちの今が、動ける唯一のタイミングです。
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第4章:どこに相談する?頼れる窓口一覧


最初の相談先は地域包括支援センター
「何から始めればいいか分からない」という段階で最初に連絡すべき窓口です。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 無料 |
| 対象 | 65歳以上またはその家族 |
| 窓口 | 全国5,400か所以上 |
| 対応内容 | 認知症相談・介護保険申請・ケアマネ紹介・成年後見相談 |
市区町村の公式サイトで「〇〇市 地域包括支援センター」で検索するか、市区町村の介護保険課に電話で確認できます。
病院・専門医・もの忘れ外来の選び方
かかりつけ医がいる場合はまずそこに相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらいます。
認知症専門の相談窓口
- 認知症疾患医療センター(都道府県が指定)
- もの忘れ外来(精神科・神経内科・老年内科)
- 認知症初期集中支援チーム(市区町村が設置)
認知症の電話相談窓口
- 認知症の人と家族の会:0120-294-456(全国)
- 公益財団法人認知症予防財団:03-3591-3649
介護の悩みはケアマネジャーへ
要介護認定を受けたら、ケアマネジャー(介護支援専門員)が担当につきます。
ケアマネは介護サービスの計画作成・各事業者との調整・施設への相談まで、介護全般のコーディネーターです。
「施設に入れた方がいいのか」「在宅で使えるサービスは何があるか」という相談もケアマネに行えます。担当ケアマネとの相性が悪い場合は変更できます。
お金・手続きは司法書士・弁護士へ
家族信託・成年後見制度の申立て・不動産の売却手続きなど、法的な判断が必要な場面では専門家への相談が必要です。
| 専門家 | 得意な分野 |
|---|---|
| 司法書士 | 家族信託・成年後見申立て・不動産登記 |
| 弁護士 | 訴訟・親族間トラブル・複雑な法的対応 |
| 税理士 | 相続税・生前贈与の税務 |
| 行政書士 | 各種申請書類の作成 |
第5章:認知症の親との接し方|ストレスを減らすコミュニケーション
否定せず理解を示す接し方が家族関係を守る
「それは違う」「さっき言ったばかり」「なんでそんなことも分からないの」——こうした言葉は、認知症の方の不安・混乱・怒りを増幅させます。
代わりに効果的な接し方:
- 共感する:「そうですね」「大変でしたね」と気持ちを受け止める
- 話を合わせる:事実ではなくても、本人が安心できる方向で話す
- 急かさない:自分のペースで行動させる・待つ
- 穏やかな声のトーン:声が大きいと不安を煽る
同じ話を何度もするときの対処法



同じ話・同じ質問が繰り返されるのは認知症の中核症状です。
「また同じこと言ってる」という気持ちは自然ですが、相手は「初めて話している」という感覚です。
実践的な対処法
- 何度目でも初めて聞くように反応する(消耗しますが最も平和的)
- 話題を自然に変える(「そういえば今日は何食べた?」など)
- メモに書いて見えるところに貼る(同じ質問を減らす工夫)
- 繰り返しを「その人らしい話題」として受け入れる
イライラして関わりたくないと感じたときの心のケア
「正直、認知症の親に関わりたくない」という気持ちは、介護を経験した多くの方が感じています。これは「悪い子供」だからではなく、精神的・肉体的な限界のサインです。
今すぐできる心のケア
- 「怒りたくて怒っているわけではない」と自分に言い聞かせる
- 感情が高ぶったときは一度部屋を出る(その場を離れる)
- 他の介護者・家族に気持ちを話す(一人で抱えない)
- ケアマネや地域包括支援センターに「介護疲れ」を相談する
後見人として3年間関わった私も、「もう限界だ」と感じた瞬間がありました。そのとき助けになったのは「自分一人でやらなくていい」という気づきでした。
家族だけで限界を抱え込まないための支援の受け方
介護保険で使えるレスパイトサービス
- ショートステイ(短期間の施設入所):主介護者の休息のために使える
- デイサービス(通所介護):日中施設で過ごしてもらうことで家族の時間を確保
- 訪問介護:ヘルパーが自宅を訪問して介護サポート
介護者のための相談窓口
- 認知症の人と家族の会:家族同士が集まる交流の場
- 地域のコミュニティカフェ・家族介護者教室
「支援を求める」ことは弱さではありません。後見人として学んだのは「専門家・制度・地域のリソースを最大限使うことが、本人のためにも家族のためにもなる」ということです。
第6章:介護・自宅・施設の選び方
自宅介護を続ける場合に必要なケアと家族の負担
在宅介護は本人の希望に沿いやすい反面、家族の負担が非常に大きくなります。
在宅介護に必要な環境整備
- バリアフリー化(段差解消・手すり設置・滑り止めマット)
- 徘徊対策(センサー・鍵のロック・GPS機器)
- 緊急連絡体制(緊急通報サービスの導入)
- 介護保険サービスの活用(訪問介護・デイサービス等)
在宅介護の限界のサインとして、介護者自身の睡眠不足・うつ症状・「消えてしまいたい」という気持ちが現れたら、すぐに施設入居を検討してください。
老人ホーム・施設の選び方と入居前の確認事項
施設の種類によって費用・対象者・サービス内容が大きく異なります。
| 施設の種類 | 月額費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 5〜15万円 | 要介護3以上・費用が安い・待機期間が長い |
| 介護付き有料老人ホーム | 15〜40万円 | 介護サービスが充実・費用が高め |
| グループホーム | 10〜20万円 | 認知症専門・少人数・地域密着 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 10〜30万円 | 自立〜軽度介護向け |
入居前に確認すべき事項:
- 医療対応の範囲(胃ろう・点滴等に対応できるか)
- 看取りへの対応方針
- 夜間の体制(夜勤スタッフ数)
- 退去が必要になる条件
- 認知症への対応経験と体制
一人暮らしが難しくなったときの判断基準
以下のいずれかに当てはまる場合、一人暮らしの継続は危険と判断できます。
- 服薬管理ができない(飲み忘れ・重複服薬)
- 食事の準備ができない(体重が大幅に減少している)
- ガス・火の管理が危険
- 夜中に徘徊して行方不明になった
- 詐欺被害に遭い始めている
- 近隣からの苦情が続いている
「まだ大丈夫」と先送りにし続けると、最悪の場合は在宅での事故につながります。
在宅と施設、それぞれの向き不向き
| 状況 | 在宅介護 | 施設入居 |
|---|---|---|
| 認知症が軽度 | ○ | △(費用が先行) |
| 独居で家族が遠方 | △(見守りが難しい) | ○ |
| 医療ニーズが高い | △(対応に限界) | ○ |
| 本人が強く在宅を希望 | ○(意思を尊重) | △(本人の抵抗) |
| 介護者が限界 | ✕(共倒れリスク) | ○ |


第7章:後見人の実体験から伝えたい、家族が後悔しないための考え方
知恵袋ではわからない現場で起きる問題と本当に必要な準備
成年後見人として3年間経験した中で、「知恵袋やインターネットの情報では全く準備できていなかった」と感じた出来事を正直にお伝えします。
通帳が見つからない問題
後見人として最初に経験したのは「財産の全体像が分からない」という問題でした。どの銀行に口座があるのか、定期預金はあるのか——一から調査するのは非常に時間がかかりました。信用情報機関への照会・各銀行への問い合わせ・郵便物の確認から始めました。
ゴミ屋敷化した実家の問題
Aさんの自宅は、後見人として最初に訪問したとき足の踏み場もない状態でした。書類を探そうとしても、大量のゴミで作業になりません。便利屋に見積もりを取ると金額が高額で、家庭裁判所への上申が必要になりました。
後見人でも「どこまで自分が動いていいのか」の判断が非常に難しいです。実際に業者に依頼するのは家裁への報告が必要なケースがあります。
家庭裁判所との関係
年1回の定期報告・財産目録の作成・各支出の領収書管理——これが毎年続きます。「後見人になればすべて解決する」ではなく「後見人になると毎年一定の作業義務が発生する」という現実があります。
親本人の尊厳を守りながら家族の生活も守る方法
後見人として最も難しかったのは「本人の意思と家族の希望と現実的な安全のバランスを取ること」でした。
「本人は施設に入りたくない」「でも一人暮らしは危険」「家族は遠方で常時見守れない」——このような板挟みの状況に答えは一つではありません。



ただし明確に言えることが一つあります。
状況を把握せずに放置した結果、詐欺被害・孤独死・事故という最悪の事態になったケースは実際に多くあります。「何もできない」という状況でも、地域包括支援センターへの相談・ケアマネへの連絡・定期的な電話連絡は今日からできます。
後見人として「もっと早く動けばよかった」と感じたこと
3年間の後見を終えて、最も強く感じたのは以下の3点です。
① 財産の棚卸しは早ければ早いほどいい
認知症が進むと本人から情報を聞き出せなくなります。「どこに通帳がある」「どんな保険に入っているか」——元気なうちにしか確認できない情報があります。
② 家族信託・任意後見は「考え始めたとき」ではなく「今日」動く
「来年やろう」「もう少し様子を見よう」——この先送りが最も高くつきます。判断能力が低下してからでは家族信託も任意後見も使えません。
③ 兄弟・家族間の話し合いは認知症になる前に済ませる
「誰が主体的に動くか」「費用はどう分担するか」「施設の方針は」——これらを認知症発症後に話し合うと、感情的になりやすく結論が出にくいです。
後見人経験者が一番すすめる事前対策(おやとこ)
後見人として「もっと早く動けばよかった」と感じた対策
家族信託・任意後見は親が元気なうちにしか使えません。「来年やろう」が最も高くつきます。おやとこは司法書士が直接対応・全国対応・相談無料。まず話を聞くだけでも構いません。
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第8章:親が認知症になる前にやるべきこと


元気なうちに契約・財産・希望を整理しておく重要性
「親が元気なうちに」という言葉は、介護の文脈で何度も出てきます。しかし具体的に何をするかが分からないまま先送りにしている方が多いのが現実です。
今日からできることリスト
| 優先度 | やること | 期限 |
|---|---|---|
| 高 | 財産の全体像を把握する | 今月中 |
| 高 | 通帳・印鑑・保険証券の在処を確認 | 今月中 |
| 高 | 家族で将来の介護方針を話し合う | 3ヶ月以内 |
| 中 | 家族信託・任意後見について専門家に相談 | 半年以内 |
| 中 | エンディングノートに希望を記録してもらう | 半年以内 |
| 低 | 遺言書の作成を検討する | 1年以内 |
任意後見・家族信託・遺言書の作成を検討する
任意後見契約
判断能力があるうちに「将来、誰に後見人になってもらうか」を契約で決めておく制度です。認知症が進んで「後見開始の申立て」をすることで、あらかじめ指定した人が後見人になれます。成年後見制度と異なり、後見人を自分で選べるのが最大のメリットです。
家族信託
最も柔軟に財産管理を設計できる方法です。「誰に何を管理させるか」「どのような目的で使えるか」を自由に設計できます。認知症になった後に不動産が売れなくなる問題や、口座凍結の問題を事前に防ぐために最も有効な手段です。
遺言書
財産の相続先を生前に決めておく書類です。遺言書があれば、死後の相続手続きが円滑になり、親族間のトラブルを防げます。公正証書遺言(公証役場で作成)が最も確実です。
今すぐできる準備リスト
親が元気なうちに今すぐ確認すること
□ 銀行口座(どの銀行・支店・残高の目安)
□ 年金受取口座と受給額
□ 生命保険・医療保険の証券と保険会社名
□ 不動産の権利証・固定資産税の納付書
□ かかりつけ医の名前・病院名
□ 服薬中の薬の一覧
□ 友人・知人の連絡先
□ 本人が望む介護・葬儀の希望
□ 家族信託・任意後見について家族で話し合う日程
このリストを全部クリアしていれば、万が一の事態でも初動が格段に速くなります。
今すぐ動くために(おやとこ無料相談)
この記事を読んだ今が動くタイミング
親が認知症になってからでは家族信託も任意後見も使えません。口座凍結・施設費用の問題・相続トラブルを未然に防ぐには、元気なうちの今しかありません。相談だけでも、まず動いてください。
【無料相談】家族信託「おやとこ」に問い合わせる※相談・お見積もり無料・全国対応(PR)
よくある質問
Q. 親が認知症かもしれません。まず何をすればいいですか?
A. まず地域包括支援センターに電話してください(市区町村のサイトで検索できます・相談無料)。同時に、かかりつけ医または「もの忘れ外来」への受診を検討してください。「認知症の診断がないと動けない」ということはなく、疑わしい段階から相談できます。
Q. 認知症の親の銀行口座はどうなりますか?
A. 銀行が認知症と判断した場合、口座が凍結され家族でも引き出せなくなります。凍結後の解除方法は成年後見制度のみです。凍結前の対策として、家族信託・任意後見が有効です。認知症になる前に動くことが唯一の有効な対策です。
Q. 家族信託と成年後見制度、どちらを選べばいいですか?
A. 親がまだ元気で判断能力がある場合→家族信託または任意後見が選択肢。すでに判断能力が低下している場合→成年後見制度しか使えません。できるだけ早く専門家(司法書士・弁護士)に相談して、現在の状況に応じた最適な方法を選んでください。
Q. 認知症の親に関わりたくないと思うのは普通ですか?
A. 非常に多くの介護者が同じ気持ちを経験しています。「関わりたくない」という気持ちは心理的・肉体的な限界のサインです。地域包括支援センター・ケアマネ・認知症の人と家族の会などに「介護疲れ」を相談することをすすめます。一人で抱え込まないことが最も大切です。
Q. 遠方に住んでいて、親の認知症に対応できるか不安です。
A. 遠距離での認知症対応は非常に難しいですが、選択肢はあります。地域包括支援センターに「遠方に住む子供が親の状況を心配している」と相談すると、地域の見守りサービス・訪問介護・民生委員との連携などのアドバイスをもらえます。また、家族信託を設定しておくと、遠方からでも財産管理ができます。
Q. 成年後見人になったらどんなことをするのですか?
A. 毎年の定期報告(財産目録・収支状況)の作成・家庭裁判所への提出、日常の財産管理(通帳・口座管理)、本人のための各種契約・手続き(施設入所契約等)が主な業務です。後見人として私が経験したのは、定期報告・不動産売却・施設契約・廃車手続き・信用情報照会などです。年1回の定期報告が最も負担の大きな作業です。
くじら99(元・成年後見人)
300km離れた認知症の親族のため、働きながら家庭裁判所に選任され、成年後見人を3年間務めました。認知症の方の財産管理・定期報告・不動産売却・施設との交渉・信用情報照会・ゴミ屋敷対応まで実際に経験した立場から、「認知症の親が心配」という段階にいる方に向けてこの記事を書きました。家庭裁判所より選任 / 成年後見人を3年間 / 定期報告・不動産売却・廃車・施設対応まで経験 / 遠距離300km・就業中
※当サイトは個人の実体験に基づく情報提供であり、法的助言ではありません。個別の状況は専門家にご確認ください。本ページのリンクには広告(PR)を含みます。出典:厚生労働省「認知症施策推進大綱」/おやとこ「認知症になった親の銀行口座はどうなる?」(2026年4月)


