実家のお墓を墓じまいしたいけれど、遠くて通えない。お寺に何から話せばいいか分からない。そして、代行業者、石材店、行政書士のどこに頼めばいいのかも分からない。そんな状況の方へ。
私は、認知症の叔父の成年後見人を会社員のまま3年務め、叔父が亡くなったあと、菩提寺と何度もやり取りをして墓じまいをしました。改葬の書類も出しています。叔父と先祖の遺骨は、合祀の永代供養墓に納めました。この記事では、その経験と法律の条文をもとに、頼み先の違いと選ぶときに見るところをまとめます。
先に書いておくと、頼み先を一つに決めて全部任せるのが正解、とは考えていません。
自分でやる部分と任せる部分を分けて、どこで判断したかを記録に残す。その線引きの話です。
結論:何を任せたいかで、頼み先が変わる
- お寺との話し合いが重い、遠くて通えない:手続き全体を相談できる墓じまいの代行業者から、話を聞いてみる
- 墓石の撤去工事が中心で、書類は自分で出せそう:石材店に撤去の見積もりを取り、書類は自分で進める
- 書類づくりだけ頼みたい:行政書士に、改葬の書類をどこまで作ってもらえるか聞く
| 頼み先 | 主に任せられること | 向く人 | 使った/調べた | 公式 |
|---|---|---|---|---|
| 自分で(市区町村・お寺とやり取り) | すべて | 近くに住んでいて、平日に動ける | 自分でやった:菩提寺とやり取りし、改葬の書類を出した | 市区町村の窓口 |
| 墓じまいの代行業者 | 手続き全体の相談・段取り(会社ごとに範囲が違う) | 遠方で通えない、お寺との話し方に不安がある | 調べた:行政書士法の条文で、書類作成を誰が担当するかの注意点を確認 | 各社の公式サイト |
| 石材店 | 墓石の撤去・更地に戻す工事 | 書類は自分で出せる。撤去だけ頼みたい | 調べた:墓石撤去の記事で整理済み | 各店の公式サイト |
| 行政書士 | 官公署に出す書類の作成 | 改葬許可の書類づくりに困っている | 調べた:行政書士法の条文 | 日本行政書士会連合会など |
費用は、お墓の場所や規模、お寺との関係で大きく変わるため、この表には書いていません。費用の内訳は、別の記事の墓じまい料金の内訳・相場・追加費用の落とし穴にまとめています。
墓じまいで、そもそも何をする必要があるのか

頼み先を選ぶ前に、やることの全体を押さえておきます。大きくは次の三つです。
- お寺や霊園(墓地の管理者)と話をして、墓じまいの了解と手順を確かめる
- 遺骨の行き先(私は合祀の永代供養墓)を決めて、受け入れてもらう
- 市区町村から改葬の許可を受ける。許可を受けないまま遺骨を動かすことはできない
- 墓石を撤去して、墓地を管理者に返す
改葬には、市町村長の許可が必要です。遺骨が今あるところの市町村長が許可を出します(墓地、埋葬等に関する法律 第5条、2026年10月16日にe-Gov法令検索で確認)。申請書の書き方や添付書類は同法施行規則 第2条に定めがあり(同日確認)、細かい運用は市区町村で違います。
私は菩提寺と何度もやり取りをしました。お寺との話し合いは、何をどこまで自分で話すか、いつ専門家に聞くかを決めておく必要があります。
頼み先ごとの違い
墓じまいの代行業者
お寺との連絡、遺骨の行き先探し、石材店の手配、書類の段取りなどを、まとめて相談できるのが代行業者です。
ただし、どこまでを自社でやり、どこからを提携先に回すかは会社ごとに違います。契約の前に、次の点を聞いてください。
- 見積もりに含まれる作業と、含まれない作業(撤去工事、お寺へのお布施、遺骨の納め先の費用など)
- 改葬の書類を誰が作るのか(下の行政書士の項を参照)
- お寺とのやり取りに、業者が同席するのか、連絡だけなのか
- 追加の費用が出る場面と、その連絡のしかた
私は菩提寺と自分でやり取りした立場で、各社のサービスの中身や使い心地は評価できません。ここで書いているのは、頼む前に確かめるところです。
石材店
石材店は、墓石の撤去と墓地の整地を担います。もともとの墓を建てた店や、お寺の指定の石材店がある場合もあります。
指定がある墓地では、別の店に頼めないことがあるので、お寺に先に確かめてください。撤去の費用やリスクは、墓石撤去は自分でできる?費用・リスク・石材店への依頼で整理しています。
行政書士
改葬の許可申請書は、市区町村という官公署に出す書類です。
行政書士法は、他人の依頼を受け報酬を得て官公署に提出する書類を作成することを行政書士の業務としています(行政書士法 第1条の3、2026年10月16日にe-Gov法令検索で確認)。また、行政書士または行政書士法人でない人が、報酬を得て業としてその業務を行うことはできないと定めています(同法第19条、同日確認。例外あり)。
そのため、どこかに頼むときは「改葬の書類は、誰が作成するのですか」と聞いておくと安心です。提携の行政書士が作る場合もあれば、依頼者が自分で書く形で案内だけを受ける場合もあるようです。どちらが良い悪いではなく、自分がどこまでやるのかを、契約の前に分かっておくことが大事です。
なお、この条文がどの業務に当たるかの最終的な判断は、私にはできません。気になる場合は、行政書士会や市区町村の窓口に確かめてください。
選ぶときに見るところ
- 任せる範囲が書面で分かるか:お寺との連絡、書類、撤去工事、遺骨の納め先のうち、どこまでが料金に入っているか
- 書類の作成者が分かるか:行政書士が作るのか、自分で書くのか
- 費用の内訳が見積書に出ているか:一式でなく、項目ごとに出してもらう
- お寺との関係に配慮してくれるか:お寺の了解がないまま話を進める業者は避けたい。まずお寺に話す順番を一緒に考えてくれるか
- 1社で決めず、比べたか:私は遺品整理で1社しか見積もりを取らなかった反省があります。墓じまいでも、可能なら複数から話を聞くと安心です
判断の基準:どこまで自分でやり、どこから任せるか

私は菩提寺とのやり取りも改葬の書類も自分で進めました。そのうえで、線引きの考え方として、次の三つを挙げます。
- お寺との話し合いは、まず自分でやる。事情をいちばん知っているのは家族だからです。難しければ、そこで任せる
- 改葬の書類は、窓口に聞きながら、できる範囲は自分で出す
- 墓石の撤去のように、自分では施工が難しい作業は、専門の人に任せる
これは考え方の一例です。遠方で通えない、平日に動けない、お寺との関係がよく分からない、という事情があれば、お寺との連絡から任せられる業者に相談するほうが合う人もいます。
どちらを選んでも、何を基準にそう決めたかは記録に残しておいてください。例えば次のようなメモです。
| 残すこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 日付と相手 | ○月○日、お寺の住職に電話。墓じまいの意向を伝えた |
| 言われたこと | 書類に必要な証明書は、お寺が作成すると回答 |
| 任せた範囲と理由 | 撤去工事は石材店に依頼。理由は、自分では施工できないため |
| やめたこと | 複数社の比較は2社で止めた。理由は、見積もりの内訳に大きな差がなかったため |
親族に説明するときも、あとで書類を見直すときも、このメモが助けになります。
遠方で通えないときの相談先
お寺とのやり取りや書類の段取りを、まとめて相談したい。そう考える方は、墓じまいの代行を扱う「墓じまいパートナーズ」(PR)に、自分の場合に何が必要かを聞いてみる方法があります。そのうえで、他の業者や石材店にも話を聞いて比べてください。
墓石の撤去も含めて相談したい場合は、石材店の紹介を扱う「墓石ナビ」(PR)という選択肢もあります。
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墓じまいの頼み先、まずは相談から
お寺とのやり取り、改葬の書類、遺骨の行き先。遠方のお墓だと、何度も通うのは大変です。墓じまいの代行を相談できる「墓じまいパートナーズ」に、自分の場合に何が必要かを聞いてみるのも一つの方法です。
ほかにも、お住まいの市区町村の窓口、行政書士会、お寺の指定の石材店など、まず話を聞ける相手はいます。
会社に頼む場合も、1社で決めずに、見積もりの項目を見比べてみてください。
他の頼み先(普通のリンク)
- 日本行政書士会連合会(行政書士を探す):公式サイト
- お住まいの市区町村の窓口:改葬の許可を出すのは、遺骨が今あるところの市区町村です。申請書の様式と必要書類を、窓口で確かめられます
よくある質問
お寺に話す前に、業者へ相談してもいいですか?
相談自体はできます。ただ、墓じまいにはお寺(墓地の管理者)の了解と証明書が欠かせません。業者に聞いた内容を持って、早めにお寺へ話す順番を決めておくと、行き違いが減ります。
名義が亡くなった人のままでも、墓じまいはできますか?
私は名義変更をせずに墓じまいしましたが、市区町村と墓地の管理者によって求められることは違います。くわしくはお墓の名義変更は必要?墓じまいするなら先に確かめることに書きました。
遺骨の納め先は、先に決めないといけませんか?
改葬の許可申請には、遺骨の受け入れ先の証明書類が必要になるのが一般的です。私は合祀の永代供養墓に納めました。費用の話は墓じまいの費用は誰が払う?もあわせて読んでください。
一人で抱えるのが不安です。どこに相談すればいいですか?
お寺、市区町村の窓口、行政書士、墓じまいを扱う業者のいずれかから、話しやすいところに聞いてみてください。おひとり様の場合の流れは、おひとり様の墓じまい|成年後見終了後の死後事務とお寺との交渉にも書いています。
あわせて読みたい
- 墓じまいと改葬の違いは?手続き・費用・散骨まで
- 墓じまい料金の内訳・相場・追加費用の落とし穴
- 墓石撤去は自分でできる?費用・リスク・石材店への依頼
- お墓の名義変更は必要?墓じまいするなら先に確かめること
※この記事は一般的な情報で、法律の助言ではありません。改葬で求められる書類や、書類を誰が作成できるかは、市区町村と墓地の管理者、依頼先によって違います。依頼の前に、市区町村の窓口と依頼先で確かめ、判断に迷う場合は行政書士など専門家にご相談ください。
この記事を書いた人:くじら99(元・成年後見人)
300km離れた認知症の叔父の成年後見人を、家庭裁判所に選ばれて、会社員のまま3年務めました。法律の専門家ではありません。家庭裁判所に出した書類や見積書など、記録が残っていることを書いています。運営者について

