お墓の持ち主だった家族が亡くなって、「名義変更の手続きをしてください」と言われた。あるいは、いずれ墓じまいをするつもりなのに、今さら名義を変える意味があるのか分からない。そんな方へ。
私は、認知症の叔父の成年後見人を3年務め、叔父が亡くなったあと、菩提寺と何度もやり取りをして墓じまいをしました。お墓の名義は叔父のままで、名義変更はしていません。叔父と先祖の遺骨は、合祀の永代供養墓に納めました。
この記事では、名義変更が要る場面と要らないかもしれない場面を、法律と公的な手続きの例をもとに分けて書きます。全部の手続きを先にそろえる必要はありません。どこで判断すればよいかを中心にまとめます。
結論:お墓をどうするかで決まる
| これからお墓を | 名義変更(承継) | 最初にやること |
|---|---|---|
| 残して、使い続ける | 手続きをする | 墓地の管理者(お寺・霊園・市区町村)に、承継の手続きと必要な書類を聞く |
| 墓じまいする | 要るかどうかを先に聞く | 墓地の管理者と、改葬の許可を出す市区町村に「名義が亡くなった人のままでも改葬の手続きができるか」を聞く |
| まだ決めていない | いつまでに要るかを聞く | 管理者に手続きの期限を聞き、管理料の請求先や連絡先だけは先に伝えておく |
お墓の名義変更とは

お墓の「名義」は、正しくは墓地の使用者のことです。使用者が亡くなったとき、次の使用者を決めて、墓地の管理者に届け出るのが名義変更(承継)です。
お墓は、預金や家のような相続財産とは分けて扱われます。
民法897条では、お墓(墳墓)などは、慣習にしたがって祖先の祭祀を主宰する人が引き継ぎ、亡くなった人の指定があればその人が引き継ぐとしています。慣習がはっきりしないときは、家庭裁判所が決めます(民法897条、2026年10月15日にe-Gov法令検索で確認)。
名義変更の手続き(公営霊園の例)
必要な書類や手数料は、墓地の管理者ごとに違います。例として、仙台市の市営霊園の案内では、次のようになっています。
| 申請できる人 | 亡くなった使用者から祭祀を引き継いだ人 |
|---|---|
| 必要な書類 | 霊園使用承継申請書、墓園使用許可証(原本)、承継する人の住民票(本籍の記載あり)、続柄が分かる書類(戸籍謄本など)、前の使用者が亡くなったことが分かる書類、窓口に行く人の本人確認書類 |
| 手数料 | 窓口320円(郵送は350円分の定額小為替) |
| 期限 | 案内に提出期限の記載はない |
お寺の墓地や民営の霊園では、お寺や運営会社が独自に書類や費用を決めています。まずは管理者に聞くのが早道です。
墓じまいと名義の関係

墓じまいで遺骨を別の場所に移すには、市区町村から改葬の許可を受けます。その申請書には、申請する人と墓地の使用者との関係を書きます。申請する人が使用者でない場合は、使用者の承諾書などを付けることになっています(墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条、2026年10月15日にe-Gov法令検索で確認)。
では、使用者がすでに亡くなっていて、名義がその人のままのときはどうなるか。
同じ条文には「その他市町村長が特に必要と認める書類」とあり、何を求められるかは市区町村と墓地の管理者の判断によります。先に名義変更を求められることもあれば、そのまま進められることもあります。
私の場合は、名義を叔父のままにして、改葬の書類を出し、墓じまいができました。ただ、これは私のときの墓地と市区町村での話です。同じように進められるとは限らないので、次の順番で確かめてください。
判断の基準:先に聞いて、要ると言われたらやる
- お墓を残すか、しまうかを家族で決める:決めきれなければ「たぶん墓じまい」くらいで構いません
- 墓じまいなら、管理者と市区町村に聞く:「名義が亡くなった人のままで、改葬の手続きができますか。必要な書類は何ですか」
- 要ると言われたら、名義変更をする:要らないと言われたら、その分の手間は省けます
- 聞いた内容を記録に残す:いつ、誰に、何を聞いて、何と言われたか。親族に説明するときも、あとで書類を出すときも、この記録が助けになります
名義変更のために戸籍を集め、そのあと墓じまいのためにまた書類をそろえる。この二度手間を避けるには、手続きを始める前に「何が要るか」を聞くのがいちばんの近道です。
よくある質問
名義変更をしないと、どうなりますか?
管理者から見ると、管理料の請求先や連絡先が分からなくなります。墓地によっては、管理料の未払いが続くと使用の許可が取り消されることもあります。すぐに名義変更をしない場合でも、連絡先だけは管理者に伝えておいてください。
名義変更に期限はありますか?
管理者ごとに違います。仙台市の市営霊園の案内には、提出期限の記載はありませんでした(2026年10月15日確認)。お寺や民営の霊園は、それぞれの規則で確かめてください。
誰がお墓を引き継ぐか、家族で決まりません
民法897条では、亡くなった人の指定、地域の慣習の順で決まり、慣習がはっきりしないときは家庭裁判所が決めるとしています。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所や専門家に相談してください。
墓じまいの手続きを、自分で全部やる時間がありません
私は会社員のまま、菩提寺と何度もやり取りしました。遠方で通えない、平日に動けないといった事情があるなら、墓じまいの手続きを代わりに進めてくれるサービスに相談する方法もあります。下で紹介しています。
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墓じまいの手続きを、ひとりで抱えない
お寺とのやり取り、改葬の書類、遺骨の行き先。遠方のお墓だと、何度も通うのは大変です。墓じまいの代行を相談できる「墓じまいパートナーズ」に、自分の場合に何が必要かを聞いてみるのも一つの方法です。
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※この記事は一般的な情報で、法律の助言ではありません。名義変更や改葬で求められる書類は、墓地の管理者と市区町村によって違います。手続きの前に、管理者と市区町村の窓口で確かめてください。承継者が決まらないなど争いがある場合は、家庭裁判所や弁護士などの専門家にご相談ください。
この記事を書いた人:くじら99(元・成年後見人)
300km離れた認知症の叔父の成年後見人を、家庭裁判所に選ばれて、会社員のまま3年務めました。法律の専門家ではありません。家庭裁判所に出した書類や見積書など、記録が残っていることを書いています。運営者について

