こんにちは、元・成年後見人のくじら99(@9jira99)です。
今回は「成年後見人になるには何をすればいいのか?」について、実際に私が体験した流れを時系列で紹介していきます。
書類手続きが苦手な方でもイメージしやすいよう、なるべく具体的に書いてみました。
目次
2020年6月、Aさんが突然倒れ、緊急搬送されました

その後、認知症の診断を受け、介護施設に入所することに。
近隣住民への迷惑行動も見られるようになり、ご本人の生活や財産を法的に守る必要性が高まっていました。
ちょうどコロナ禍での移動制限も重なり、非常に対応が難しい状況です。
2020年7月、社会福祉協議会から「成年後見制度」の利用をすすめられる
このままでは銀行口座の管理も難しくなり、施設費用や公共料金の支払いも滞る恐れがあったため、私は弁護士に相談し、成年後見人の申立てを行うことを決断しました。
2020年8月には、申立てに必要な書類の準備に追われる
・親族の同意書
・不動産の登記事項証明書
・預貯金の通帳
・保険証券
これらを一つひとつ集める作業は、想像以上に大変です。
地方銀行の通帳などは記帳すら難しく、やむを得ず代理対応をお願いしたこともありました。
2020年9月、収集した書類を弁護士に預け、申立書の作成と提出を依頼
専門家に任せることで、形式面や記載漏れの心配がなくなります。ここはお金を払ってでもプロに頼るべきポイントだと思いました。
2020年11月中旬、家庭裁判所で面談を受けました
成年後見人としての適格性や、Aさんの生活状況について詳しく説明。私自身が後見人としてふさわしいかも問われました。
その後、審理が始まり、11月下旬には家庭裁判所から正式な開始通知が届きました。
2020年12月下旬、ようやく成年後見人としての登記が完了
ここまで約半年。思っていた以上に時間がかかりました。
私のように遠方に住んでいる場合は、書類の郵送ややりとりに時間がかかるため、さらに長引くこともあると思います。
この期間中も、現実的な対応は待ったなしです。
- 施設費用の支払い猶予交渉
- 公共料金の一時保留
- 通帳整理と財産把握
成年後見人になる前から、すでに管理者としての責任がのしかかってくるのが現実です。
実際に成年後見人に就任してからも、業務は続きます。
- 通帳記帳と入出金管理
- ショートステイなど介護費用の支払い
- 電気・ガスなど公共料金の契約見直し
電話はつながらない、たらい回し、記帳できないなど、精神的にも消耗する場面が多々ありました。
成年後見人制度は、制度としては素晴らしい仕組みです。
しかし、実際の運用においては、手続き・調整・対応が山積みであり、少しでも早い備えが必要だと痛感しました。
今後、親御さんの判断能力や生活に不安を感じている方へ。

もし今のうちに備えるなら、成年後見制度に加えて「家族信託」という選択肢もあります。
親が元気なうちに信頼できる家族へ財産管理を託すことで、認知症による資産凍結を未然に防ぐことができます。
\▶ 家族信託について詳しく知りたい方はこちら:

次回は、実際の成年後見人の業務や、報告書の作成についてリアルにお伝えします。
それでは、また!